10年間民設民営で給食実施。賛成しました。

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学校給食の運営審議会が午後7時から9時まで開催された。
12月議会の債務負担行為が取り下げになり、その債務負担行為の内容を審議会に差し戻すということになっていたので、開催された会議だった。
教育総務課長からは、次のような説明があった。
民設民営の学校給食の委託は、現在のところ1食当たり250円という線で業者から仮の見積もりをとっている。7年の委託になると1食当たりの経費は、これよりもかなり大きくなる。中学校給食は、10年間の民設民営の委託の中で実現したい。保護者負担は、250円よりも軽減したい。
この内容は、答申とは大きく食い違うものだった。
委託費の考え方について、町の考えをさらに説明しよう。
委託費は、調理と配送、食器の回収というものだけではなく、10年間の委託期間の中で業者が運営できる金額らしい。つまり、この委託経費は、10年間で業者が投資した資金をペイできるというものだ。この考え方でいえば、かつらぎ町の委託経費の中には、業者が投資した費用の回収が含まれることになる。施設をもっている業者に対する委託ではないので、ゆらや貴志川中学校の民間委託とは条件が全く違うらしい。
12年間に及ぶ民間委託契約になるのは、施設建設を行う業者に対して、債務負担を起こし契約することによって業務委託を保証するということだった。
「10年間の民設民営の委託期間が終了すると、センター給食への移行が図られるのか」という問いに対しては、無言のままで誰も答弁しなかった。これは、民設民営の学校給食は実施するが、10年後も再委託がありうること、場合によってはずっと民設民営のまま運営されることを意味している。
このことを指摘しても否定しなかった。否定しない事実は重い。
これに対して、どういう態度をとるのかが問われた。
結論を書くと、ぼくは、学校給食を実施するという1点で賛成するという態度を表明した。
会長が、「これで納得いただけますか」と問うので、ぼくは、「納得はしませんが、賛成します」と答えた。
学校給食が実施されることは喜ばしいことだ。中学校給食もできるだけ早く実現したいというのも喜ばしいことだし、父母負担の軽減を図り保護者の給食費に対し補助するというのも喜ばしいことだ。
今後は、中学校給食の実現とセンター給食への移行が運動の焦点になる。
この方向でがんばりたいと思っている。
しかし、こんな後味の悪い審議会はなかった。
非常に日本的なあいまいな議論の仕方で、積み上げてきた審議というものが大きく踏みにじられた感が強い。
審議会の答申の基本は、
1 民設民営の学校給食の実施
2 中学校給食実施時にセンター給食に移行する
3 地産地消への努力
4 食物アレルギーへの対応
4 給食費は250円
というものだった。
このなかで、民設民営からセンター給食への移行というテーマが、いちばん難しい議論だった。誰もが「いったん民設民営の学校給食が実施されたらセンター給食への移行は難しいのでは」という思いが湧くだろう。
この実現困難な課題をどうすれば実現できるだろうか。
実現への最大のよりどころは、山本町長の議会における答弁にあった。
「財政問題を大きな理由として、まずは民設民営による学校給食を開校した小学校から実施する。しかし、近い将来、中学校給食も含め考える必要がある。学校給食はセンター方式にすべきだと考える。」
これは、平成21年9月議会の答弁だった。
学校給食運営審議会は、この町長の答弁を最大のよりどころにして、またこの答弁を最大の根拠、大前提として議論を組み立てていた。この答弁がなければ、答申の中に移行の考え方を書き込むことはできなかっただろう。
審議会答申のその部分を引用してみよう。

3 民設民営による学校給食の運営について
 
 民設民営による学校給食は、町長が平成21年9月議会で「財政問題を大きな理由として、まずは民設民営による学校給食を開校した小学校から実施する。しかし、近い将来、中学校給食も含め考える必要がある。学校給食はセンター方式にすべきだと考える。」と答弁したように、先ず民設民営でスタートし、近い将来、中学校給食も含めた学校給食を公設によるセンター方式で実施する。そのために、審議会で引き続き協議するとともに教育委員会に対しては早急に移行計画の策定を求める。
 なお、民設民営の学校給食では、労働者派遣法等の関連法規により栄養士が業務委託した民間業者の調理員に直接指示できないという課題がある。このことを克服するには、公設によるセンターの設置が必要である。また、民設民営の学校給食を実施する市町村に対して、和歌山県は栄養士の配置を行わないので町で雇用しなければならない。
 業務委託する民間業者については、学校給食法をはじめ学校給食衛生管理基準などの法規制を遵守でき、運営においては子どもや保護者、そして学校の要望などに対応できる業者を選定する。その具体的な委託内容は、給食の調理作業と運搬、そして食器の洗浄とする。
 なお、今日の経済的に低迷する地域社会においては、今回の民設民営による学校給食を実施することにより食材調達や雇用などで本町の経済対策となることを切に期待する。

