議員定数を議員全員協議会で決定 2006年3月22日(水)

かつらぎ町議会

一般質問が本日、午前中で終了した。
午後2時から議員全員協議会がおこなわれ、花園地域の「過疎地域自立促進計画」と中期財政見通しの説明が終わった後、議員定数の協議をおこなった。
かつらぎ町の議員は、現在18人+8人で26人となっている。これは、合併協議によって花園村の村会議員8人を在任特例でかつらぎ町の議員としたからだ。この在任特例期間は、今年の7月におこなわれるかつらぎ町の通常一般議員選挙までだ。この選挙は、定数18以内でおこなうことになっている。
議員全員協議会で協議する内容は、議員定数をどうするのかということと、花園地域に小選挙区制を設けるかどうかということだった。
結論だけ書くと、議員定数は、僅差で18ということに決定した。ぼくも宮井議員も議員定数は18人を主張した。小選挙区制については、設けることになり旧かつらぎ地域17、花園地域1ということになった。一体的な地域を作るべきだという観点からぼくと宮井議員は小選挙区制を設けるべきではないという態度をとった。この意見と同じだったのは、共産党以外に2人いた。
議員定数は、住民の権利に属する問題。議員は行政の機関ではなく、住民の代表として行政の仕事をチェックするもの。この議員定数を行政の一部のようにとらえて、定数削減をひたすら求めるのは、議会という機能を理解しないものだ。
確かに現在の議会全体は、住民の代表としての役割を十分発揮しているとは言い難い。
しかし、現在の議会の状態と議員定数という制度の枠組みとは次元の違う問題だ。
議会の活性化は、議員が町当局の予算や議案に対し、責任を持ってチェックしているかどうかにかかっている。提案された議案や予算に対し、何の調査も研究もしないで、質疑もおこなわない、提案も改善も求めないで黙って賛成している状況を続けていながら活性化はありえない。
議案は法律の用語で書かれている。制度が複雑になり内容も多義に渡る。この難しい問題に沿って内容を理解し、それを我がものとして立ち向かっていかないとすれば、議会は活性化しない。
本来なら、町当局が提出してきた議案に対し、議員は精査して議案の修正、予算の組み替え、議員による議案提案等々をおこなうべきなのだ。それが議員に求められている議会活動の水準だと思う。
何でも賛成、黙って賛成、質疑をおこなうのは共産党の議員だけ。
こんな状態は極めておかしい。
共産党の議員が質疑をして初めて議案の内容が分かるような、かつらぎ町議会の運営がおこなわれているのでは、議会は活性化しない。
議員は現在月20万5000円の報酬を受け取っている。ぼくは、この報酬は、議案や予算に対して真剣にチェックするという任務を背負っている議員に対して出されているのだと理解している。議員がおこなう一般質問は、議員の活動の重要な一貫だが、この活動が議員活動の中心では断じてない。一般質問は議員活動の一部に過ぎない。
当然、議員には日常の世話役的な活動がある。しかし、世話役活動をどんなにおこなっていてもそれで議員の仕事を果たしているとは言えない。
議会活動をきちんとおこなって初めて議員は、報酬にふさわしい仕事をしたといえる。
自治区長会から今回は議員定数の削減要望も出されていた。
内容は、以下のとおり。

かつらぎ町の未来のため、財政再建団体への転落を回避し、持続可能な行財政運営図るためには財源不足の解消にむけて歳入の確保、歳出の改革を徹底し財政の健全化を進めていく必要があります。改革を一層進めるためには、行政組織のみの努力だけでは達成しうるものではなく、町民の理解と協力が不可欠であります。
こうした観点から町議会におかれましても、議会議員の定数及び選挙区について、次のとおりご検討をお願い申し上げます。
                                                記
1.議員定数は16名以内
2.花園選挙区を設けることも検討いただきたい。(但し、合併後最初に行われる1期のみとする)

この要望書は、財政再建団体に転落しないようにするためには、議員定数の削減が必要という観点に貫かれている。しかし、議員2人を削減しても、経費の削減という点では、とるにたらない効果しかない。
経費削減効果に乏しいというと、範を示せというような話になるのかも知れない。
しかし、ここには行政と議会との混同がある。
議員と行政とを同一視して、経費削減というナタで議員をバッサリ切る。
これが議員定数削減論だと思う。
区長会が活性化を望むのであれば、報酬にふさわしく議会で活発に議論してくれというべきである。
議員定数を削減しても、議会は絶対に活性化しない。
議員定数と議員の質とは何の関係もない。議員定数を削減すれば議会が活性化するということにはならない。これは、20人から18人に削減した経験からも断言できる。
議会は少数でも機能する。という意見もある。
議長を含んで議員が3人いれば、機能はするだろう。
黙って賛成していれば、行政はスムーズに仕事をおこなう。
共産党の議員がいない自治体では、議会日程も短く、質疑も質問もなくスムーズに行政運営がおこなわれている場合がある。
議員の中には、与党という自覚があって、出されてきた予算や議案に黙って賛成することを議員の仕事だと思っている方もいる。しかし、黙って賛成するのであれば、議会はいらない。
「議員は発言するな、質疑をするな。黙っていろ」
これが究極の効率的な議会だ。
チェック機能を限りなくゼロにすれば、議会なんてないに等しいから効率がよくなる。
町当局にとって一番楽な議会は、何の意見も出ずすんなり議案の通る議会だ。
議員定数削減論には、議会不要論が潜んでいるのかも知れない。
議会とは何なのか。そもそも論を書いてみたい。
議会は、行政が運営しやすいように組織されたものではない。
住民が納めた税金を住民のために使ってもらうために、住民は市町村長という形で大統領を選出している。
大統領は、住民のなかから直接選挙で選ばれた住民の代表である。住民から選ばれた大統領は、住民から集められた税金を住民のために、福祉の向上めざして予算化する。しかし、大統領が勝手に動き出したときには、歯止めがかからない。大統領が住民のために予算を組みきちんと執行しているかをチェックするところに議会の任務がある。同時に議会は、行政の意思を最終的に決定する機関として存在している。議会で条例や予算案が議決されないと、行政は仕事に移れない。チェックと最終意思の決定。これが議会の最大の仕事だ。
この議員の定数をどんどん減少するという考え方は、議会のチェック機能を低下させ、議会制民主主義を破壊するに等しい行為になる。
議員定数削減の議論は、地方自治体とは何か、議員とは何かという問題に対する認識を問わないままおこなわれている。
そう思えてならない。


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かつらぎ町議会

Posted by 東芝 弘明