どの作家の小説を読みますか?

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「まあ来てよ笠田の市」でひげの木工おっちゃんから、2000円のチケットを購入した。手づくりコンサートのチケットだった。おっちゃんといってもぼくより10歳も年上でなさそうだ。この人は、音楽関係のイベントを企画する特異な能力をもっている方で、自分が作った木工のテーブルや椅子を売るかたわら、このチケットを販売していた。
でも、もしかしたら、チケットを販売するかたわら、木工家具を売っていたのかも知れない。
少なくともぼくが座っている間、ぼくはチケットを買ったが、木工家具は売れなかった。
商売道具に腰掛けさせてくれるのもおもしろい。
この人から葉書が届いていた。碁盤の目の中にさまざまな文字が書き込まれたもので、パズルか、暗号かというような雰囲気をもった葉書だった。
以心伝心という言葉があるが、葉書から伝わってくるものは、以心伝心とは似ても似つかないものだった。
なぞなぞをおくってきたのかな?という感じが湧いた。
今日会って聞くと、あれは写真展の案内だったのだという。碁盤の目のちりばめられた言葉の説明を受けて、その意味がようやく目の前に立ち上ってきた。
意味がわかった上で、夜、娘に葉書を見せると、娘は楽しそうに葉書を眺めて、文字の並びを追いかけていた。
娘には、心に届く葉書だったらしい。
伝わる人には伝わるんだ。なるほど。
小春日和の駐車場に置かれた長いすに腰掛けて、2週間に5冊の本を読むという女性の方の話を聞いた。
最近、「小説は読みますか。どの作家が好きですか」という質問を誰彼なしに投げかけて答えを得ている。
今日もその女性に、この質問を投げかけて見た。
「瀬戸内晴美、田辺聖子、畠中恵、横山秀夫、浅田次郎、宮部みゆき」
こういう名前が記憶の中から表に差し出されてきた。
ぼくが読んだことにない作家の名もあった。
「女流作家が好き。瀬戸内寂聴になる前の瀬戸内晴美がいい。畠中恵は、ファンタスティック。おもしろい」
病院の待合室で3時間、本を読んで1冊読み終えるのだという。
この女性は、図書館をふんだんに利用している方だった。
こんな話を聞いていると、いくらでも話を聞きたいと思う。
電話がなった。ポケットの中に中島みゆきの「ホームにて」が流れる。
「おとうさん、マグロの解体のところに来てよ。お金もってないから貸して」
妻からの呼び出しだった。
いい話は、こういうかたちで中断される。
夕食は解体されたマグロの刺身となった。
日曜版の配達の帰りにお通夜の看板を確認した。急いでお通夜に参列した。弔問客は、長い列をつくって玄関の外に溢れていた。受付を済ませて香典を渡し、列の最後尾に並ぶために玄関の外に出た。知り合いの方に頭を下げながら列の中にいた。
焼香を終えて、駐車場に出ると車が少なくなっていた。波が押し寄せて退いていく感じに似ていた。


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Posted by 東芝 弘明