事実の先の真実を見極めよう

政治

AARP/Social Security 70th Birthday Party by KimTheWolf

国の社会保障の仕組みは、ほとんど知らない。なので、雑誌経済を丹念に読み始めている。
どうも社会保障の会計は、地方自治体と同じように黒字らしい。
唐鎌直義氏が「社会保障統計年報」にもとづいて作った表によると、2000年から2007年までの累計収支では、35兆円もの収支残(累積の黒字)がある。07年度の収入総額が100兆4289億円、支出総額が106兆7364億円で、この年はマイナス6兆3074億円になっているが、黒字の年がほとんどだ。
自治体のように歳出総額を予想して、必要な歳入を計画するので会計は黒字になる。赤字がどんどん累積してにっちもさっちもいかないような状態ではない。
問題は、この8年間の変化だ。国の国庫負担比率は、年々低下し29%近くあったものが20%台の前半になり、2003年から企業に負担が個人負担を下回るようになった。増えたのは「他の公費負担」=地方自治体の負担だ。運用損失は、7年間のうち5年間も出しており、2007年度の赤字6兆3074億円は、運用による損失9兆7048億円があったからだ。7年間の運用による累積損失は17兆円に上る。運用で黒字になった年はないので、運用などをおこなわなかったら、黒字は47兆円になっていたはずだ。
社会保障費の中の人件費は、国民と企業から集めた社会保障費の中から支出するのではなく、一般会計から税金で別枠負担をおこなっていたが、臨時特別措置法で集めた社会保障費の中なら支出するようになったのだという。8年間の運用損失17兆円、人件費を中心とした管理経費が10兆円、その他の経費(いろいろな施設の維持管理費など)が40兆円で合計67兆円となる。8年間の社会保障費の総収入が785兆3636億円なので8.5%を占める。

国庫負担と企業負担を元に戻すだけで、社会保障に対する国民負担は必要なくなる。この会計の特徴だけ見ても、税と社会保障の一体改革で社会保障の国民負担の論拠は崩れる。

こういう基本データをもとに、きちんとした議論をおこなう必要があるのに、国会でこういう議論をおこなって、政府を追及しているのは日本共産党しかない。メディア(媒体=一方から他方へ伝えるためのなかだちとなるもの)は、政府の言い分を「政府は、○月○日、○○の方針を発表しました」と報道し、そのあとは、政府の言い分をたれ流していく。まさに、政府の言い分を伝える媒体の役割を果たしている。
批判的精神は、ほぼ死んでいる。政府の方針に対して、それが事実なのかどうか、まずはそういう批判的な目をもって政府に向きあってほしいが、いまの媒体(メディア)にこのことを求めるのは、東京の街に行って大阪の通天閣を探すのに等しい。

情報化社会の中で事実を把握するためには、政府の言い分をもう一度自分で再確認する作業が必要だ。原発が政府と官界と財界と科学者とアメリカの癒着によってペンタゴン=原発村を形成していたように、社会保障や税金の分野にも原発村と同じ構造がある。そう思って間違いない。

事実を自分で把握すること、その先に真実がある。日本共産党は、事実とその先の真実を何よりも大切にする。それこそが闘いの武器になる。


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Posted by 東芝 弘明