すみだこども園を訪問した

出来事,議員の活動

橋本市にあるすみだこども園を訪問し、お話を聞かせていただいた。270人ぐらいの子どもたちが、この園で生活している。こども園の施設を見せていただいた経験は、これで2度目になる。以前視察で宮崎県に行ったことがある。
施設建設というものは、非常に難しい。こども園の建設を行ったのは、橋本市であり、この園を指定管理しているのが顕陽会だった。子どもたちが生活している部屋に面して広い廊下があり、そこからほとんど段差なしに園庭に出られるようになっている。廊下と園庭は壁や戸で仕切られていない。開放的な感じがするが、横殴りの雨が降ると廊下が水浸しになるのだという。のびのびとした子どもを育てたいという設計思想に基づいているように見えた廊下が、実は悩み深い存在だったということだ。

全国にはたくさんの幼稚園や保育所、こども園がある。その中には、ものすごくよく考えられて建てられた建物がある。自治体は、少なくとも100ぐらいの事例を徹底的に調査して(コミュニティデザイナーの山崎亮さんの受け売り)、何がいいのかをよく調べた上で建物を建てるべきだろう。その際に学ぶべきなのは、保育思想だ。設計の技術を見るのではなくて、中心的に学ぶべきなのは、子どもたちにとってよい施設とは何か、どういう施設が、保育にとっていいのか、ということだろう。
多くの施設は、基本的な水準をクリアしていると思われる。しかし、よりよい保育を実現するのに貢献する施設というものにはなっていない。

だが、全国の施設の中には、保育の専門家が見ても舌を巻くような、驚きに満ちた施設があるだろう。そういうものをたくさん知った上で建物を建てる必要がある。設計業者を選ぶときにも、そういう観点で建物の設計を組んでくれるような業者を探すべきだろう。そういう業者は、数が少ないが確実に存在する。それが叶わないのであれば、自治体の職員が、豊かな保育内容をどう実現するのか、という事例を徹底的に探すべきなのだと思われる。設計のプロでなくてもいい。よりよい保育を実現する施設とは何かということを、保育の現場に行ってできるだけ多く学ぶことが重要になる。こういう経験を積みかさねて行けば、施設建設に対する目が肥えてくると思われる。
議員が、建物の設計について意見をいうことは、ほとんどできない。議員が設計を見せられるのは、契約の一歩手前になる。こういう最終段階で議員の意見が噴出するような設計というのは、ものすごく出来が悪いと言わなければならない。にっちもさっちもいかないような最終段階であるのに、議員に説明すると不満が噴出する設計というものは、極めて問題だといえる。でも、そういう施設がたくさんある。施設の設計を見せて、保育の夢が膨らんでくるような設計というものに出会ってみたい。

結局、デザイン重視の、しかし中途半端な設計をしてしまった場合、困るのは施設を使用して保育する側になる。小さな子どもたちは、保育施設の良さ、悪さというものにはほとんどこだわらない。小さい子どもたちにとって、大切なのは先生と友だち、遊べる場所だ。先生と友だちがそろっていれば、そこに保育所が存在し幼稚園が存在する。施設は、子どもたちがほとんど意識しない空気のような存在になるが、子どもたちのことをよく考えて建てられた施設は、空気の力を十二分に発揮する。

宮﨑県に行って見せていただいた施設は、270人ほどの使節だったにもかかわらず、保育の部屋が小さく区切られており、少人数の保育ができるような工夫がなされていた。35人が入るような部屋は作っていなかった。子どもたちにとって大きな集団は必要ない。十数人あれば集団の役割は十分果たせる。3歳や4歳、5歳の子どもたちが、一体どれぐらいの人間を自分の生活の関わりの中でともだちとして認識できるのかというと、その人数はそんなに多くないと思われる。35人というような大きな集団を組織して保育するよりも、10数人の小さな集団を作り、その中で子ども一人ひとりを大事にできる保育を実現する方が遙かに良い。
それはおそらく小学校にも言えるだろう。一クラス10数人というものを実現して、みんなが授業に積極的に参加し、十分に自分の発言ができるような仕組みを作り上げる方が、人間の成長にとっていいと思われる。
もっと大きな人間集団が必要なときがあるって?。
その時には、2クラス、3クラス合同の取り組みをすればいいだけの話だ。日常生活は少人数でということが実現するだけで、日本の教育はもっと良くなる。子どもたちに学ぶ力をつけさせたいのであれば、少人数学級が最も効果的だろう。

かつらぎ町のこども園も、少人数の保育は実現できない。大きな箱の中に子どもたちを入れるような保育形態が取られている。豊かな保育思想が感じられない建物の設計には、悲しいものがある。
佐野こども園を見ていると、2月も終わろうとしているのに、まだ引き渡しが完成していない。1か月を切った準備期間しかない中で、新しいこども園は、子どもが抱えるストレス、新しい建物になじめないストレス、新しい職場の抱える人間関係のストレスに悩まされるだろう。問題が発生してしまうと、親のストレスが、この3つのストレスの上にさらに加わってくる。要望していた道路への信号機の設置も実現しないように見えるし、4月早々の開園のときの式に親と子どもが一堂に会して式をする際に、駐車場の確保ができずに大きな問題が発生してしまうことさえ、心配される。
最初からトラブルに見舞われることだけは避けてほしい。一番最初からつまずいたら、事業の歯車がうまくかみ合わずトラブルにさいなまれることになりかねない。

4年目に入ったすみだこども園は、落ち着いた雰囲気の中にあった。子どもたちの笑顔が可愛かった。初めて見るぼくに話しかけてくる子どもが多かった。伸び伸び育っているし、安心して育っている雰囲気が子どもたちの中にあった。話をして気がついたら2時間という時間が、とうに過ぎていた。

お忙しい中、お相手をしていただいた副園長のM先生、ありがとうございました。


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出来事,議員の活動

Posted by 東芝 弘明