上記の文章を読めば、民設民営からセンター給食への移行は、極めて鮮明な考え方によって行うべきだとなっているのがよく分かると思う。
しかし、本日の議論は、「民設民営で学校給食を実施して、どうしても民設民営が悪かったらセンターに移行すればいいのではないか」というものだった。
うーん。日本人の議論の仕方をぼくはよく分かっていなかった。「ご無理ごもっとも」、「そのとおり、そのとおり」ということを重ねていき、文書が作られても本音は全く別のところに存在する。これが今回の実際の姿だった。
こういう傾向を見抜けないぼくは、政治家失格かも知れない。
答申にここまで鮮明な文章が盛り込まれれば、少なくともこの方向にそって具体化が図られるという甘い考えがあった。
文書どおりに事が動く国は、まだ彼岸にある。
教育委員会や町長部局は、「審議会では十分議論をしていただいた」「ありがたいことです」といいながら、また「答申については最大限尊重させていただきたい」といいながら、答申とは違うことを提案してくるところだ。しかも、提案している中身について「どこが答申と違うんですか、尊重してますよ」という態度を取る。こういう世界の中で対峙していることを、忘れてしまい、見抜けなかったのだから、ぼくはなんというお人好しだろうか。
センターの移行を保証していたのは町長の答弁だった。しかし今日の町長は、一言もセンターへの移行を語らなかった。ぼくが、「11年後にはセンターに移行すべきだ」というと、町長は、一生懸命「何を置いても先ず給食を実施したい」という発言をおこなった。
ぼくが、センターへの移行にこだわって発言すると、ある委員から「そんなこと言ってたら学校給食は実現せえへんで」という意見も出た。
2階に上げられてはしごを取られるということだろうか。それとも、現実を進行させて、「ここまで来たんだから、もう時間がないからそんな難しいことはいわないで賛成してくださいよ」ということなんだろうか。
賛成できないという態度が取れたら、気持ちがすっきりするかも知れない。
だからこそ、重ねて書く。民設民営の学校給食を10年間業者に委託して実施する方針に賛成する。
賛成×賛成=賛成だ。
学校給食実施への道をひらく努力をしてきたのは、誰よりも日本共産党の議員だった。20年前の公約が今ようやく実現しようとしている。
かつらぎ町は学校給食よりも愛情弁当だと言い放っていた自治体だ。教育としての学校給食を対峙し、自校調理方式を求めてぼくたちは運動した。センター方式でもやむを得ないという方針を打ち出して給食実施を求めたのも日本共産党だった。
O-157が起こったときも、町が校舎改築を優先させるという方針を取ったときも、学校給食の実施を求め、道を切り拓いてきたのは、日本共産党の議員だった。この努力をしてきたぼくたちは、学校給食の実施に賛成する。町民の悲願がようやく実現する。
しかし、後味が悪い。
審議会のために割かれた時間が、全く宙に浮くような感じがある。受け入れ不可能なことならば、徹底的に議論をすればいいのに、徹底的な議論をさけ、こちらの議論を受け入れ、さも尊重するような態度を取り、最終段階でどんでん返しを仕掛けてくる。
上手だといえばいいのだろうか。
久しぶりに不快な会議に出席させて頂いた。
腹の虫がおさまらない。
不愉快から「不」を取りたいが、眠らないと「不」は取れそうにない。
会議では、喧嘩しなくてもいい会長とも少し言い合いになった。
(会長とは対立しあう関係にはありません。ほんとです)
会議終了後、
「学校給食が実施するだけでもよしとしましょうよ」
駐車場でこういう声をかけていただいた。
救いは、外の世界がしんしんと冷え込んでいないことだった。
一生懸命費やした時間が、鳥の羽より軽いこともある。
時間を返せとも言いたいが、
「それでも地球は動いている」ということだろう。
本日はこれでおしまい。


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Posted by 東芝 弘明