日本経済の立て直しと税収確保

雑感

2009年1月21日(水)「しんぶん赤旗」

この10年間における国民の負担増は、半端じゃなかった。10年間のスパンでどれだけ負担が増えたのかという資料が簡単には見つからないので、02年から08年までの負担増のグラフをトップに載せておこう。
国民は今まで以上に税金を納め、社会保障負担をおこなってきた。税関係では、配偶者特別控除の廃止や定率減税の廃止、お年寄りの老年者控除を廃止した。医療費関係では、介護保険料の引き上げや後期高齢者家用制度の導入、入院給食費の一部負担の導入、差額ベット代を自由に取れるようにする規制緩和などなどがおこなわれた。その結果、入院すれば月10万円という世界になり、介護保険の負担では、特別養護老人ホームに入るとかなりのお金がかかるようになった。

これだけの負担増がおこなわれても、税収は年々下がりつつけている。
なぜなのか?。
税収が伸びなくなった原因の一つは、法人税の減税にある。消費税収と法人税の減税を比較したグラフを載せておこう。

このグラフは、法人税の減税を繰り返してきたので消費税収はこの減税の穴埋めに使われてきたことを示すために作られたものだ。
日本経済を立て直しながら、如何にして税収を確保するのか?──これが、日本国の採るべき戦略だったのに、この10年間でGDPは横ばいから減少傾向に転化し、税収も下がりはじめている。
そのなかで、国民への負担増がさらに計画されているということだ。

税収の推移が財務省のホームページから取れるので、掲載しておく。


「消費税増税しかない」といいつつ、民主党政府の計画では法人税をさらに5%減税することになっている。
法人税は、1984年度の43.3%を頂点にして、現在は30%となっている。1988年度の税率42%の時の法人税収は19兆円だった。2002年度が9兆5234億円、2007年度が14兆7444億円となっている。税率が40%であれば、19兆円を超えていたはずだ。しかし、その後法人税収は、2009年度で6兆4000億円まで下がり、10兆円を下回るような状態にある。
所得税は、1991年度の26兆7000億円をピークに下がり、2007年度に16兆1000億円に回復したものの、それ以降は12兆円から13兆円という幅で推移している。消費税収は、10兆円規模で推移しているが、結局は、法人税収の落ち込みと所得税収の落ち込みをカバーできないで、税収が減少する傾向の中にある。

このような状態の下で消費税増税をおこなったら、どのような事態が生まれるだろうか。
働く人々の賃金引き下げを見てみると、民間企業労働者の年間平均賃金は、2000年の461万円から2010年には412万円になり、約50万円も減少している。収入が減少すれば所得税収は確実に減少する。働く人々の収入減少は、消費に大きな影響をおよぼすので、日本経済の景気を大きく左右する。大企業は、日本国内での売り上げが伸びなくても、多国籍企業として年間9兆円も内部留保を増やすような状態にある。しかし、日本の企業全体でいえば、景気の低迷は、確実に法人税収に跳ね返っていく。

消費税を引き上げると、働く人々への負担増が顕著になり、確実に消費経済を悪化させる。消費税を5%に引き上げた1987年のときに所得税収と法人税収が数年にわたって下がっている。2年にわたって8%つぎに10%という消費税増税が、日本経済に大きなマイナスを生み出すことを考えるべきだろう。

民主党が担っている日本政府にとっては、法人税減税と消費税増税はセットで実行しなければならないものなのかも知れない。しかし、この選択は、国民に13兆円もの負担をかけ、日本経済を悪化させる最悪の選択肢になる可能性が大きい。日本経済の立て直しと税収の確保。こっちの政策への転換を図らなければ、日本の未来はない。


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雑感

Posted by 東芝 弘明