「さくらねこ」のこと

雑感

さくらねこと呼ばれている、地域で見守られている猫の話を聞くため、橋本市議会で土井ゆみこ市議にお会いした。いろいろな話を聞かせていただき、その上、かつらぎ町役場まで一緒に行ってくださって、行政の職員とも話をしていただき、具体的に対応が始まるところまでサポートいただいたので、大変お世話になった。

野良猫が多いのは猫の繁殖力の強さにある。年に2回猫は出産する。猫をかわいいと感じている人は多く、餌をあげている人はたくさんいる。ただ、餌を置きっぱなしにするとたくさんの猫が集まってきて、そこで繁殖するので20匹ぐらいの猫がいるような状況になり、道で車にひかれたり、おしっこやうんちをしたりしてかなり大変なことになる。
さくらねことは、オスもメスも去勢・不妊手術を受けた猫のことで、耳を少し三角にカットして印を付ける。切り口がV字であり、それが桜の花びらに似ているのでさくらねこと呼ばれている。野良猫であっても去勢・不妊手術を受けた猫であることが一目で分かるので、「この猫は繁殖しない」ことが確認できる。

餌をあげる方法にはルールがある。1日2回、餌をあげる時間を限定し、集まってきた猫たちの食事が終わったら餌を撤去する。同時にトイレを設置しなければならない。
時間を決めて餌を与えると餌付けになる。猫は食事の時間になると集まってくるので、頃合いをみて捕獲器で猫を捕獲し、去勢・不妊手術を行う。

動物病院で去勢・不妊手術を行うと2万円から3万円の費用が必要になる。かつらぎ町でも自費で去勢・不妊手術をしている人が実際に存在する。しかし、多額の費用が発生するので個人負担では続かなくなることも多い。

実は、命ある猫を地域で管理するために、公益財団法人の「どうぶつ基金」が国民から寄付を集め、猫の去勢・不妊治療を無料で行えるようチケットを発行している。行政が窓口になり、「どうぶつ基金」に、月初めの5日までにチケット申請をすれば、翌月の1か月間有効なチケットが発行される。
「どうぶつ基金」のチケットが使用できる動物病院は限られている。お医者さんの人数やスタッフの体制がとれるとともに、「どうぶつ基金」のチケットに対応した形態、つまり猫の去勢・不妊手術に特化した動物病院でないと対応しきれない。
自宅で管理されている猫は、衛生的で感染症のリスクも少ないし、病気になれば治療も受ける。多くの動物病院は、ペットの病院として体制を取っているので、多くの猫を一度に去勢・不妊手術を実施できるようにはなっていない。「どうぶつ基金」の行政チケットに対応している病院の手術件数は、施設の規模、医師の人数、スタッフの人数などによって、力量が決まってくる。「どうぶつ基金」に専門的に対応する病院でなければ、思うように事業が進まない。そういう病院は少ない。
住んでいる地域によっては、長距離を移動して手術を受けるようにしなければならない。したがって捕獲する猫の数と手術してもらえる件数との兼ね合いでチケットの発行枚数が制限されてしまう。餌付けして集まってくる猫の手術を早くしないと繁殖する可能性もあるので、捕獲したらすぐに手術をしたいとなるが、ここには悩ましい問題が横たわる。

和歌山県の制度としても、去勢・不妊手術に対し県によるチケットの発行が行われている。「どうぶつ基金」のチケットと県のチケットには違いがある。県は、地域で猫を管理する際には、チケット発行に条件を付けて、地域における同意や認知を求めている。このハードルが結構高いので、県発行のチケットの使用頻度は低くなる傾向にある。県と動物病院との協定が成立している動物病院で手術をしてもらえるが、一度に手術してもらえる枠が小さいし、ペット優先なので予約を取るのが難しい。捕獲と手術のタイミングがなかなか合わないことになる。感染リスクのある野良猫の去勢・不妊治療の体制を整えるのには、準備が必要になるという事情もある。

いずれにしても、対応してくれている病院は、地域の猫の状況を熟知しているのと小さい命の一つである猫に対する愛情によってすべてが支えられている。
かつらぎ町でも「さくらねこ」の管理のための制度ができている。この制度を活用して、チケットの申請をするための相談をするところまで話が進んだのはよかったと思う。


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雑感

Posted by 東芝 弘明