ひどい議論が横行している学術会議問題

雑感

あんまり嫌な気分にはならないのだが、日本学術会議の件で吹き出している議論が、あまりにもおぞましくて嫌な気分になっている。今の政権の有り様が浮き彫りになっている感じだ。問題は至ってシンプル。105人の推薦名簿に対して、菅首相が99人を任命して6人を除外したということだ。日本学術会議は、科学者の国会と呼ばれているもので、日本の国立アカデミーという位置を占める。国のさまざまなことに対して、意見書等を提出している。学術会議は、詳細な推薦方法を確立しており、一連のプロセスを経て推薦名簿を作成し、内閣総理大臣が任命することになっている。総理大臣の任命は形式的なもので、推薦された会員が全員任命されることになってきた。ここに原則がある。これは戦後の歴史の中で確立してきたものだ。科学者の活動に対して、国家予算で保障はするが、活動に対して政治は介入しないことを守ってきて現在に至っている。

この問題について、菅首相は6人を除外して任命しなかった。これが学問の自由を侵す問題として大問題になり、憲法と日本学術会議法違反が指摘されている。
したがって菅首相は、任命を拒否したことに対し説明しなければならない。
では、現時点でどう説明したのか。
菅首相は、「総合的、俯瞰的に判断した」と言っていたのに、105人の名簿は「見ていない」。自分が見たのは99人の名簿だったと言うに至った。105人の推薦名簿を見ていないのに、「総合的、俯瞰的に判断した」とは言えない。疑問がますます深まる事態になっている。

これ以外の学術会議問題は、事実を歪めまくって行われている。学術会議のあり方を考えるべきだとか、行政改革が必要だとか、廃止してしまえという議論は、圧倒的に事実を踏まえないレベルでの議論になっている。仕掛け人は菅総理自身でもあり、甘利さんという自由民主党税制調査会長によるフェイク発言まで出ている。

フェイクが横行する議論を追いかけるのも馬鹿らしい。国立アカデミーを廃止していいのかどうかという問題にまで発展しているのにはあきれてしまう。安倍さんの時以上に菅政権というのは、事実を歪めた議論を平気でするのか。という疑問が湧いている。

東京新聞が、10月10日付けでまともな記事を書いていた。議論をするのであれば、こういう記事を踏まえたものにしてほしい。
東京新聞10月10日 学術会議の実態は?固定給、年金なし…自腹出張も


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雑感

Posted by 東芝 弘明