花園村の砂利採取事業 2005年12月29日(木)

かつらぎ

12月の一般質問で、花園村の砂利採取事業の問題を取り上げた。
有田川の砂利を、花園村は約40年間(もしくはそれ以上)に渡って採取してきた。
和歌山県下で川砂利を採取しているのは、わずか4件に過ぎなかった。花園村の砂利採取は、その内の1件だった。
過去7年間で4回、花園村は和歌山県に対して、有田川で砂利を採取する申請をおこなってきた。村は、砂利採取を村の直営事業として運営してきた。
砂利採取をおこなうためには、採取する場所、採取の規模(測量が必要)、採取に用いる機材、採取の期間、1日のうち採取する時間、「砂利採取業務主任者試験合格者」の氏名などの資料を整えて県に認可申請をおこなう必要がある。
村は、ほぼ同じ場所で、平成12年度は10800立方メートル、平成13年度は13820立方メートルという規模で砂利を採取する申請を上げている。
実は、花園村には、砂利を採取する機材は何も存在しない。タイヤショベルも、ブルドーザーも、トレージャーも、ダンプもすべて生コン業者と契約を結び、無償で使用することになっている。
人件費は、賃金という形で組まれ、労働保険の掛け金が計上されている。
燃料費、消耗品費、修繕費も会計から支出されている。
つまり、村は、生コン業者(スカイコンクリートという個人商店)から砂利を採取し分別する機材(主に重機)を借りて、人を雇い、砂利を採取していたことになる。採取した砂利は、生コン業者に1立方メートル当たり、砂2600円、砂利2700円、栗石2600円で販売されていた。
しかし、調べていくと、大変な実態が見えてきた。
砂利の採取量は、実際に計量されたものではなかった。精製した砂利の量を量るカンカンなどは存在しない。計量しないのに克明に採取量が決算書に計上されているのだ。
村の決算書を見ると砂利の採取量は、平成12年度は4335立方メートル、13年度は、5612立方メートルである。採取量は、必ず計画量の40%、採取できた砂利は、ほぼ砂25%、砂利60%、栗石15%という比率になっている。
村の決算書によれば、7回にわたる砂利の採取量は、すべてこれと同じ比率になっている。
これは、まさに机上の計算だ。
しかも、砂利を採取したのは、生コン業者の従業員であった。
燃料費、消耗品費、修繕費も村が生コン業者に支払っていた。
村は、生コン業者に砂利の採取・精製を丸投げし、人件費と経費を負担していたのだ。
村は、実際の砂利採取量を計量できず、労働者が実際はどれだけ働いたのか把握できず、燃料費や消耗品費、修繕費がどれだけかかったのか見極められない状況にあった。
これで果たして直営事業と呼べるのか。大いに疑問である。
村の砂利採取の特別会計の数値は、生コン業者からの実績報告から成り立っていた。
ここまでくると、村の会計は、生コン業者のいいなりになって、言うがままに組んでいたということになる。
しかも、賃金を支払う契約も燃料費、消耗品費、修繕費を支払う契約は存在しなかった。
賃金を村が負担していたという話は、特に奇妙だ。
賃金で人件費を組む場合、職員の身分は、臨時任用職員ということになる。任命権者は村長である。村長が辞令を発しないと雇用できないし、辞令なしに雇用契約は結ばれない。
しかし、実際に砂利を採取していたのは、生コン業者の従業員であった。これらの人々は、生コン業者から賃金を受け取っていたし、従業員として間違いなしに雇用されていた。
8時から5時まで勤務する契約で、生コン業者に雇われている人間が、日給で同日、同時刻、役場と雇用契約を結び、勤務することは不可能である。
委託なのではないかという疑問もわくが、役場が雇用保険を払っているので、委託と解釈することはできない。
生コン業者の従業員を、本人たちとの同意もなしに役場の臨時任用職員として登録し、個人に賃金を支払う形態をとって、生コン業者に賃金相当の資金を支払う。
これは、公金支出の正当性が問われるものであり、同時に公文書の偽造が疑われる行為ではなかろうか。
委託できない理由は、別の角度からも存在する。
生コン業者には、砂利採取業務主任者がいない。つまり砂利を採取できる資格がない業者と言うことだ。丸投げする場合は、業務委託に当たるが、資格がない業者に委託はできないはずだ。
委託できない業者だったからこそ、直営事業という形態をとらざるを得なかったというのが、本当のところだろう。
砂利の採取量については、不思議なエピソードがある。
ぼくは、採取量について、一切計量する手段をもっていないことが気になったので、くり返し当時の担当者に、採取量をどのようにして計っていたのかを尋ねた。
担当者は、打ち合わせでは、生コン業者からの報告だと説明した。しかし、本会議場では、村が計画量の40%という数値にもとづいて計算していたと答弁した。
この答弁の言い換えは、何を意味するのだろうか。
生コン業者と村との間で、砂利採取量は40%、内訳は、砂25%、砂利60%、栗石15%という約束事があったということだと思う。これで、「生コン業者の報告」、「役場が机の上で計算していた」という言い換えがイコールで結ばれる。
計画量の40%という数値は低すぎるという指摘もある。7割から8割は砂利になっていたという指摘が正しい場合は、適正に砂利を精製していたとしても、決算の倍に当たる砂利が精製されたことになる。
実際の砂利採取は、5時以降もおこなわれ、水面より下の砂利を採取してはならないという認可の条件も守られておらず、さらに認可を受けていないまったく別の場所で砂利は大量に採取されていた。
砂利採取の許可も何もない業者に丸投げしたこと自体、違法の可能性が高い。まして、認可の下りていない場所で砂利を大量に採取したのは、不法採取に当たる。

認可区域以外に採取されたといわれている場所は、地図上の赤丸の部分だ。
どれだけの砂利が、不法に採取されたのかはまだ分かっていない。
不法に採取された砂利は、コンクリートの原料になる。原料は骨材と呼ばれる。
ただ同然の骨材で、コンクリートが精製されていた場合、業者は大きな儲けをあげることができる。
13年末からおこなわれ、17年3月に供用開始された花園美里トンネルに使われた5000立方メートル以上の砂利は、不法の上に成り立っていた可能性が濃い。


にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 和歌山県情報へにほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へにほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログへブログランキング・にほんブログ村へ

かつらぎ

Posted by 東芝 弘明