電車で前に立った女性

出来事

大谷駅6時26分発に乗って新大阪について博多行きの新幹線に乗ったのは、9時5分だった。
行き先は、鳥取県大山町だ。久しぶりに通勤時間帯の南海高野線に乗った。女性脚本家の大石静さんが、阿川佐和子さんに語っていたように、自分の前に立った女性に対して、思いをめぐらせた。大石さんは、妄想すると言ったが、ぼくが、30そこそこに見える女性に対して妄想と書けば、コイツ何を考えているとなる。
思いをめぐらせると書くと響きがいい。

女性はマスクをし髪を茶色に染めていた。濃い茶色のカーディガン風の上着のボタンをきっちり止め、黒いタイトスカートを履いていた。つり革を持って片手でアイフォーンを触っていた。親指だけでメールを打っている。アイフォーンのカバーは、グリーンのジーンズ柄でフタができるタイプだった。
揺れる電車の中でバランスを取るために少し足を開いて立っている。
黒いタイツに白い小さな毛玉がつき、タイトスカートにも毛玉がついていた。彼女は、通勤に南海電車を使い、小さな貿易会社に出勤する。長い間メールを打っている相手は、大学時代の女友だちだった。

メールがついつい長くなるのは、彼女のクセだった。1人でアパートを借りている。生まれ故郷は、四国の徳島だ。大阪市内にアパートを探さなかったのは、少し田舎が良かったのと、家賃が安かったからだ。大阪の富田林にある大谷大学の英米語学科に進学したので、大学当時のアパートにまだ住み続けている。
大学を出てから8年、田舎の母親は、田舎に戻って見合いしてと何度も言っている。
彼女は、週末決まっているかのように女友だちと居酒屋に行く。最近少しお腹が出てきたのが気になっている。
仕事は面白い。英語でやり取りができ英文が書けるので、重宝がられている。社長と一緒に仕事相手に会い、通訳をすることも多い。

難波で降りるときに彼女は、棚に乗せてあった明るい紺色のカバンを下ろした。肩にかけると服とよくマッチしている。新しいこのカバンは最近ちょっと贅沢をして買ったものだ。

勝手に想像して書いていると長くなった。作家は妄想のかたまり。毎日こんなことを考えながら電車に乗っている人がいる。


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出来事

Posted by 東芝 弘明