新入職員、1日議会を傍聴する

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議会の最終日、9時10分の少し前に議場に入ると、傍聴席に若い人々の姿があった。ここ数年、新入職員の研修として、丸1日議会を傍聴することになっている。
20歳を少し超えたように見える若い人の顔には、新鮮な輝きがある。くたびれた中年や初老に近いおっさんとおばさんが議員として議場に入ってきて、9時30分になると本日の議会が始まった。
最初に質疑が行われたのは、土地開発公社の決算報告だった。
土地開発公社が、どのような法律によって成り立っているのか、その法律によってどのような事業が行われているのか──これが把握されていないと、質疑を聞いていても深いところが分からない。
おそらく、分かるのは、土地開発公社には10億円を超える赤字があり、この赤字が町民の税金と国民の税金で損失を補填しようとしていることぐらいだろう。
土地開発公社の質疑は、いつもぼくの質疑から始まる。今回は角度を変えて町長に聞いた。
「溝端町長時代に土地開発公社は土地を買いあさって、経営破たんを引き起こした。この当時、日本共産党議員団は、このような土地の買い方をしていれば、経営破たんが引き起こされると言って方針転換を求めていた。南町長になったときには、前任者の町長に対して告発すべきだとも迫った。日本共産党が当時取っていた態度は誤りだったと言えるかどうか、お答えいただきたい」
これに対し町長は、「今から見れば誤りではなかった」と答弁した。
土地開発公社の質疑の後、議会推薦の農業委員の人事があった。提案を総務産業常任委員会の委員長である赤阪議員が、議長の前にある壇上に登壇して、提案説明を行った。
提案後議長が休憩を宣言して、全員協議会が開催された。
とまあ、こんな風に議会の風景を描写していくと、今日1日の出来事はものすごく膨大な記事になってしまう。
かつらぎ町議会の議場を新入職員に見せている自治体は、数少ないかも知れない。議会という場は、町当局や町長にとっては、議員から鋭く指摘され、謝る場合もあるし、不十分な答弁を突っ込まれて、恥ずかしい思いをする場合もある。このリアルな姿を新入職員に見せてもいいと判断した町長の決断は立派だったといえるのではないだろうか。
おそらく、多くの自治体では、議会については職員の研修のための学習会で説明するだけに留まっていると思われる。議会の生の姿に接することによって、地方自治体の姿を立体的に把握するのは、非常に有効なことだと思われる。
委員会主義を採用している自治体では、本会議場がセレモニー化している。かつらぎ町は、重要なやり取りは、すべて本会議で行われるので、本会議場がまさに真剣勝負の世界となっている。議場には緊張感がある。
朝から雨が降っていた。この雨はほぼ1日降り続いていた。議場の東側と西側は大きな硝子がはめられているので、景色がよく見える。時々目を遣ると雨は辺りの景色を煙らせるように降っていた。
すべてのものが、雨に激しく叩かれていた。議会では、町当局の提案した議案を議員が強く叩いていた。雨にも音がある。議場にも打てば響くような誠実さと真剣さが求められる。
今日1日のやり取りが、そういうものであったかどうか。それは、傍聴していた若い職員に聞いてみるのがいいだろう。


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Posted by 東芝 弘明