冬の葬儀

出来事

午前中の会議と午後の会議の間に議会事務局のSさんのお宅の葬儀があり、議員全員が参列した。
今年に入ってからたくさんの方々が亡くなっている。寒い季節は、多くの人が亡くなる季節でもある。今日は朝7時頃から雪が降り、降った雪は南の山も北の山も白くするものだった。
祭壇の花はやさしいカーブを描いて飾られている。優しい顔の遺影が参列者の方を向いている。
読経が終わった後で、スクリーンが降りてきてスライドが上映された。子どもの頃から最近の写真まで、37年間の夫婦の軌跡と一人娘と遊んでいる姿が写真によって紹介された。

議員になってからたくさんの葬儀や通夜に参列してきた。何人の方を見送っただろう。随分たくさん知り合いの人を見送った。
ふり返ると様々な葬儀のシーンが蘇ってくる。
一人ひとり、人生の形が違うように、全く同じような葬儀であるのに、葬儀の印象は違ったものとして胸の中に残っている。

Sさんは凛としていた。悲しみを内に秘めて背筋を伸ばしているように見えた。病気と向きあって来たこの1年という時間が、Sさんの姿にしみ込んでいるかのようだった。夫婦と娘、おばあちゃんという家族構成は、わが家の家族構成と同じだった。3人は、支え合って、笑い合って生活してきたのではないだろうか。3人の家族は小さいとは思うけれど、それだけに絆は深いのかも知れない。

セレモニーホールの玄関で棺をのせた黒塗りの車を見送った人々は、言葉もなく車を見つめていた。
長く尾を引くクラクションが、冷たい空気の中に伸び、胸の中にしみ込んで来た。人々は長い時間、手を合わせていた。
寒さが厳しくなった。


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出来事

Posted by 東芝 弘明