向田邦子さんの本「無名仮名人名簿」

雑感

金田一さんの本「ホンモノの日本語を話していますか」を読んだあと、久しぶりに向田邦子さんの「無名仮名人名簿」というエッセイを読み始めた。この本も以前読んだことのある本だ。
内容はほとんど忘れているので、新鮮に読める。
この方の文章は、目に見えるようだ。難しい理屈に走らない。いつも具体的な描写がある。この本のエッセイは、表題がテーマになっている。おそらくテーマ設定をして書き綴ったエッセイを本にしたのだろう。日常に出来事をエッセイにすると言うのではなく、表題のテーマに沿って、向田邦子さんの体験が時間軸を超えながら書かれている。
文庫本をひらくと所々にイラストが描かれている。墨筆で描かれたようなイラストには柔らかさと温かさが漂っている。文章に絵がよく合っている。
1983年に第一刷とあり、ぼくが手にしている本には2005年25刷とある。20年間も読み続けられて版を重ねるということは、多くの人が向田邦子さんとの出会いを果たしていることを意味している。
若い人にも読まれているだろうか。同じような年代の人で向田邦子さんと向かい合っていなかった方々が、向田邦子さんに出会っているのだろうか。その辺の事情はよく分からないが、このようなエッセイに心引かれる人と友だちになってみたい。
向田さんが亡くなったのは、1981年の飛行機事故だった。この文庫本は、おそらく上製本を文庫本にしたものだったのだろう。1983年に文庫本化されたときには、向田さんはもうこの世にいなかった。死後編まれた文庫本は、今も生命力を持って読み継がれていることになる。
この本は、以前ぼくの手元にあった。探し出すのが面倒なので、ブックオフで200円した本を買ってきた。何日間かはこの人の世界に浸っていたい。

雑感

Posted by 東芝 弘明