怪しき文豪怪談「鼻」

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怪しき文豪怪談の「鼻」というNHKの短編ドラマを見た。
芥川龍之介の「鼻」を原作にして、怪談仕立てに描かれた作品だった。
この作品の後半は、作家の人となりの紹介やメイキングムービーになっている。
この作品の監督は李相日さん。映画「フラガール」を撮った監督だ。
禅智内供《ぜんちないぐ》という高僧の鼻は、口の下まで伸び腸詰めのように太いという原作から設定をとり、その鼻ゆえに京から出奔し、田舎の村の荒れたお寺に住み着いた──ドラマの設定はこういうものだった。
原作とどう違うのか。という疑問が湧いたので朝から芥川龍之介の「鼻」を読んだ。
話は、全く違うものだった。原作の内供は、京を出奔しない。話の中心は、鼻を熱湯にひたしその後、足で踏みつけて小さくするというものだ。普通の鼻になると人々は、以前よりも一層笑うようになった。ある朝、鼻は元に戻り内供は、次のように思う。
「――こうなれば、もう誰も哂うものはないにちがいない。
 内供は心の中でこう自分に囁やいた。長い鼻をあけ方の秋風にぶらつかせながら。」

NHKの短編ドラマは、李相日さんの手によるオリジナルな「鼻」だった。
思い出したことがある。黒澤明監督の「羅生門」も原作とは全く違うものになっていた。
芥川龍之介という作家の作品は、読む人に新たな構想を思い浮かばせるだけの力をもっているのかも知れない。
ぼくがまだ、30歳になる前、笠田高校で講師をしていたある女性が、芥川龍之介の「羅生門」を生徒に読ませたあと、それ以後の「羅生門」を作文として書かせたことがあった。
よんだ人々に激しい感情を呼び起こす作品。これが芥川龍之介という作家の一つの側面なのかも知れない。


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Posted by 東芝 弘明