涼子と玉の対話はオープンダイアローグだった
木曜日に放送された『虎に翼』の涼子と玉の対話は、まさにオープンダイアローグ的な対話だったと感じた。玉の言い分をじっくり聞いた涼子は、互いの思いを確かめ合う。行き違っていた2人の気持ちが氷解していく。それを黙って聞いていた寅子は、「玉ちゃん!私はせめて2人が対等であって欲しい。全てを諦めて欲しくない」という。この言葉が重要な役割を果たし、それ以後玉は、涼子に英語で話を始める。尊敬語や謙譲語のない言葉を基本としている英語で、玉は涼子のことをYouと呼び、ベストフレンドになってほしいと話す。
「あなたなしの人生は考えられない。私の親友になってくれませんか?」
「あなたはもう親友ですよ」
このシーンは、人々の心にしみたようだ。反響が大きい。当事者のことは当事者の参加するところで全て話をするということを基本にしているオープンダイアローグ。互いの思いを出し合う中で歩み寄り、そこに話を聞いていた第三者が感想を語ることによって、話が深くなっていく。いいなと感じた。
吉田恵里香さんの脚本はすごいと思う。寅子を描くときに、家族は誰も寅子に母親としての役割を求めず、求めたのは人間としてどうかということだった。外で働く女性は、家では母親として責任が問われるというような視点で、見ている視聴者も多かったが、ぼくは、寅子と優未との関係を人間としての視点で描いているように思えて新しいなと感じた。
新潟編になって、母と子2人で心を通わせる生活を描くことを通じ、寅子が広い視野を身につけつつ人間として成長していく姿が描かれていく。この過程の中で寅子と優未との関係が次第に打ち解けたものになっていくのが、緩やかに描かれている。なかなか見事な展開だなと思う。ドラマを見ていると吉田恵里香さんは、奮闘する母子家庭の母親を描こうとはしていないことを感じる。このドラマの縦糸は全ての人間の平等、それに絡んでくるジェンダーの視点だと感じる。今までの数多くの連続テレビ小説が描かなかった世界が、ドラマの中で進行している。ぼくにはそう見える。見ていて気持ちがいい。










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