農協解体─アクセス解析に寄せて 2005年10月7日(金)

出来事

商品券の事件があってから少しアクセスが増えた。
Blogの左の一番上で手裏剣がまわっているのをご存じの方もいると思う。これは「忍者ツールズ」のアクセス解析である。
アクセス解析といっても、誰がアクセスしてきたのかは分からない。
わかるのは、
初めての訪問なのか、
どんな検索ワードでぼくのBlogにたどり着いたのか、
何回目の訪問なのか、
どの検索エンジンで検索したのか、
ブックマークから飛んできたのかどうか、
などである。
この中で一番面白いのは、「どんな検索ワードでぼくのBlogにたどり着いたか」ということである。
農協解体の話を選挙期間中に聞いたのでBlogに書いた。「農協解体」でぼくのBlogにたどり着いた方が結構多い。関心が高いということだろう。Googleで 農協解体 を入力して検索すると5番目のページの下にぼくのBlogがあった。この記事をアップした頃は、検索のトップページに載っていたので、訪問者が多かったのだと思う。
郵便局と農協を解体し縮小していけば、田舎に若者は残らなくなる。この2つを民営化もしくは分解、もしくは解体を進めていくと確実に農村地域は衰退の危険性を増す。
農協職員には結構若い職員さんが多い。
農協にはいろいろな批判があるけれど、さまざまな事業を展開しわりと安定した経営をしているので、地域の雇用力の担い手としては、かなり大きな役割を果たしている。
なぜ、何のために農協解体なのだろうか。
インターネット上で検索すると経済産業研究所(独立行政法人)という組織があり、そこの上席研究員に山下一仁氏が「農協の解体的改革」をという論文を書いている。氏は、農水省の官僚だった方で、農水省国際部参事官,OECD農業委員会副議長まで務めた方だ。
この方は、論文でこう語っている。

農業が衰退する一方、経済成長による兼業機会の増加と農地転用売却益により兼業農家は豊かになった。JAも、農産物販売などの業務が赤字に転じる一方、信用(金融)、共済(保険)などの黒字拡大によって高成長が続いた。農協法には組合員である農家以外でも自由に組合を利用できる准組合員という独特の制度があり、現在組合員500万人に対し准組合員は400万人もいる。
JAは、農業縮小の見返りとしての兼業収入や農地転売代金を、ムラ社会の機能を活用して低コストで預金として調達し、准組合員や農薬・肥料会社への融資などによって、国内でも有数の金融機関となった。JA共済の総資産も国内トップの生命保険会社に並ぶ。農家もJAも、脱農・兼業化で豊かになった。


兼業農家は豊かになったという。かつらぎ町の実態でいっても、京奈和自動車道や河南農道に用地がかかり買収されたことによって、多額のお金を所得として得ている。しかし、それは同時に無視できない規模で農業生産を縮小させて行く道でもある。
氏はこういう実態の何を問題視しているのだろう。もう少し耳を傾けてみよう。

しかし、国内総生産(GDP)に占める農業の割合が1%まで減少し、65歳以上の高齢農業者の比率が6割近くなるなど、農業の衰退は著しい。農業の再生を図り、食料供給力を向上させるには、非効率な零細兼業農家を温存するのではなく、食料供給の担い手として企業的農家を育てる必要がある。


「非効率な零細兼業農家を温存するのではなく…企業的農家を育てる必要がある」
だから農協解体なのだ。氏は続けてこう言う。

すべての農家を平等に扱う一人一票という協同組合の組織原理は、農家の規模が均一で同質的であった農地改革直後には合理性があったが、農家が主業と兼業に大きく分化した今日、機能不全を起こし、企業的農家の育成を阻んでいる。
JAに主業農家の声をより反映させるためには、農協連合会には農協の組合員数に応じた議決権を認めているように、農協利用度に応じて一人一票制を見直す、信用事業・共済事業を分離して農業関連事業に純化させる、などが考えられる。過去にも信用・共済事業の分離が提案されたが、制度改正が必要となるので政治過程でJAに反対され実現できなかった。


政府は、農業への企業参入を促進しようとしているし、規模拡大の後は会社化や法人化を促進しようとしている。現在、認定農業者を重視して農政をおこなおうともしているが、これもこの流れにつなげようとするものだ。
これは、農家の中に差別と選別を持ち込んでしまう。この方向で農政をすすめれば、日本の農業は、全体としてはさらに衰退し、ごく一部の農家だけが残るのと企業の参入で農業を株式会社の儲けの対象にしてしまう。
農協の解体は、農家の資産である農協の453兆円を金融を含めた市場が手に入れるところに目的があり、同時に企業の参入のためにじゃまになる農協を壊そうとするものだろう。
かつらぎ町の農業の発展のために、ぼくが今回強調したのは、農協に出荷している人もそうでない人も、全てを支援することの重要性だった。認定農業者とそうでない農家を区別するのではなく、定年退職した方が就農することも含めて全部を視野に入れて支援することだった。これをやる上でコーディネーターの役割を果たせるのは、自治体だということも強調した。
衰退していく農業を活性化するためには、それこそ、「猫の手も」借りて住民みんなで協力して展望を開いていくべきなのだと思う。
農協解体の次に政府が実現するのは、企業による農業への参入だろう。企業参入によって流通ルートは激変するのではなかろうか。選果場が株式会社に買収され、運営される時代が来るかも知れない。個人農家は、企業の傘下の下で農産物を生産する時代になるかも知れない。
それは決して、日本の農業に発展をもたらすものではないだろう。
かつらぎ町の地形を考えると、企業が参入しにくい中山間地だ。傾斜がきつく、大規模な生産ができない。しかし、日本にも広大な真っ平らな土地をたくさんもっている地域がある。こういうところに企業が参入し、アメリカ並みの大規模農業を展開していけば、農業間の競争の中で淘汰が始まるように思う。かつらぎ町などの地域は、崩壊の危機に直面する。
郵政民営化の悪夢は、農協解体への悪夢の序章にすぎなかった。
こんなナレーションは聞きたくない。
午前中、岩出で会議があった。会議終了後、作成した「かつらぎ民報号外」を新聞店に持って行って折り込みをおこなった。この号外は10月9日、いっせいに折り込まれる。
「怒りて…山を揺すれ」


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出来事

Posted by 東芝 弘明