関税撤廃反対

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農産物輸入自由化の関係で、請願が届いたので紹介議員になって議会事務局に文書を届けた。
9月議会での審議となる。
日豪EPA(経済連携協定)が進められている。17年度に共同研究が始まり、18年12月に「共同研究報告書」がとりまとめられている。もうすぐ第1回交渉が開始されるみこみだ。
この交渉を推進すべきだとしているのは日本経団連で、昨年の9月には、「日豪経済連携協定の早期交渉開始を求める」という見解が発表されている。
この文書には次のような下りがある。

(1) 資源・エネルギー、食料の安定供給確保
日本と豪州は、自由と民主主義の価値観を共有する、アジア大洋州地域の二大先進国として、長年にわたり政治・経済・文化面で良好な関係を築いてきた。今後、わが国がアジア大洋州地域の経済統合を進めていく上でも、豪州との間に良好な二国間関係を維持、発展させていくことが重要である。
両国は、日本が豪州から主に天然資源、食料を輸入する一方、豪州は日本から自動車、機械等の工業製品を輸入するなど、相互補完的な関係にある。したがって、両国間の通商関係の発展は、各々の産業、消費者にメリットをもたらす。特に豪州は、石炭、天然ガス、鉄鉱石、牛肉等、わが国の産業、消費生活にとって欠かすことのできない、重要な資源・エネルギーおよび食料の生産国である。日本の資源・エネルギー安全保障、食料安全保障上も、将来にわたり同国との関係を強化していくことが必須である。
2.日豪EPAに期待される効果
(1) 資源・エネルギーの安定供給
豪州は、石炭、天然ガス、鉄鉱石、ウラン等、わが国にとって重要な資源・エネルギーの供給元である。インド、中国等の急成長に伴う将来の資源・エネルギーの需要増に備え、わが国としても安定供給を確保しておくことが肝要である。現在のところ、民間企業間の長年にわたる信頼関係に基づき、市場メカニズムのなかで円滑に取引が行なわれているが、日豪EPAにより、豪州による資源・エネルギーの輸出制限の禁止、日本企業が豪州の資源・エネルギー分野に投資する際の環境改善(投資許可が必要となる下限投資額の引き上げ、審査基準の透明化等)などを実現し、こうした円滑な取引関係が中長期にわたり制度的にも保障されることが期待される。
(2) 食料の安定供給
わが国の食料自給率を維持、向上させることは重要であるが、同時に、自給で賄いきれない分の、海外からの安定供給を確保することも重要な課題である。資源・エネルギーと同様、日豪EPAにより、食料に関する輸出制限の禁止、食料生産に投資する際の環境改善などを実現できれば、わが国の食料安全保障に寄与すると期待される。
(3) 関税
日本から豪州への主要輸出品のうち、自動車・自動車部品(乗用車10%、商用車5%)、エンジン(5%)、タイヤ(5〜10%)、テレビ(5%)等に関税が課されている。5〜10%という水準ではあるが、日豪EPAによりこれらの関税が撤廃されれば、それだけ日本製品の価格競争力が増し、日本からの輸出増も期待され得る*1。他方、米豪FTAにより、既に米国製品に対する関税はゼロ又は段階的に引き下げられており、米国企業との対等な競争条件を確保するためにも、関税引き下げは急務である。


お読みいただければ、日本経団連は、日本の資本の進出のためにこの交渉を進めたい意向が読み取っていただけると思う。この交渉で関税が撤廃されると農産物の輸入が大量に増えて、日本の農業がものすごく大きな打撃を受ける。
このことについて、日本経団連は、逆に食糧安保に寄与すると言っている。
どのような現状認識、心臓をしているのだろう。日本の財界は。白を黒といえばいいとでも思っているのだろうか。
農水省は、経済財政諮問会議の依頼を受けて、食糧自給率に対する影響を試算している。その数値は驚くべきものだ。
この試算は、日豪のあとに控えている日米のFTAの実現を前提しにたものである。交渉は日本の関税撤廃へという方向で動いている。
この問題についての日本共産党の主張があった。全文を掲載しておきたい。

