「何よりもまず 正しい道理が通る国にしよう この我等の国を」

雑感

「何よりもまず 正しい道理が通る国にしよう この我等の国を」(広津和郎)
この言葉が、数日前からよみがえってきていた。

広津和郎さんのこの言葉を知ったのは、藤原審爾さんの「われらが国のへそまがり」という文庫本に藤原審爾さんが書いていた後書きによる。
藤原さんの自宅には、この言葉が飾られていた。広津和郎さんは、松川事件の裁判を支援した作家だった。

2000年、小泉さんが首相になり、構造改革を掲げたときから、日本の政治と経済を支配してきた中心的な論理は、新自由主義だった。民主党への政権交代は、2大政党作りの一環の中で起こった変化だったが、新自由主義的な改革が引き起こした必然だったと言っていい。この時に小沢さんたちは、構造改革を批判しそこからの転換を訴えて、生活が第一という政策をとった。内容を見ても、公約の中には、構造改革からの転換がいくつも含まれていた。

情勢の読み違いは、新自由主義的な路線から必然的に生まれてくる。国民は、民主党に対して、具体的な政治の転換を求めていた。政権交代は、ただ単なる政党による政権の移行ではなく、小泉改革によって破壊された国民生活を立て直すところにあった。小沢さんたちが民主党の政策の中に盛り込んだ構造改革批判は、国民に支持される内容を持っていた。自民党の敗北と民主党による政権交代は、自民党的な政治からの転換を求めた結果であり、自民党の敗北は、まさに構造改革の敗北だった。

同じ政治の枠内での政権交代という戦略と民主党による政権交代は、財界の思惑を超えた結果になったという側面を持った。政権交代は政治を安定させるために財界が求めたものだったが、現実の政権交代は、新自由主義的な改革と国民との矛盾を反映して、財界の思惑を超えたものになっていた。しかし、この矛盾は、どちらも新自由主義的な改革によって生み出されたものだった。
だからこそ、政権についた鳩山内閣を日本を動かしている勢力は徹底的に批判し、小沢叩きを実行するという形になった。国民の怒りに着目して、政治の転換を訴えた民主党と財界との思惑の食い違いは、政権交代によって頂点に達していた。財界による巻き返しが始まった。

民主党は、鳩山政権、菅政権、野田政権を通じて、新自由主義的な改革路線に急激に変化し、自民党的な政治を積極的に実行するということとなった。それは、小泉改革への復帰であり、より一層の推進であり、民主党自身によるマニフェストの否定だった。
公約違反が、民主党に対する徹底的な審判となって現れる中で自民党政権の復権という形が実現した。
財界の思惑が2大政党制という戦略自分で破壊した側面がある。もちろん、民主党政権を崩壊させたのは民主党が国民を裏切ったことによって、国民の支持を失ったところにある。

自民党は、政権交代が実現し敗北したところからほとんど何も学んでいない。自民党は、自らの路線を反省しないで、新自由主義的な改革+大型の公共工事の推進(この面ではケインズ主義的な政策の復活でもある)+復古主義的な憲法改正という路線に突き進んでいる。
反省しなかったのは、民主党政権が、結局は日本の支配勢力が描いている政治改革の推進という点で何も変わらなかったことが大きいと思われる。結局、政権交代が起こっても、政治は変わらないと言うことを自民党は、民主党を見て学び、自分たちの掲げていた路線を変える必要はないということを学習したのかも知れない。アメリカの政治経済戦略、財界の戦略によって自民党は突き動かされており、それは、必然的に国民には増税と社会保障の負担を限りなく求め、雇用をより一層不安定化することによって、日本経済と日本社会を根底から掘り崩すものにしかなり得ない。悪政への暴走を自民党自身では止められないというジレンマに陥っている。

自民党以外の政党が採用している政策が、自民党と基本的に変わらないのも、結局は同じ力が働いているからだろう。判で押したように新自由主義的な改革を掲げ、同じように憲法改正を掲げることによって、日本共産党以外の政党は、みんな同じ路線を基本的に採用している。経済的には新自由主義の路線を、政治の最大の課題の一つとしては憲法改正を、という流れは、「赤信号、みんなで渡れば恐くない」という状況を生み出したということだろう。

しかし、国民の最も深いところに流れているのは、政治の悪政を転換してほしいということであり、経済政策と国民生活との間の矛盾は、大きな国民的模索となって、国民の中に渦巻いている。国民の中にマグマのように蓄積されているエネルギーは、国民の期待を実現してくれる政治勢力を探している。

民主党が国民の支持を失い、第三極と呼ばれる勢力が半年間で急速に色あせてきた中で、日本共産党に注目と期待、関心が集まってきた。
日本共産党の躍進は、国民のくらしを守り政治の転換を訴える日本共産党に期待をすれば、その期待は現実になるということを証明した。今起こりつつある変化は、新しい変化の出発となるものだと思われる。
政治と経済の対決は、まさに新自由主義的な改革+復古主義的な改革に対して、日本における福祉国家作り、内需拡大による経済の再生という路線とのせめぎ合いになる。

日本共産党への期待は、「何よりもまず 正しい道理が通る国にしよう この我等の国を」(広津和郎)という言葉が現実的な力を持ち始めるような変化になる。
日本共産党は、この間、「いいことを言うが力がない。選挙で伸びない」と言われてきた。それが、願いを託せば大きな力を発揮するという流れが生まれてきている。
政治的な対決点は鮮明だ。アベノミクスが、破綻する可能性も極めて大きい。憲法を守れという声も大きくなりつつある。その対決の中で日本共産党が果たす役割は大きい。自共対決はこういう流れの中で生まれ強まっている。

真理は必ず勝利する。道理は時間がかかっても現実を変える力になる。
国民の中にこのような確信が生まれつつあるという変化は大きい。
ルールのある経済社会、国民を大切にする社会保障の充実した社会、農林水産業を大事にし、地方を元気にする国づくりへの転換を果たすために、多くの人々と力を合わせよう。この新しい流れをもっと強く大きくしよう。

今日は党創立91周年の記念講演会があった。熱い期待と拍手、歓声が溢れたに講演になった。講演を聞きながら、ぼくは、「何よりもまず 正しい道理が通る国にしよう この我等の国を」(広津和郎)という言葉を噛みしめていた。


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雑感

Posted by 東芝 弘明