庁舎建設の方針はここに

雑感

午前中は庁舎建設県党特別委員会が開かれた。説明のあと質疑をさせていただいた。一問一答形式なので細かく聞かせていただいた。この中で明らかになったことは以下のとおり。
まず庁舎の場所は、振り出しに戻ったので現庁舎の場所も含め、候補地をいくつか出して、町の審議会である改築の検討委員会で満場一致で現庁舎の場所に決まり、候補地はすぐに建設予定地となった。この報告を踏まえて委員会による質疑が行われた。

町は民間の力を借りて庁舎建設を進めようとしている。庁舎建設の基金は現在4億2000万円あるが、かりに30億円建設費が必要だとして、備品にも1億程度いるという話だった。こういう設定の場合、現金が8億円ほどいるという話だ。今まで4億2000万円と貯めるのに8年かかったから、これからも8年かかるかも知れないという話をされた。しかし、財政危機があったのでなかなか建設資金を貯めることができなかったが、財政が好転したなか、本当に建設資金を貯めることができないのか、それはどう調査されたのかを聞いても、明確な答えは出なかった。

町の方針は以下のとおりだった。建設のためにPFI方式を採用する。PFIには6種類ぐらいあるが、どの方式がいいのか、企業がサウンディング調査を行い、参加した企業から提案をいただくということだった。この方針がどこで決まったのかを尋ねると、経営会議(町長、参事、教育長)だという答が返ってきた。資料はあったのかと聞くと、参事は「資料はなかった」と答弁した。

どうして、職員による調査からはじめないのかをきくと、参事は「PFIを活用する方針は変わりません」という態度を示した。ぼくは、建設の出発だからもっと地道に、堅実に調査から始めるべきではないか。方針を改めた方がいいのではないかと言った。

PFI方式には、大まかに言えば、建物だけを建ててもらい町が建設費を払う方法(ここからいろいろ枝分かれする)と民間の商業的な施設(お店やマンションなど)と組み合わせて建設し、お店などの収入によって町の建設費の負担を軽減するという方法がある。
前者の方は、企業の資金を活用して建設資金の不足を補って、後年度町が建設資金など(ケースによっては施設の維持管理費も含む)を支払っていくということになる。この方法は、自前で資金を調達して、起債を起こし、徐々に返済するよりも後年度の負担が重くなる。これは資金がない自治体だから致し方ないともいえる。
後者の方はリスクが伴う。順調にいけば商業施設等の利益によって建設費が安く上がるという自治体にとっても企業にとってもウイン・ウインの関係が構築できる。しかし、民間の施設が撤退や経営破綻などに陥ると、使われない商業施設を自治体が抱え込むことになるし、その部分の建設費も支払いの中に入ってくることになる。かつらぎ町のような田舎で、商業施設との抱き合わせで庁舎を建設すべきなのかどうか、これは精査しないと判断できない。
町の考え方では、民間が無料で行うサウンディング調査によって、PFIのどの方式がいいのか提案してもらうということになる。ぼくはこのやり方に対して「丸投げ」ではないかと言わせていただいた。国土交通省のサウンディングの基本方針を読むと、自治体が精査した上で、何を調査してもらうのか見極めないと、民間企業の負担が重くなってうまくいかないと書かれている。
庁舎は、地方自治体が建てる建物の中でもっとも複雑で多機能な施設となる。まずは地方自治体自身が基本的なコンセプトにもとづいて、考え方を絞り込んでいく必要がある。
以前から行われていた民間企業によるマスタープランの委託とサウンディング調査は別物。サウンディング調査は無料で企業が行うもの。マスタープランは自治体がお金を出して調査してもらうもの。どうしてサウンディング調査が成り立つのかといえば、その土地に有効な投資のインセンティブがあるかどうかによる。儲かる対象であれば、商業施設とセットの庁舎に魅力が出る。
人口減少が進み、将来不安がリスクとしてある自治体で、そのようなインセンティブが働くのかどうか。ここをよく自治体自身が自分たちで見極める必要がある。こういうやり方が本筋ではないだろうか。

ぼくはPFIにしてもサウンディング調査にしても、それ自体を否定しようとは思っていない。いずれにしても地方自治体が基本的なコンセプトやグランドデザインをきちんと考える中で、選択肢を絞るべきだと言っているだけだ。何の資料もなしに、話し合いだけでPFIとサウンディング調査を行うことが決まっていることには、不安と懸念が生じる。


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雑感

Posted by 東芝 弘明