議会の個人情報保護条例、一山越えた

議員の活動,かつらぎ町議会

議会運営委員会が開かれ、議会の個人情報保護条例の原案(全国町村議会議長会作成)とぼくが作成した修正案のどちらを選ぶのか、検討した。今回は議案ではなく自主的に案を作成するという所管の事務調査だったので、議案と同じ取り扱いはせず、ぼくが委員長席に着いたまま、原案と修正案の検討を行った。あくまでも所管の事務調査なので採決せず、2つの案のうちどちらを選択するのかを決めてもらった。その結果、原案どおりという結果になった。委員会で決めたことを議員全員協議会に報告し、賛成議員による議案の提出という形を取ることにした。

全委員協議会で意見を出していただき、もしさらに委員会で検討する必要があるとなれば、委員会を開くことにしている。4回ほど委員会を開いたと思われる。
昨年の12月、町の個人情報保護条例に対して本会議で採決した結果、ぼく以外の議員はみんな賛成したので、はじめから結論は見えるような形だったが、今回ぼくが出した修正案は、議会としては、要配慮個人情報は収集しない、仮名加工情報と匿名加工情報は作成しない。もし、行政から仮名加工情報と匿名加工情報が提出されたら、使用目的を達した場合は、ただちに廃棄する、若しくは保存期間が過ぎたら廃棄するというものだった。この修正は、町村議会議長会のいう、仮名加工情報と匿名加工情報を作成することは想定されないという説明を具体化するものだった。要配慮個人情報については、議会審議において個人の犯罪歴や病歴、障害の有無などの個人情報ファイルを扱うことはないので、収集しないという議会の意思を明確にするだけのことだった。また、提供されて保有することとなる仮名加工情報と匿名加工情報については、使用する目的を達した場合はただちに廃棄することとし、基本的には保有しないという姿勢を示すだけのことだった。ただし、この規定を加えることによって、目的に基本的人権を守ることを書き入れてもいいだろうという判断を行った。

こういう修正ならば、12月議会で町当局の議案に賛成した議員であっても賛成できるのではないかと考えたが、委員の意見は、原案の方がいいということになった。

12月議会で取った態度と、今回の個人情報保護条例案に対して取った態度との間で、整合性を保つことができたので、ぼくの中にはすっきり感と清々しさが残った。もちろん議員としての修正案は通らなかったが、そのことよりも、昨年の秋から、条例案への理解を深めつつ、一体どこに問題点があるのかを具体的に明らかにするのに、かなりの時間がかかり、費やした時間と労力が大きかったので、整理されつつ答えが出たことが嬉しかった。
共産党の議員でありつつ、議運の委員長として、委員が納得する形で案件について結論を出すということを、やり遂げるためには、内容を精査することと、その上に立ってどうして修正案を出すのかを分かっていただき、その上に立って答えを出す必要があった。きちんと建設的な議論が組織され、問題点がある程度鮮明になれば、ぼくが取る態度も含め、混乱せずに理解してもらえたことは良かったと思う。委員長としての責任も果たせたかとも思っている。

議会の委員会の委員長は、議事を整理する権限をもっているが、委員会を代表する権限はもっていない。ここが大事なところだ。委員会を代表する権限が委員長には与えられていないので、委員会が行う仕事は、議長名で取り計らうことが多い。参考人に出席してもらう場合も、議長による文書を出さないといけないのは、委員長に代表権がないからに他ならない。

代表権がないので、議案に対して、委員長が反対しながら委員会を運営することは可能になる。委員長が本会議に議案の報告をし、質疑に対して答えたあと、議案に対する党論で、委員長が反対討論を行うことも何らおかしなことではない。この辺のところは、議会の仕組みが理解されないと、分からないだろう。

議会の、普通ではないようなルールは、議会の民主的な運営という点で、かなりよく考えられているとも思われる。もちろん、今後変更すべきことはあるだろうが、このようなルールを活用して運営すれば、いろいろなことができるとも思われる。


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Posted by 東芝 弘明