自由と民主主義の発展としての社会主義

雑感

日本共産党の未来社会論について、この前事務所で行った学習会が印象深かった。日本共産党の28回党大会は、中国の評価を変えて、中国の行っていることは社会主義には値しないとして、中国が社会主義をめざしているという規定を削除して、日本における社会主義への道は、発達した資本主義の成果を受け継いだ豊かなものになることを明らかにした。

それでも世間は、中国共産党と日本共産党について、同じだという意見とか社会主義には自由がないなどの偏見が残るので、なかなか誤解を解くのは難しいという意見があった。そう思っている党員も実際にはまだ多いかも知れない。

日本共産党の改訂された綱領には、中国という言葉が出てくるのは、戦前の日本の中国に対する侵略のことについて記述したところにしかなく、現代の国際情勢のところや現代政治のところには、一言も中国、ベトナム、キューバなどの国名は出てこない。国際情勢のところにあるのは、ソ連が崩壊したことについての記述だけだ。日本共産党は、現存する社会主義を名乗っている国と同じような国を目指しているのではない。これらの国々の姿とは全く違う展望をもっている。したがってそれぞれの国に対する評価も論評もしないという立場に立っている。

では、どういう国を目指しているのか。それは極めて鮮明だ。日本共産党は、日本国憲法が規定している国をつくるために奮闘している。大学に至るまで授業料は無料に。医療費の国民負担も無料に。介護保険料も国民健康保険料も所得の限界を超えるような負担を根本的に改めて、負担を軽くしようという展望をもっている。社会保障の分野では、健康で文化的な生活を営む権利を有するという憲法25条の規定が文字通り生きる日本を作ることを展望している。

日本経済は、極端な大企業中心主義とアメリカ言いなりによって基盤の弱いものになっており、市場の狭さが作り出されている。第一次産業と中小企業の発展によって国内市場が大きくなり国民の暮らしが豊かになれば、国内に経済循環が生まれて経済が発展する新しい条件が生まれる。
この政策が実行に移されれば、日本経済にも新たな視野が開けてくる。
大企業とアメリカの利益に奉仕するように作られてきた戦後の経済の仕組みをその点では転換する必要がある。中小企業との大企業の取り引きを対等平等の関係に切り替えるだけで内需拡大への道は開かれる。第一次産業の再生は、国民の生命に深く関わっているので、諸外国が当たり前のように行っている自給率の向上を戦略の上に据える。日本の農業は、どんなに衰退していようとも、日本にとっては基幹産業であって、再生して発展させる使命が政府にはある。第一次産業が衰退した最大の要因は、アメリカの利害との関係にある。アメリカ言いなりの経済政策の中で日本の第一次産業は衰退させられてきた。
これを諸外国が当たり前にしている原則に戻す中で再生を目指すことになる。

日本国憲法の諸原則が暮らしに中に生きるためには、国民主権が貫かれて、国民主権を実現する政府の樹立が必要になる。日本共産党は、これを実現するためには、議会を通じての民主主義革命が必要だと考えている。民主主義革命を実現して、国民主権にたった政府を実現し、具体的に国民主権にもとづく政治を実行しながら、日本国憲法の規定に基づいた国づくりを行うということだ。
この発展の先に日本における社会主義・共産主義の展望がある。民主主義と自由の拡大の先にしか、日本における社会主義への展望はない。

日本における社会主義は、「生産手段の社会化を土台に、資本主義のもとでつくりだされた高度な生産力、経済を社会的に規制・管理するしくみ、国民の生活と権利を守るルール、自由と民主主義の諸制度と国民のたたかいの歴史的経験、人間の豊かな個性などの成果を、継承し発展させる」ものになる。この展望は、自分たちの運動が未来に生きることを意味している。

社会主義になったら労働時間が短縮され、国民の賃金は上がり、自由な時間が拡大する中で豊かな地域、豊かな社会が実現する。国民は自由な時間が増える中で自分の人生を、自分のものとして豊かに生きる条件が与えられる。その中で人間同士の関係も豊かに変化していくだろう。今ぼくたちがたたかいとろうとしている自由と民主主義が、すべて日本における社会主義という未来社会の中に生きてくる。地続きの成果の上に未来がある。


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雑感

Posted by 東芝 弘明