広域のごみ処理施設は民間委託に

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6月議会の一般質問では、橋本広域市町村圏組合で事業が進められている広域のごみ処理施設の管理運営について、質問をおこなった。
広域のごみ処理施設の管理運営。この施設の管理棟は、事務組合による直営、焼却施設は民間委託、リサイクルセンターも民間委託という方針になった。この方針を決定したのは、5月末だった。副市長による幹事会で方針が決まり、市長と町長による管理者会でこの方針は確認された。
広域のごみ処理について、組合は、住民に対し「安心・安全な施設をつくるのでご安心下さい」という説明をしてきた。初期の頃は、「公害のでない世界一の施設をつくる」という夢の世界に迷い込んで出てこないような認識までお披露目していた。
環境アセスメントがおこなわれ、当然、環境への負荷が調査され、環境に対して負担がかかることを前提に、都市計画法に基づく報告会が開かれた。この報告は、「公害のでない世界一の施設」という大言壮語を廃棄処分にするものだった。が、国の基準を大きく下回る施設になるのでご安心いただきたい、これが説明会での態度表明だった。
このような説明は、暗黙知として「施設は直営による運営です」ということが前提になるものだった。
しかし。
話が進み、計画が具体的になるにしたがって、類似の施設では50人程度の職員体制が必要であることが明らかになる中、「直営ですべてを運営することは困難」、というようなものの見方が大勢を占めるようになった。橋本市とかつらぎ町の現業分野の職員をすべてたしても12人、あと38人も雇用しなければ、スタートが切れない、こういう認識が、民間委託にカーブを切る力になった。
かじは切られ、船は大きく弧を描いた。
ぼくは、こういう状況下で、質問に立った。まず、広域の組合に、質問準備のための資料を請求した。
「資料は出せません」──これが広域組合の態度だった。
仕方がないので、かつらぎ町のなかで副町長と担当課長がもっている広域の会議の資料を開示してもらえるよう、情報公開条例に基づいて請求書類を提出した。
これは、かつらぎ町のもっている公文書について、情報開示を求めたものだ。かつらぎ町は独自に判断を迫られた。が、この情報開示請求に対し、かつらぎ町は、広域組合に情報開示をしていいかどうか、問いただし、意思形成過程の情報だから非開示という回答をもらい、ぼくに対し、意思形成過程の情報だから非開示という態度を示してきた。オウム返しとはこのことだった。
奇々怪々なことに、広域組合には、情報公開条例がない。これは明らかにサボタージュだったといっていい。情報公開条例を作らなかったのは、住民との約束違反だった。
2006年9月14日、都市計画法に基づく説明会が産業文化会館で開かれた。その席上、情報公開条例の制定と住民監査請求、請願や陳情に対する取り扱いなど、自治体がもっている情報開示や住民の諸権利を行使できる制度を作ることを、ぼくは求めて質問した。その時の答弁は、「情報公開条例は作ります」というものだった。あれから2年、広域組合は、情報公開のシステムをまったくつくらないまま、日を過ごしてきた。
情報公開条例を作れないほど忙しかった。ということだろうか。カミソリ一枚も隙間のない多忙さ。だとすれば、広域は激務だったことになる。
ぼくは、開示請求の際、情報を開示できないのであれば、その根拠を示していただきたいという意見を述べた。
「意思形成過程の情報だから開示できない」──これが広域組合の言い分だったが、これはしかし、情報公開をもたない広域組合による、「何の根拠もない」拒否だった。
参考的に書いてみよう。
橋本市には情報公開条例がある。意思形成過程という言葉は、自治体の意思を形成する過程という話。この言葉に関わる条例は第6条の(3)だ。意思形成過程の情報は非開示という話は、この情報公開条例から援用したものだったのかもしれない。しかし、これは、日本のスーパーで中国紙幣を使うようなものだ。我田引水。お門違いも感きわまれり。

第6条 実施機関は、公文書の開示の請求(以下「開示請求」という。)に係る公文書に次の各号のいずれかに該当する情報が記録されているときは、当該公文書の開示をしないことができる。
(3) 市の機関内部若しくは機関相互間又は市の機関と国、独立行政法人等、他の地方公共団体、地方独立行政法人若しくは公共的団体(以下「国等」という。)の機関との間における審議、検討、調査研究等(以下この号において「審議等」という。)の意思形成過程に関する情報であって、開示することにより、当該審議等又は将来の同種の審議等に支障が生ずると認められるもの


もし、広域組合に情報公開条例があった場合、今回の意思形成過程の情報非開示が成り立つかどうか。
住民は、安心・安全を確保するために、具体的には直営での管理運営を求めていた。そして、このことについては、直営を基本に考えるという、含みはあるものの、見解も示されていた。今回の決定は、今まで住民との間で積み重ねられてきた方向をひっくり返すものだった。
こういう重大な方針変更を含む決定は、住民に対し情報を開示しながら決めるべきものだろう。意思形成過程の情報だから非開示というようなものではなく、今日までの住民との協議のプロセスをふまえるのであれば、積極的に開示して決定されるべきものだった。
そういうことではないだろうか。
ぼくは、この認識に立っていたので、情報公開の際、引用文の中のアンダーライン部分についての解釈を求めた。「意思形成過程の情報は、これを開示しない」──こういう規定であれば、意思形成過程の情報開示は不可能になる。しかし、「開示することにより、当該審議等又は将来の同種の審議等に支障が生ずると認められるもの」という規定は、意思形成過程の情報非開示に条件をつけているものだ。つまり、この規定は、意思形成過程の情報であっても、場合によれば開示するということを根拠づけたものだ。
意思形成過程の情報は無条件で非開示というような機械論は成り立たない。
しかし、今回は、この条例に対する解釈は示されず、第6条の3によって非開示という決定がなされた。
審議に支障が出るので開示できない。これが広域の言い分だった。
この言い分は、かなり意味が深い。非開示によって、住民に反対されると審議に支障が出るという解釈さえ成立する。
広域には、住民の意向に逆らう決定をおこなうという自覚があったのかどうか。
これを確認する必要もあるだろう。
広域組合のとった態度は、本当に正しかったのかどうか。
これが鋭利な刃物のように問われている。
資料をいただけないので、ぼくは広域に足を運んで取材した。資料は出さないが、説明にはていねいに答えていただき、質問を準備することができた。資料は出せないが、口頭ならば情報は提供する。なかなか面白い。こうなると、資料公開拒否は、変なこだわりなのかとも思えてくる。
なぜ、民間委託なのか?──リスクの分担。この言葉が、問題を解くキーワードだった。


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Posted by 東芝 弘明