志賀直哉──驚愕の文章

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数日前、山口翼さんの「志賀直哉はなぜ名文か──あじわいたい美しい日本語」を読んだ。
志賀直哉の文章を解析し、どのような文章構成になっているのかを明らかにした本。この本を読めば、少しは志賀直哉のような文章が書けるようになるかも知れない、そんな下心をもって読み進んでいった。が、その下心は、読むにつれ岩に波がぶち当たるように打ち砕かれていった。
書けない。志賀直哉のような文章は、絶対書けない。新月面宙返りをやってみせることよりも志賀直哉の文章は難度が高い。
志賀直哉は、遅筆だったようだ。1日に原稿用紙10枚というペースの作家だったらしい。推敲に推敲を重ね、リズムとイメージを何よりも大切にし、表現を工夫し、簡潔な文章を紡いでいた。
そして、削ることによって意図的に文法に逆らうような表現を折りたたみ、省略をよしとし、しかも読んでいて違和感を感じさせない。文法上おかしな表現を、推敲の結果として文章に折りたたんでいくというのは、驚愕に値する。一つの文章にいくつもの主語を盛り込んで、しかもそれを省略し、読む人間に違和感を感じさせない。
文法上おかしな文章を書く。しかも推敲することによって、文法を崩すという行為は、自分の文章観には、まったく存在しない。推敲と文法上違反を犯すということは二律背反、表現上正しいものを推敲によって、わざと崩し、崩しながら文章の流れのなかで統一させていく。なぜこのようなことができるのだろうか。
読点の打ち方も自由自在、文を際だたせるために読点を生かす。まるで生き物のように。まさに神業。
三島由紀夫、夏目漱石、芥川龍之介などが、志賀直哉の文章をほめ、書けないとも言った。
この本を読んで、志賀直哉の本を3冊買った。「暗夜行路」「和解」「小僧の神様、城の崎にて」。
小説を読んでもう少し、志賀直哉の文章に触れてみようと思う。
そうそう、目に見えるような文章という点では、向田邦子の文章は、その筆頭に上がる。志賀直哉との違いを見比べたいと思い、この人の本をブックマーケットで買ってきた。
日本語の文章というのは奥が深い。文章の奥にあるのは闇なのか、光なのか。見てみたい。
暗夜行路 (新潮文庫)/志賀 直哉

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小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)/志賀 直哉

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和解 (角川文庫)/志賀 直哉

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志賀直哉はなぜ名文か―あじわいたい美しい日本語 (祥伝社新書)/山口 翼

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Posted by 東芝 弘明