広域連合の事業の改善のために

雑感

後期高齢者医療広域連合について、もう少し書いておこう。広域連合は、事務の共同実施という側面とともに、広域計画にもとづいて、各構成市町村に対する「勧告」権という権限をもっている。一部事務組合との違いは、この勧告権にある。
総務省には、次のような解説がある。

広域的な調整をより実施しやすい仕組みとしています。
広域連合は、広域計画を作成しなければなりませんが、広域計画には、広域連合の処理する事務ばかりでなく、これに関連する構成団体の事務についても盛り込むことができます。そして、その構成団体の事務の実施について、勧告することができます。
(ex)
 ゴミ処理施設の運営を行う広域連合の広域計画において、構成団体のゴミ収集方法やごみ減量対策などを記載。これらの実施に関して構成団体に勧告。
 構成団体に対し、広域連合の規約を変更するよう要請することができます。
 権限委譲の受け皿となることができます。
広域連合は、直接国又は都道府県から権限委譲を受けることができます。このため、個々の市町村では実施困難でも、広域的団体であれば実施可能な事務を、法律、政令又は条例の定めるところにより、直接広域連合が処理することとすることができます。
都道府県の加入する広域連合から国に、その他の広域連合は都道府県に、権限・事務を処理することとするよう要請することができます。
より民主的な仕組みを採用しています。
広域連合の長と議員は、いわゆる充て職は認めらず、直接又は間接の選挙により選出されます。
広域連合への直接請求を行うことができます。

事務の権限移譲という形をとれば、移譲された事務について大きな権限を発揮できるが、権限移譲は、「国又は都道府県」からの「権限移譲」となっている。しかも権限移譲は、「法律、制令又は条例の定めるところにより、直接広域連合が処理すること」ができるというものだ。これでは、権限移譲は極めて限定的にならざるを得ない。

各市町村によって構成されている広域連合の場合は、市町村の共同事務の処理を担うことになる。これは、一部事務組合と同じ。違いは、広域計画の中で、構成団体に対する事務について、計画の中に盛り込むことができ、かつこれに基づいて勧告することができるところにある。

ただし、この権限を発揮したとしても、指揮・監督権はなく、できることは「勧告」に留まるということだ。この規定で言えば、日常行っている市町村の業務に対して、「勧告」権が頻繁に行われるわけではない。つまり、実質的には、後期高齢者医療広域連合と言っても、一部事務組合とほとんど変わらないことになる。
どうやったら勧告権を発揮できるだろう。次のようなことが考えられる。
広域計画を見直し、たとえば、健康診査について、広域連合負担2分の1、市町村負担2分の1という形で本人負担をなくすという制度を推進し、各市町村に対し、この事務を行うよう「勧告」することができる。もしかしたら、全国ではこういうことが行われている例があるかも知れない。
連合長は、合議体である市町村長の中から選出されているので、このような新しい方針を打ち出すためには、市町村長の会議で合意に達することが必要になるだろう。

共同事務の処理を行っている広域連合は、主体的に新たな事業に取り組むことには、なかなかなりにくい。共同の事務処理という点でいえば、いわば頭のない胴体が動いているような状態になる。もちろん、市町村長の中で後期高齢者医療制度の問題への認識と問題意識が深まり、事業改善について議論がなされた場合、新しい制度提案が広域連合側から生まれてくる可能性がある。現実の問題として、日常的に頻繁に行われるのは、国による方針変更(もちろん法改正や政令の改正を伴っている)による事務事業の変更だろう。
このような仕組みの中で、実は、広域連合を動かす上で、重要な役割を担っているのは、議会に他ならない。多くの議員の方々は、充て職程度の認識で、議会に参加している人が多いだろう。しかし、議会こそが、たえず広域連合に対し、政策的提案を行い、事務改善を具体的に求めることのできる立場にある。議会が、集団としての役割を発揮し、議会の意思として具体的に事務の改善を求めれば、広域連合は動き始める。
合議体の色彩が濃い共同事務の処理という性格を中心にしている広域連合の中で、議会が組織全体の頭の役割を担いうる力をもっている。もちろん、黙って意見も言わずに賛成している限り、議会は意思を示しえないし、事務の改善を求めるものにもならない。

住民の代表である議会が、後期高齢者医療制度の仕組みを深く理解し、事務事業の何を改善すべきなのか、具体的に明らかにしていけば、事態は動き始める。このことを議会は自覚すべきだろう。その自覚をもって、議論をしていただきたいと思う。
和歌山県後期高齢者医療広域連合には、議会運営委員会が存在しない。議会運営のあり方について、議運と全員協議会の役割を分けて取り扱い、全員協議会を議員相互の意見交換の場として、政策協議できるような仕組みを盛り込んでいけば、議会は次第に広域連合の頭脳としての役割を発揮できるようになる。改革するのであれば、このような改革が必要だろう。

雑感

Posted by 東芝 弘明