人権フェスティバル 娘の絵が優秀賞に 2005年11月20日(日)

出来事

朝10時過ぎに家族3人とおばあちゃんとで聖心幼稚園の園展に行った。いい天気だ。妻は、さっそくバザーコーナーでボディーソープや石鹸を物色していた。ぼくは、まず子どもたちの作品展を見ることにした。今年のテーマはいろいろな乗り物。写真のツリーのオブジェにも子どもたちが作った飛行機がつりさげられていた。

子どもたちが自分の顔を描いた絵の中に面白い表情の絵があった。眉毛と口が何となく面白い。大人のように計算して描かれた絵ではないので、なんだか自由にのびのびしている。この絵からは、優しさがにじみ出ていた。優しい気持ちの時に描いた絵だろうか。

消防自動車を描いた絵もたくさんあった。ぼくの一押しの絵は、これだ。消防自動車の形が面白い。きちんと赤い炎が描かれていて、2人の消防士が水を一生懸命かけて消火している。赤の色使いにためらいがない。描いた子は、消防自動車の赤い色の印象が強かったのかも知れない。
この絵を描いたのは、ぼくの近所の男の子。わが家の娘より1つ年下だ。

園展をあとにして総合文化会館に向かった。町主催の人権フェスティバルが土曜日から開催されており、昼から式典と朗読劇がある。
娘は、人権啓発ポスターの部門で優秀賞になり、他の優秀賞と最優秀賞の子どもたちといっしょに記念撮影を撮ることになっていた。記念撮影は、山本惠章町長を真ん中に受賞した子どもたちが左右と後ろに立って撮られた。
優秀賞になった娘の絵(上の写真参照)は、今年の夏、3人で愛地球博に行ったときの思い出を描いた絵だ。ぼくと娘が手をつないで歩き、かなり遅れて妻が歩いているときのことを絵に描いている。観覧車もゴンドラリフトも赤い路上電車式バスも描かれている。愛地球博で印象に残ったことをよく覚えていてのびのびとその時のことを描いている。「みんななかよし」という文字の配置もいい。
親子3人この絵の前で記念写真を撮り、本番で娘は、山本町長から表彰状を受け取った。壇上にのぼって立った子どもたちの中で、小学校1年生はわが家の娘だけだったので、ひときわ背が小さかった。
絵の優秀賞と最優秀賞は、5人ぐらい、作文の部の優秀賞と最優秀賞は10人ぐらいだった。作文の部の子どもたちは、1人ずつ自分の作品を朗読した。
12時45分から手話コーラスがあった。多くの子どもたちが壇上にのぼり、手のひらを太陽にを歌った。
2時から朗読劇「Hiroshimaからの手紙」が上演された。1時間10分ぐらいの堂々たる朗読劇だった。
最初、朗読に立ち現れたのは、お坊さんのTさんだった。力強く、よく響く声で峠三吉の「8月6日」が会場に響いた。
朗読劇では、子どもだった被爆者の詩やおばあさんの詩、大人の女の人の詩など、数多くの詩を朗読した。原爆が、人間にどのような惨害を与えたか、それぞれの詩は、具体的にそれを告発していた。
hiroshimaは、私たちに核戦争のむごたらしさと戦争の悲惨さを今も告発している。告発の手はやまない。人間の生と死という根源に迫る生きた体験は、私たちを突き動かさざるをえない。
女の人たちの集団による朗読が終わったあと、再び高校生が舞台に登場して、峠三吉の「序」が読み上げられた。

ちちをかえせ ははをかえせ
  としよりをかえせ
  こどもをかえせ
 
  わたしをかえせ わたしにつながる
  にんげんをかえせ
  にんげんの にんげんのよのあるかぎり
  くずれぬへいわを
  へいわをかえせ


多くの詩が折り重なり、響きあって人々に迫り、その上にこの詩が読み上げられると、峠三吉の肉声が生々しく聞こえるような感じがして、鳥肌が立った。
峠三吉の叫びが直に伝わってくるようだった。
(写真は、フィナーレの時のもの。壇上に勢揃いした出演者の方々は、手に灯籠をもっている)。
ぼくは、この朗読詩を聞きながら、現在、自民党が発表している日本国憲法改正案を思わざるをえなかった。
9条の精神は、広島と長崎の原爆による被爆体験と深く結びついている。
「くずれえぬへいわを  へいわをかえせ」
この叫びは、「9条を実らせよ、9条を守れ」という思いに直結している。
憲法9条2項が廃止され、防衛軍を明記し、国際貢献という名の下で防衛軍が海外に派兵し、アメリカの戦争に全面的に参加する時代が、ぼくたちの目の前にぶら下がっている。
永久に保障することを宣言した基本的人権は、自民党の手によって次のように変えられようとしている。

「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う。」


国家の都合による、基本的人権の制限。上から国民の心臓をわしづかみにするようなこの条文。高らかに宣言された国民の永久の権利への蹂躙。
自民党のもっとも核の部分は、かつらぎ町の今回のような上演を苦々しく思う勢力に変身している。このメタモルフォーゼにまだ国民の多くは気づいていない。
とまれ。
「9条を守れ」──このエネルギーは、かつらぎ町内にある──そう信じさせてくれる朗読劇だった。


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出来事

Posted by 東芝 弘明