議員研修会は面白かった

雑感,出来事

和歌山県内の日本共産党地方議員の議員研修会が開かれた。朝から夕方まで。会場は市内を見下ろせる場所にあった。お城が見えたし、市役所も見えた。夏の暑い日差しが道路に当たっているのを感じたが、空気はまだ澄んでいた。陽炎によって建物が揺らいで見える感じもなかった。空調の効いた建物の絨毯の上を歩くのは感じがよかった。絨毯によって青いトーンの広い空間が作られ、大きな窓から市内の景色が見えるので、まるで空中に浮いた空間にいるような感覚になった。
日本共産党の議員研修会の講師は、党中央の自治体局の方だった。議員研修会の話の中で強調されたことの一つは、大局的世界観を身につけることだった。コロナ危機の中で、新自由主義の破綻が明らかになり、コロナ後の日本と世界のあり方を打ち出し、さらに資本主義の限界が鮮明になっていることを見通して、議員活動を行おうという提起だった。

地方議員の研修会で、和歌山県の田舎、紀の川の北側の山、南側の山を毎日見て生きているぼくたちに対して、日本社会や世界の大局的な変化を視野に入れて議員活動をしようと話しかけてくる日本共産党という組織は、他の政党とは違う組織になっている気がする。98年の党の歴史の中で、このコロナ危機の中で人間社会の未来の展望を示しつつ、コロナで困っている人の生活を守ろうという、マクロとミクロの結合を呼びかける政党にいるのは、幸せなのだと思う。

深い湖の澄んだ水の意味を知ろうとして、科学のメスを入れ、それを知った上でもう一度澄み切った水を見て綺麗だと感じる。佐治晴夫さん的にいえば科学と詩の結合。これが日本共産党の精神であると思う。地球的規模で考え、足下から行動する。講師の方は、最後に議員に対して、住民の要求の実現は、ほとんど議会で行われる。議会活動は議員にしかできない。そういう意味では希有な存在だということで、社会のために活動することによって自分を輝かせよう、成長させようという訴えが行われた。ぼくは、この話を聞いて、「社会一般のために立ち働くことによって、自らを高める」と書いたマルクスのことを思い出していた。なかなかいい講演だった。

質問をさせていただいた。一つのテーマは憲法13条についての問だった。
戦争法のときに、日本共産党や運動に関わった人々は、運動によって憲法13条を再発見した。日本国憲法の神髄は、個人の尊厳の尊重にあり、今の運動は憲法13条のこの精神を体現している。個々人が戦争法の危険性を感じ取って、自主的に立ち上がり力を合わせている。
憲法13条に光が当たったことによって、日本共産党は、政党間の関係を見直し、自身のもっていた統一戦線論を大胆に発展させて、市民と野党の共闘へと足を踏み出した。
同時に憲法13条への注目は、日本共産党の未来社会論にも光を当て、社会主義における個性の発展ともリンクした。さらに憲法13条への注目は、考え方の違いや立場の違いを尊重し合いながら多様性の中の統一という言葉を生み出した。この考え方は日本共産党内の民主主義についての考え方にも影響を与えつつあると考えている。楽しく元気な支部会議という提起も、これらの流れの中からだされたものだと思っているし、支部が主役の党活動というテーマは、社会主義における生産手段の社会化=生産関係の中で一人一人の労働者が主人公になるというものとつながっているとも思っている。
こういう認識に対して、「こういう思いは私だけのものでしょうか」という質問をさせていただいた。「憲法13条についてはその通りだと思います」というのが回答だった。この答えは自分にとっては非常に嬉しいものだった。

かつらぎ町議会で、議会だよりの編集を保守系議員の方々といっしょに行ってきた。個性のある個人の集まりのなかで、思っていることを率直に出してもらって、協議を重ね紙面を作るというシンプルなことを行っている。シンプルというのは、テーマが複雑ではないという意味だ。多くの複雑で多様な問題を縦横に協議するというものではない。議会だよりの会議の目的は、紙面の編集という一点にある。
10年間、会議の民主的な運営を進化させたいと思って努力を重ねてきた。いろんな意見があっても、協議を積み重ねれば着地点はある。もちろん、物事によっては、その日の会議で一致することはない。ぼくが望んでいるようなことが100%実現しないことも多かった。しかし、対立した意見も、尊重して議論していけば、譲歩する意見が出たりする。その中から合意点が生まれる。そうやってみんなで合意しながら進んでいくことによって、見えてくるもの、到達できるものがある。
提案は大胆に。協議は活発に。合意は一致点で。そういう形の結果として議会だよりができていく。ここにも憲法13条が生きていると思っている。

研修会を通じて、学び取ったものは他にもあった。学んだ粒をきちんと生かす。そうしないと学んだ粒は、砂の中に消えてしまって見えなくなる。心に灯がともったら、この灯を輝かせないと新しい世界は見えてこない。


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雑感,出来事

Posted by 東芝 弘明