消費税増税反対の意見書を全員一致で可決

かつらぎ町議会

本日ようやく3月議会が終了した。かつらぎ町議会本会議は、全員一致で消費税増税の意見書を可決した。今年、国会で議論中通にある消費税増税に対して、和歌山県内で、はじめての意見書可決になるかも知れない。うれしい。

以下は可決した意見書だ。

消費税増税に反対する意見書

野田首相は「社会保障と税の一体改革は際限なく先送りできるテーマではない。改革に不退転の決意で臨む」として、今通常国会に消費税率を段階的に10%まで引き上げる法案を提出しようとしている。
消費税は、そもそも低所得者ほど負担が重くなる逆進性が極めて強い税金であり、その税率引き上げは社会保障で支えるべき人々に重い負担を強いる結果になることは間違いなく、社会保障財源としてはまったく適正を欠くものと言わざるを得ない。
一方、消費税の導入とともに、所得税の最高税率は高度成長期には最大75%(年間所得8000万円以上)であったものが、現在では40%(年間所得1800万円以上)と、その累進性が大きく緩和され、高額所得者は減税の恩恵を受けてきた。結果として、税が本来的に有すべき所得の再配分機能が著しく低下している。
また、多くの国民が、所得も金融資産も目減りさせているにもかかわらず、個人資産1億円以上の層はバブル崩壊後もその資産を増やし続けている。すなわち、高度成長期に形成されていた「中間層」が減り、ごく少数の「持てる人」たちと圧倒的多数の「持たざる人」たちとの格差が急激に拡大している状況にある。
こうした中、今求められているのは、格差を是正しデフレ不況から景気の回復をもたらす税制改革であり、消費税はそれらとは最も対極にあって、もっともふさわしくない税制であることは明白である。
よって本議会は消費税増税に反対するとともに、所得税最高税率の引き上げや金融資産課税など、再配分機能を高める税制のあり方を検討するよう強く求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成24年3月28日


以下2本の反対討論を載せておこう。後期高齢者医療事業特別会計予算と介護保険事業特別会計予算に対するものだ。

平成24年度後期高齢者医療事業特別会計予算に対する反対討論

日本共産党かつらぎ町議団を代表して、平成24年度かつらぎ町後期高齢者医療事業特別会計予算に対する反対討論を行います。
後期高齢者医療制度の根本的な問題は、75歳以上の高齢者を囲い込んで会計を編制しているところにあります。加齢によって多額の医療費が必要になるのは当たり前のことです。国がこれをことさら強調して、医療費の抑制を過大視するのは、人命軽視につながるものです。
1983年11月24日、かつて渡辺美智雄氏は「乳牛は乳が出なくなったら屠殺場へ送る。豚は8カ月たったら殺す。人間も、働けなくなったら死んでいただくと大蔵省は大変助かる。経済的に言えば一番効率がいい」と発言し、国会で大問題になりました。しかし、後期高齢者医療制度は、まさにこの渡辺美智雄氏の言葉を具体化したものだと言わなければなりません。
政府は、75歳以上の人口が増えるにしたがって、保険料を値上げするように制度を設計しました。その結果、2年ごとの見直しによって、後期高齢者医療保険の保険料は確実に値上がりしています。抑制をはかるためには、会計に資金を注入する必要があります。今回、和歌山県は、国の指導もあって財政安定化基金や剰余金などを取り崩し24億5894万円をつぎ込みましたが、それでもなお保険料は2.77%アップし一人当たりの保険料は、51128円となりました。
先進国で高齢者を別の保険に囲い込んで、高い保険料を課し、高齢者人口が増えるにしたがって保険料を際限なく引き上げていくような制度設計をしている国はありません。このような制度は、廃止し国家と国民で支える仕組みに戻す必要があります。
国は、この10年間、国民の各階層にくさびを打ち込んで分断する政策を具体化し、国民が相互に対立しあいいがみ合うようなシステムを作ってきました。現在行われている公務員と国民の対立をあおるのも同じ本質をもつものです。
後期高齢者医療制度は廃止しかない。このことを改めて訴えて私の反対討論といたします。


平成24年度介護保険事業特別会計予算に対する反対討論

 

日本共産党かつらぎ町議団を代表して、平成24年度介護保険事業特別会計予算に対する反対討論を行います。
第5期介護保険事業計画によってかつらぎ町の介護保険の基準保険料は、5750円となり、第4期の4900円から850円引き上げられました。これによって、基準保険料は年額69000円となり、一人当たりの国保税の医療分に匹敵するようになりました。
介護保険の特徴は、介護サービスを受けている方は20.3%しかなく、圧倒的多数の方々はサービスを受けず、ひたすら介護保険料を払うだけというところにあります。
介護保険は、3年ごとの改定のたびに給付の対象をせばめてきました。今回の改定では、要支援1、2の方々を介護サービスから外して市町村の実施する「総合事業」に置きかえることが可能になりました。これは、要支援1、2の方々を介護保険の対象から外す意図をもつものです。
3年前の改定でもおこなわれましたが、今回も生活支援サービスが縮小されました。しかも今回の改定は、施設から在宅サービスへの流れをいっそう強めるものであり、生活支援のサービスの基本単位の時間は、45分に短縮されました。しかもこれによって、介護単価の切り下げがおこなわれました。60分以上のサービスの提供はできることになっていますが、介護報酬が下がるので、サービスを提供できない事業所が発生する可能性があります。
介護報酬の改定も深刻です。介護報酬は1.2%引き上げられましたが、これは全額国費であった介護職員の処遇改善交付金を廃止して実施されたものです。交付金の廃止によって、実質0.8%のマイナスとなります。サービスの縮小、実質の介護報酬の切り下げによって、サービスを受ける被保険者も、サービスを提供する事業所も改悪の制度の中で苦しむことは明らかです。
日本共産党は、2000年4月に実施された介護保険の導入準備の段階から、国庫負担が25%しかない介護保険制度では、国民の負担増が避けられないとともに、「保険あって介護なし」という事態を引き起こすことを指摘して、国庫負担の増額とともに、福祉の措置制度と保険制度を組み合わせることを提案してきました。
「保険あって介護なし」──この指摘は現実のものになりつつあります。私は、4期の時の改定で保険料が5000円を超えたら、負担の限界を超えることを指摘しました。この指摘も現実のものになってしまいました。
昨日、私は、90歳近い男性に話を聞きました。
「愛光園に入っている妻の費用は月16万円。自分の年金の3分の2が消える」
この方は、そう言って力なく笑いました。
国が、現行制度を正しいものとして、国民に負担増を押し付け続けることは、許されません。国民が納めた税金は、まず日本国憲法第25条の精神に立って、社会保障に使われなければなりません。社会保障を敵視し、徹底的に社会保障を改悪しながら、消費税を増税することは許されません。
私は、地方自治体が力を合わせて、介護保険制度の真の改善を求めて国に要求することを訴えます。

なお、今回の改正と合わせて、本町が介護保険料の減免制度を改正し、町長の判断によって、保険料を全額免除できるようになりました。このような改正は、日本共産党議員団がかねてから求めてきたものでもあり、高く評価するものです。
このことを申し述べて、私の反対討論といたします。


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かつらぎ町議会

Posted by 東芝 弘明