もう一度木下作品の「二十四の瞳」を見たい

雑感

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松下奈緒さん主演のドラマ、「二十四の瞳」(2013年)を見た。松下奈緒さんのドラマを見て、もう一度木下恵介監督の「二十四の瞳」を見たくなった。
ぼくは、作家壺井栄は、この作品に反戦への思いを込めたと思っている。小説は何度読んでも心を打つ。小説は1952年に発表され、その1年後には、木下恵介監督によって映画の撮影が行われ、翌54年9月、上映された。この映画は2時間36分の長編映画だった。それ以後、「二十四の瞳」は8回リメイクされている。映画が1回、ドラマが6回、アニメが1回。ぼくは、映画化された2つの作品を見、今回のドラマも見た。その中で最も印象深い作品は、木下恵介監督の「二十四の瞳」だった。この映画には、戦争を体験してきた人々の反戦への思いが滲んでいるような気がする。小説発表から映画制作までの時間の短さは、この作品を映画化したいという監督をはじめとする多くの人々の熱い思いに支えられていたのではないかと思う。
歴史が生み出した映画だった。

松下奈緒さんの「二十四の瞳」にも、反戦への思いがしっかりと受け継がれていた。戦争へと舵を切りつつあるきな臭いこの日本において、テレビドラマで「二十四の瞳」を描き直した意味は大きい。ここには、このドラマを作成したスタッフの反戦への思いが反映している。
小説では、共産主義者に対する弾圧が描かれている。大石先生は、綴り方教育に関わり、それが元でアカだという疑いをかけられる。ドラマでもこのエピソードが正面から描かれていた。大石先生が教師を辞めた理由は、はっきりとは描かれていなかったが、小説と木下版の映画では、軍国主義教育に向かう中で子どもたちに死ぬことを教える教育を続けられなくなったことが描かれていた。
テレビドラマでありながらも、「忠君愛国」の教育についていけなくなり、校長と対立する様子がきちんと描かれていたし、出征する教え子に「名誉の戦死なんてしなさんな。生きて帰ってきて」というシーンもきちんと描かれていた。

今年は戦後69年。8月15日をどう迎えるのか。もう一度木下作品の「二十四の瞳」を見て戦後の原点に触れたいと思う。


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雑感

Posted by 東芝 弘明