「ぼくはこう生きている」

雑感

娘から誕生日のお祝いに靴下と宮﨑駿監督のアニメ『君たちはどう生きるか 公式ガイドブック』という名の本をもらった。一切、作品の内容を明らかにせず、映画のパンフレットでもほとんど内容を示さなかったジブリが、昨年の10月末に販売をはじめた本だった。俳優がどの役をやったのかがこの本で明らかにされていた。
「えーっ、この人がやったの」
という驚きがあった。俳優のみなさんが作品について、語っている文章を読んでいると「豊かに生きているなあ」と感じるところがあった。目頭が熱くなって心が震えた。それらの文章は、「どうして、そのような生き方ができるのだろうか」「明らかに自分の年齢で感じていたこと以上に、豊かに生きているな」と思わせてくれた。

そう思いながら、思い出したのは『チコちゃんに叱られる』の中の話だった。
「都会の人は、どうして苦しんでいる人に声を掛けないのか」という実験を東京と青森で行ったときに、大学教授が、人間は情報の多い都会では、情報を遮断するために外部と自分との関係をシャット・アウトしているということだった。
シャットアウトしながら、同時に心を開くということが連想された。多くの情報の中にいて自分を磨いている人々がいるというイメージだ。

殺伐とした、不合理がはびこるこの時代の中で、「信頼できる人々に心を開いて、自分自身を高め生きている若者がいて、豊かに成長している人々がいる」というイメージが湧いてきた。公式ガイドブックの中に書かれている俳優のみなさんの書かれた文章は、そんなことを思わせてくれるものになっていた。若手の俳優の中に、役を深く把握して、奥行き深く演じることのできる人々がいる。カメレオン俳優などと呼ばれる人々の中に、人生を多感に豊かに生きて、それを配役に反映させている人がいる。

ここからは想像でしかない。おそらく、10代も含め多感な時代に、多くの情報に触れながら、信頼できる人々に出会い、多くを学んでいる若者がいて、その若者たちは、60代のぼくたちの年代が経験できなかったような、よりよいものにも触れて、自分を磨いて生きている。心のひだも豊かに、人間の細かな思いも受け止められるようになって、それが演じる役に反映されていくような豊かさを感じる。

一方で、心を閉ざし引きこもって、苦しんでいる若者も多い。社会と世間は、そんなに若者を拒絶しているものではなく、多くの豊かさも合わせもって存在している。その中にぼくたちは生きている。人生には苦しいことも多いが、楽しいこと、情熱を捧げられること、信頼できることも多い。そういう人を見つけて、心を開いて生きていけば、世の中、なかなか捨てたもんではないよ。そんなメッセージを送れたらいいなと思う。

「君たちはどういきるか」————いい映画に出会えたんだと改めて感じる。


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雑感

Posted by 東芝 弘明