国民対民主・自民・公明へ

政治

民主・自民・公明が消費税増税法案を参議院で可決・成立させることで合意し、採決は10日に行われることになっています。
ロンドンオリンピックにおけるフェアプレイに国民が感動しているその最中に。最も醜悪な談合が実行に移されようとしています。
どのように醜悪なのか、記録しておきたいと思います。

まずは東京新聞8月9日の朝刊の引用から。
「野田佳彦首相(民主党代表)と自民党の谷垣禎一総裁、公明党の山口那津男代表は八日夜、消費税増税を含む社会保障と税の一体改革関連法案の扱いと衆院解散をめぐって国会内で会談し(1)一体改革法案は三党合意を踏まえ、早期に成立させる(2)法案が成立した暁には、近いうちに国民に信を問う-ことで合意した。
これにより、一体改革法案は十日の参院特別委員会と本会議で採決され、成立する見通し。自民党は法案採決前の衆院への野田内閣不信任決議案、参院への首相問責決議案の提出方針を撤回した。
首相は会談で「重大な局面だが、日本のために打開しないといけない」と強調。解散時期の明示には応じなかったが、谷垣氏は「三党合意の責任を果たす努力をしないといけない」と受け入れた。
民主党は八日午前、解散時期の明示を要求する自民党に対し、首相が「法案が成立した暁には近い将来、国民に信を問う」と表明することで決着させたい意向を伝えた。決着のための三党首会談の開催も提案した。」

自民党と公明党は、消費税増税法案を成立させるために、衆院における内閣不信任決議案を提出せず、参議院における問責決議案を提出しなくなりました。これは、日本共産党を含む6党が衆議院に提出した内閣費信任決議案と参議院での7会派による問責決議案に反対することを意味します。自民党と公明党は、国民の多数が反対している消費税増税について、民主党を支え内閣を信任するという態度を取るに至ったということです。

これは、国民への裏切りに他なりません。同時に、今回の態度は、自民党が今年に入って取っていた自民党の方針に対する裏切りという意味さえもっています。

谷垣総裁の国会質問でそれを証明しておきます。引用は自民党のホームページからです。堂々と載せている神経は異常だと思います。
全文を見たい人はここをクリックしてください。第180回通常国会における代表質問 谷垣禎一 衆議院議員

「第180回通常国会における代表質問
谷垣禎一 衆議院議員
平成24年1月26日(木)
自由民主党
衆議院議員 谷垣禎一

一、はじめに

私は自由民主党・無所属の会を代表して、一昨日の野田総理の施政方針演説について質問致します。

まずは、昨年の東日本大震災によってご家族・ご親族・ご友人を亡くされ、癒えない悲しみを抱えたまま年を越された方々、福島第1原子力発電所の事故で避難を余儀なくされ、遠く故郷を想いながら新年を迎えられた方々に心よりお見舞い申し上げます。私ども自民党は、被災された全ての方々の心の中に希望の火が再び灯るその日まで、力の限り寄り添うことをお誓い申し上げます。

さて、野田総理の最近の言動には、社会保障・税一体改革に逸るばかりに、就任当初に国民から期待された丁寧さ、誠実さを失いつつあると感じられてなりません。外交・安全保障、沖縄との関係において重責を担う防衛大臣の2代にわたっての資質への疑義など、内閣としての緊張感の欠如も多々見受けられます。

総理は最近、「君子豹変す」という言葉を好んで使われます。周易でいうこの言葉は、急に態度を変えることではなく、徳を積んだ真の指導者は過ちを潔く認め、豹の毛皮が秋に色を変えるが如く、正しい道に戻るということです。即ち、国民に嘘をついたことを詫び、負担を正直に訴え、その意見を聞くことなのです。上から目線の決意だけでは、国民の理解は決して得られません。泥臭く国民のために汗をかくどじょうの政治をとことんやりたいと言って総理になったあなたの姿が、国民との約束もないままに、「一体改革に協力しないのは、歴史に対する反逆行為だ」などと決めつけて、一人空回りしていた菅前総理の姿と次第に重なっていくことには、残念でなりません。

一体改革は確かに重要ですが、名実ともに国民とも一体の改革でなければなりません。あなたが消費税率引上げを決めたことはマニフェスト違反でないといかに強弁しても、その弁明を真に受ける有権者など皆無です。マニフェストを掲げて政権交代を果たしながら、次々と政策を翻していった民主党政権に対する国民の視線は厳しいものがあります。まずはできないことはできないと正直に伝え、過ちは素直に認め、詫びるべきは国民に詫びる謙虚さが野田総理に求められています。一体改革のために捨て石になるとまで言われたあなたに、本当に身を捨てる覚悟があるのか、そのことが今問われているのです。

