会議ファシリテーションがおもしろい

雑感

齊籐孝さんの『会議革命』と釘山 健一さんの『「会議ファシリテーション」の基本がイチから身につく本』の2冊を読んだ。この2つの本によって、会議の進行の基本が理解できた。会議の運営に悩んでいる方は、ぜひこれらの本を読むことをお薦めしたい。

少し自分の体験を交えた感想を書いてみよう。
司会と進行役とは全然違うのに、進行役の方が見事な司会をおこなっているように見えるから不思議だ。
会議というのは、会議に参加した人々が、自分の本音を出して議論をおこなって新しい合意を生み出すところに目的がある。でも、多くの会議は、参加した人々がなかなか本音を出せないまま終わっている。参加者の目的意識が低いことにも原因はあるけれど、そういう状況を生み出しているのは、会議の主催者の側にこそ問題があるようだ。しかし、主催する側はそのことになかなか気がついていない。

「3人寄れば文殊の智慧」という言葉がある。そういう会議になっているのかどうか。3人の会議が文殊の智慧になるためには、1つのテーマに対して3人の脳みそが混ざり合い、とけあって、その中から新しいものが生まれるように運営される必要がある。3人の知恵(脳みそ)が、混ざり合い、とけあうためにどうしても必要なものは民主主義だ。たとえば、他の2人にとっては、どんなに嫌な提案であっても、出された提案は大切に扱ってきちんと議論をするという形を大事にしないと、対等平等の人間関係は保障されない。最終的には多数決で事柄が決まるとしても、出された提案を保障して、きちんと議論されなければ対等平等の関係は生まれない。徹底的に議論が尽くされた結果、その人の提案が否決されても、それは大きな問題ではない。十分議論が尽くされることによって、提案者の意見が尊重される。

これは人数が多くなった場合でも変わらない。会議の運営ルールが明確に規定されている会議では、原案に対する修正提案もしくは新しい提案は、文書でおこなわれるし、場合によっては一定の人数の賛同がなければ、提出が認められないことになっている。そういう取り決めのない会議では、1人の提案は、きとんと保障されなければならない。
この保障があってはじめて、会議の主人公は、参加者一人ひとりだということが実現する。参加者の発言が無視されることを重ねていると、出席者の意欲は失われてしまう。
会議で自由に提案でき、その提案が大切に扱われ、きちんと会議の中で尊重されてはじめて、参加者は心を開く。安心し、信頼して会議で発言できるような会議の運営を実現すれば、脳みそが混ざり合うような会議が生まれる。

もう一つ大事なのは、物事を決めるのは参加者であって、原案を提案した側ではないということだ。原案を提案した側が会議をしきってしまうと、提案者が原案を押し通すことになる。出された意見に対し繰り返し説明を加えると、それは「説得」になってしまう。いったん、議案を提案したら提案した側はあまりしゃべらないようにすべきだろう。決めるのは会議に参加している人々。これを実現しないと会議における民主主義は実現しない。
参加者による物事の決定ということを実現すれば、その決定に参加者が積極的に参加したことになる。決定に対する責任感が生まれてくる。

2つの本では、2人一組で紙に意見を書き出すことや少人数によるグループ討議の組織について、その効能を書いている。提案して、いきなり議論をおこなうよりも、5分なり10分なり時間をとって提案に対して考えてもらうことによって、議論が深まるとも書いている。ホワイトボードの活用と効能についても力説されている。
集団で同じ時間を共有して、一人の発言をみんなで聞くだけでは、豊かな知恵を会議全体に生かすことができなくなる。多人数の会議になると、参加しているだけで、実はサボっていてもまったく気付かれない。これはものすごくもったいない話だ。
せっかく会議に参加したのだから、大いに本音トークをおこなっていただいて、決定に参加してもらうべきだ。
会議の中で黙っている人を作っている責任は、主催者の側にある。1回の会議で全員を活性化することはできないことが多い。しかし、自由に発言できる会議を生み出すことによって、全員が主体的に参加していくような会議を目指すべきだろう。

以上が2冊を読んだ感想だ。ぼくの感想なので、本に書かれていることと重なっている点はあるが、独自の視点もある。会議にとって重要なのは民主主義だというのは、本に中では強調されていない。しかし、この2つの本に共通している最も根本的な思想は民主主義だというのが、一番強く感じたことだった。この「神髄」をつかむことによって、本に書かれていたことが、自分の中にしみ込んだと思っている。本を読んで実践しながら、しばらくすればまたこれらの本に立ち返る。それを何度か繰り返すことによって、新しい発見に出会えると信じている。

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Posted by 東芝 弘明