介護の必要な犬

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年齢が18歳だという犬に出会った。介護が必要な状態にある彼(犬)の姿は、人間の年老いた姿によく似ている。
前に歩くことさえおぼつかない彼は、四六時中おしっこをし、仰向けになって眠ると起き上がれなくなる。
後ろ足が、弱ってしまい引きずるようにしか歩けない。グレーチングを乗り越えて歩くことができず、人間の助けが必要になる。
しかし、彼には、一生懸命介護してくれるご主人(そのお家の夫人)がいる。体重10数キロある彼の体を主人は、鞄を持つように抱き上げて家の中に入れる。粗相をしたときには、夜中でも体を洗い、掃除をしてくれる。
自然界では、到底生きられない状態にありながら、彼は命を生きている。
命は、生ある限り生き続けようとする。
「何度か死にかけたんよ」
ご主人は笑いながらそう言った。僕の前でもかいがいしく介護をおこなう。そこにはひたむきさがにじみ出ている。
彼を見ていると人間の一生が重なって見えてくる。
夜中に対応しなければならない状態について語っているご主人は、深刻さが前に出ず楽天的にさえ見える。笑顔が明るくはじけている。
人間の芯の太さがあるとすれば、今日は、そういう人に出会うことができた。この芯の太さは、一体どうやって培われてきたのだろうか。


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Posted by 東芝 弘明