総理、私の目に映るのは、政権維持のために一体改革を盾として、国民と真正面から向き合う覚悟に欠けるあなたの姿です。本日は、わが党の社会保障・税一体改革に対するスタンスを改めて明確に申し上げるとともに、質疑を通じて、総理に本当の意味での覚悟を迫ってまいります。

二、信を問うべし

野田総理は、先の衆議院総選挙において「4年間の任期中に消費税の税率引き上げを決めることに賛成か反対か」という新聞社の候補者アンケートに対し、「反対」と答えていますね。これはいまだにホームページにも掲載されており、こうした回答にもかかわらず、今は総理として自らの手で消費税率引上げを決めようとされていますが、あなたの言を信じて1票を投じた千葉4区の有権者にどう答えられるのですか。これは岡田副総理・安住財務大臣も同様の回答であり、当時の民主党代表にいたっては20年間は消費税を上げないとまでテレビで国民に明言していましたが、総理はそのことに一政治家として何の良心の呵責もないのでしょうか。誰が政権をとっても避けて通れぬ課題と開き直るばかりでは、民主主義の原点であり、国民から主権を預かる選挙、衆議院総選挙はどのような意味を持つのでしょうか。お答えください。

今般の消費税率引上げと先の総選挙との関係について、民主党内ではマニフェストに書かれていない以上、マニフェスト違反にはならないとの奇妙な言い訳作りが行われていると伺います。総理も、新年互例会で私を前に「マニフェストに書いてあることをやるのもけしからん、書いてないことをやるのもけしからんと言われたら何もできない」とおっしゃりました。

しかし、総理は当時、自ら繰り返し次のように街頭で演説されています。「マニフェスト、イギリスで始まりました。ルールがあるんです。書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです。それがルールです」と。さらに、当時与党であったわが党を批判して「書いてないことは平気でやる。それはマニフェストを語る資格がない」とも述べておられます。

こうした総理自身の言葉に照らせば、マニフェストに書いていないからマニフェスト違反ではないなどというのが詭弁に過ぎず、特に憲法上の財産権の保障という国民の権利に直結する税の問題だけに、なおさら一体改革のマニフェスト違反は明らかです。総理はこれをどのように弁明されるのでしょうか。当時の演説を撤回されるのか、マニフェスト違反を正直に認めるのか、どちらか明確にお答えください。

過去の発言を論うこと自体が私の本意ではありません。私が申し上げたいのは、総理更には民主党がこのまま消費税増税に突き進むことは、主権者は国民であるとの議会制民主主義の根本を否定する行為であり、断じて容認できないということです。

私たちは議会制民主主義の歴史が租税とともに歩んできたことを忘れてはなりません。

すなわち、今日の議会制民主主義の繁栄の淵源は、1215年でイギリスにおいて大憲章「マグナ=カルタ」に盛り込まれた「議会の同意なく税金、戦争協力金などの名目で課税してはならない」という条項にあります。

爾来、国家の課税に対する国民の意思こそが、人々の政治への参画、ひいては議会制民主主義の発展の原動力となったのであり、このことはその後の「権利請願」及び「権利章典」を始めとするイギリス議会の歴史、「代表なくして課税なし」をスローガンとしたアメリカ独立戦争の歴史、主権在民を前提として納税の義務を明記したフランス人権宣言が示しています。

私たちの議席はこうした長い歴史の積重ねと先人たちの文字通りの血と汗の上に築き上げられたものであり、その証が今日の憲法が定める租税法律主義の規定です。民主主義の下では租税の分担ルールである税制が国民の合意の下によって決定されることが、国民の納税の義務を支える礎であり、であればこそ、税制は主権者である国民に正直に訴え、その訴えが受け入れられるとその意思を反映して、国民の代表で組織される国会で法律により議決されるのです。

このことからして、主権者を欺いて当選した民主党議員の投票で選ばれた民主党政権は、民主党マニフェストという偽りに満ちた国民との契約によって簒奪された多数の議席を利用して、マニフェスト違反の消費税率引上げを行う権限を主権者から与えられてはいないのです。それは議会制民主主義の歴史への冒涜であり、国権の最高機関の成り立ちを否定するものです。

税を扱うにあたっては、国民の合意・協力を得ることが求められます。現在の財政赤字に責任を感じるがゆえにわが党は、累次の税制改正大綱はもとより、選挙公約においても消費税を含む税制抜本改革を断行することを堂々と掲げ、国民と直接向き合ってまいりました。一方、一貫して消費増税を否定し、時の総理の呼びかけにも応じなかった民主党は、有権者へ顔向けできないせいか、その努力から逃げ回るばかりでした。国民の合意を得ることをなおざりにし、選挙を蔑ろにしてしまえば、議会制民主主義を破綻の淵に追いやることとなります。21年度税制改正法附則第104条を策定したわが党として、この規定に基づく政府の3月までの法案提出を妨げるつもりはありませんが、野田総理、本来、民主党政権に提出の権限は国民から与えられていないのです。野田政権の採るべき道は、有権者に謝罪をした上で、解散総選挙を行い、国民に信を問い直すしかありません。

