合意形成の会議って何?

出来事,かつらぎ町議会

議会だよりの委員会があり、午前中としていた会議を午後まで引き延ばす必要があった。真剣な議論が起こって、みんなに発言してもらい、いい結論が出たと思った。

会議の進め方、会議の開き方を研究してきた。会議の進め方は、ファシリテーション論というものだが、ぼくなりに得ている一つの核心は、どんなことがあってもすべての人の発言を大事にするということだ。それは個人の尊厳の尊重をおこなうという日本国憲法第13条にまっすぐつながっている。会議の進行役が、個人の発言については、どんなことがあっても無視しないということが大切になる。

意にそわない発言が出る。そういう発言が出されたらその発言を大切にする。大切な問題であればあるほど、少人数の会議であればみんなに発言してもらうことが大切になる。異論が出てもかまわない。合意が形成されるまで話し合う。

こう書くと「それは理想ですよね」という意見が出そうだ。そう、多くの人は「それは理想だ」と考える。実は「それって理想ですよね」という先にファシリテーション論を学ぶ意味がある。

ぼくがつかんだ会議の核心の一つは、みんなで議論をすれば意見がまとまり、一致点での結論が出るということだった。ただし、そうなるためには、前提となる問題がある。
会議の中には、意見が一致しなくてもいい会議がある。典型的なのは議会の議案審議。こちらは、議論を交わし、意見が一致しなくても最終的には多数決で物事を決めることになっている。そもそも合意形成が会議の目的にはなっていない。議論が全くなく、異議なしで可決されても、議会の議案審議というのは、会議としては目的を達成している。議会に出された議案は、可決できるかどうか。ここにすべての目的があるからだ。

このような会議とは別に、合意形成を目的とする会議がある。議会だよりの編集、議会だよりの作成のための会議も、合意形成を軸にした会議である。合意形成を軸とした会議の場合は、異なる意見が出されても、話し合えば意見の一致を見ることができる。大事なのは、会議を主催する人が、構成メンバーを信頼しつつ話し合えば一致できるという信念、確信をもっているかどうかに尽きる。メンバーを信頼しているかどうか。これが会議運営者に問われている。自分以外の人を心底信頼するのは難しいので、会議運営でメンバーを信頼するまでかなり時間がかかる。
ファシリテーション論では、会議の進行役が全体を導くのではないということを繰り返し強調している。会議で物事を決定するのはメンバーで、会議の進行役ではない。もし進行役が、自分が実現したい方向に誘導するような会議をしていると、メンバーは意欲を失い、会議そのものが根底から壊れていく。

たとえば4つも意見が出て、まとまらないときもある。そのとき会議の進行役は、「4つの意見がでました。さてここからどうしますか」というように意思決定を会議のメンバーにゆだねる必要がある。これがなかなかできない。そうなると進行役が仕切ろうとすることが多い。進行役が仕切るのが大事だと思っている人もいる。しかし、それは大きな間違い。

議会だよりの会議では、みんなの発言によって意見が一致した。一時はどうなるかなとも思ったが、議論を通じて結論が出たのは本当に良かったと思っている。


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出来事,かつらぎ町議会

Posted by 東芝 弘明