主張
日豪EPA
交渉入り、やめるべきだ

 世界各地での干ばつや豪雨など気象異常の頻発もあり、世界の食料生産は非常に不安定な状態になっています。しかも、日本の食料自給率は40%台と世界最低水準のままいっこうに改善されません。この事態に国民の七割が不安を感じ、八割を超える人びとが少々割高でも安全・安心な国産の食料をと求めています。
 安倍内閣が四月にも交渉に入ると決めているオーストラリアとの経済連携協定(EPA)が、日本の農業に壊滅的な打撃を与え、国民の期待をくつがえすことにならないかと懸念されています。
国内農業に壊滅的な打撃
 経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)は、経済の国際化が進み、物や資本、人の移動が活発になるなかで、いま各国との間で問題になっているものですが、日豪EPAの交渉でオーストラリア政府は、農産物貿易の関税を撤廃するよう求めています。
 農産物のコストは、農業の規模や地価、労賃など、農家の努力だけでは克服できない国際格差が生じます。不利な条件をもつ国が生産を維持するためにとられるのが関税など適切な国境措置です。オーストラリアは世界有数の農産物輸出国で、農家の平均規模は日本の千八百倍と世界最大であり、日本の農家が努力すれば太刀打ちできるようなレベルではありません。
 関税を撤廃した場合に予想される日本農業への影響は、小麦、砂糖、乳製品、牛肉の四品目だけで七千九百億円、全国の農業生産額の約10%の減産になり(農水省試算)、農業関連産業の多い北海道の場合、道全体で一兆三千七百億円(道内総生産の4・2%)生産が減少し、農家二万一千戸、雇用労働者四万七千人の職が失われると北海道庁では試算しています。
 オーストラリアとの連携協定を強力に推進しているのは、日本の財界です。日本経団連の提言や経済財政諮問会議の場などで早期の交渉入りを要求する一方で、農業が障害になっているとして、大多数の農家を農政から締め出す農政改革の加速を繰り返しもとめています。
 オーストラリアとのEPA交渉は、アメリカなど世界の農産物輸出国の新たな攻勢につながることも懸念されています。農水省が二月末に公表した「国境措置を撤廃した場合の国内農業への影響(試算)」によると、農業生産額で一兆八千二百億円、農産加工業で二兆一千億円が減収、三百七十五万人の就業機会が失われます。食料自給率は40%から12%に低下するという試算になっています。
農業の再生産と食の安全
 日本共産党の志位和夫委員長は五日、札幌市内で記者会見し、日豪のEPAについて、日本共産党はFTA一般に反対という機械的立場ではないが、日豪の農産物貿易を自由化すれば日本の家族農業は根本から破壊されるとのべ、「日本と北海道の農業の存廃にかかわる交渉には入るべきでない」と、反対する態度を明確にしました。
 国会ではすでに衆参の農林水産委員会でも、重要品目を除外しない交渉入りには反対を決議しています。
 国内農業を維持・発展させることは、食料の安定供給はもとより、地域経済や国土・環境にとっても重要な役割を持っており、国民の生存基盤にかかわる大問題です。安心して再生産できる農政を確立し、食料の安全・安心を確保するためにも、オーストラリアとのEPA交渉入りはやめるべきです。(2007年3月13日、「しんぶん赤旗」)


関税を撤廃し農産物が大量に日本に入ってくると、日本の食糧自給率は12%まで落ち込んでしまう。これは驚くべき試算ではないだろうか。日本の国民の食料は、完全に外国に左右されてしまう。地球温暖化が農産物にどのような影響を与えるかは計り知れない。こういうときに、日本の財界の意向を受けて農業を破壊してしまったら、食料における安全保障は、成り立たなくなるのではないだろうか。
新自由主義の経済路線は、日本の農業破壊を通じて中山間地の地域そのものを破壊しようとしている。
この分野でも、痛みの先に未来はない。


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Posted by 東芝 弘明