わが党は、議会制民主主義の大義を掲げて、野田政権に堂々と解散を求めてまいります。」

自民党自身は消費税増税に賛成だというのは、代表質問の次の発言によって明確です。
「税を扱うにあたっては、国民の合意・協力を得ることが求められます。現在の財政赤字に責任を感じるがゆえにわが党は、累次の税制改正大綱はもとより、選挙公約においても消費税を含む税制抜本改革を断行することを堂々と掲げ、国民と直接向き合ってまいりました。」
しかし、谷垣総裁が代表質問で問題にしたのは、消費税増税は民主党のマニフェストに違反しているということです。格調高く(ただし、今となっては全くの茶番ですが)、谷垣総裁は、民主主義の原則を説き、国会のあるべき姿を訴えています。
「私たちの議席はこうした長い歴史の積重ねと先人たちの文字通りの血と汗の上に築き上げられたものであり、その証が今日の憲法が定める租税法律主義の規定です。民主主義の下では租税の分担ルールである税制が国民の合意の下によって決定されることが、国民の納税の義務を支える礎であり、であればこそ、税制は主権者である国民に正直に訴え、その訴えが受け入れられるとその意思を反映して、国民の代表で組織される国会で法律により議決されるのです。」
この論理を踏まえて出てきた質問の結論は、国民に信を問うために解散総選挙を求めるというものでした。
「野田政権の採るべき道は、有権者に謝罪をした上で、解散総選挙を行い、国民に信を問い直すしかありません。わが党は、議会制民主主義の大義を掲げて、野田政権に堂々と解散を求めてまいります。」

法案成立の前に信を問うべきだというのが、自民党の今年1月の態度でした。
この態度を今も堂々と自民党のホームページで紹介しながら、8月になると法案成立に手を貸し、内閣不信任決議案と問責決議案に背を向けるのは、自身の政党に対する明白な裏切りです。

自民党は、民主党にマニフェスト違反を追及できなくなりました。この代表質問は、そっくりそのまま、自民党自身に跳ね返っています。

「誰が政権を担っても政治は変わらない」
これが多くの国民の政治に対する思いでしょう。自民党は、「誰が政権を担っても政治は変わらないのだから、民主党よりも安定感のある自民党を選んで欲しい」とでもいうのでしょうか。

民主党の政権交代が、政治の変革につながらなかったのはなぜかを見つめていただきたいと思います。
民主党は、官僚政治に飲み込まれただけではありません。経済的利害によって日本を動かしている大企業・財界と軍事・外交・経済の面で日本の主権を侵害しながら日本を動かしているアメリカに対してメスを入れ、国民の利益を守る政治を実行できなかったところに政治を変えることのできなかった根本問題があります。

この2大勢力中心の政治を国民が主人公になる政治に転換するためには、税制の民主的な改革(直接税中心に改める)と社会保障を再建する改革が必要です。同時に日本の経済に民主主義的なルールを確立して、中小企業と第一次産業を再生する経済政策を実行することが必要です。このような改革を実行するためには、財界・大企業とアメリカの要求を退け、国民の利益を守るために掲げた改革を実行に移さなければなりません。このような改革は、大企業の民主的な規制につながるものです。国民中心の政治の実行とは、大企業・財界の民主的な規制なしには実現しないということです。

自民党から民主党への政権交代は、このような政治の変革を、緩やかではあるけれど求めたものでした。マニフェストには、こういう方向にチャンネルを開く政策が散見していました。
しかし、鳩山内閣による挫折を通じて、完全に自民党政治に飲み込まれてしまいました。日本の政治が立ち向かわなければならない勢力とは何か、どこをどう改革しなければ政治を変えられないのか。民主党には、そういう分析や自覚がなかったということです。大企業・財界とアメリカという勢力の圧力に屈して実現するのは、自民党流の政治だということです。自民・公明は、動揺する民主党に揺さぶりをかけて、より一層政治を自民党流に悪化させる役割を果たしたということです。
民主・自民・公明による3党連立政権という最悪のシナリオが、現実的な可能性をもって動き始めています。消費税増税法案は、国民のくらしを破壊し、日本の財政赤字をより一層深刻にする反国民的なものです。この悪法成立のために3党が力を合わせて、国民世論に立ち向かいつつある、これが現在の局面だと思います。

国民は、しかし、目覚め始めていると思います。原発をゼロにする運動、TPP反対運動、消費税増税反対運動、これらは、まだ合流するには至っていませんが、立ち向かっている相手はすべて同じです。これらの運動に立ちはだかっている勢力は、まさに金太郎飴状態にあります。歴史は、民主・自民・公明の政治対国民という形で対立を深めていくのではないでしょうか。


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Posted by 東芝 弘明