国城寮の内覧会。嬉しい1日になった

雑感

国城寮の内覧会に行って、新しい施設の中を見せていただいた。新しい国城寮は、橋本市の河瀬から九度山町の旭住宅の上に移転する。特別養護老人ホーム80床、養護老人ホーム80床の施設だった。特養は4人部屋、養護は1人部屋だった。こういう施設になったことが喜ばしい。

ぼくが一部事務組合の議員になったのは2012年。そのときに一部事務組合のまま建て替えてほしいという訴えをして、これに積極的に答えてくれたのが九度山町の岡本町長だった。2013年には、橋本市の平木市長も正式に建て替える方針を打ち出してくれた。建て替えの話はここから始まった。あれから10年。おそらくこのことに一番積極的だった岡本町長が九度山町に場所を確保して移転と言うことになったのだと思っている。

特別養護老人ホームがあるからこそ、国城寮は赤字にならない運営ができている。新しい施設なのに特養を4人部屋にしているのは、入る人の費用負担を考えてのことだと思う。個室の特養が増えているが、個室にするとホテルコスト代が必要になり、個人の費用負担は月額10万円を超える。国民年金だけの収入のみの人が、個室の特養に入所するには、結局、現役世代に頼るしかない。親の入所を現役世代の子どもが負担するのは、子育てと介護の狭間に入ることになり、かなりしんどい。こんな制度を続けていたら未来が見えなくなる。4人部屋は、国民年金だけの収入の人でも入所できるようにという配慮を感じた。
養護老人ホームは、一人暮らしで年金のほとんどない人でも措置入所できるので、ケースによっては無料で入所できる施設になる。一部事務組合のまま国城寮を建て替えることができた意義は大きいと考える。

国城寮は、かなり課題を抱えている不安の高い人を努力して受け入れてきた歴史があり、虐待を回避するための措置入所にも対応してきた。今の国城寮の養護老人ホームは、何分施設が古いので、1人当たりの入所スペースが狭く、環境がいいとは言いがたい状況にあった。新しくなったので現在の設置基準にもとづく部屋の広さになったのは嬉しかった。近隣の一部事務組合が、民間に施設を渡して一部事務組合を廃止したのとは違う選択肢をとった伊都橋本は、いい選択をしたと思っている。

「民間にできることは民間に」というスローガンの下で、官から民への流れが強まってきた。しかし、この方針は、公的なサービスの切り捨てという側面をもつ。賢い自治体は、官から民への流れの中でも、公的な部門を残してきた。実際のサービスを公的な部門で残すことが、サービスの実際を深く把握する道でもある。官から民への流れに逆らえない中でも、公的部門を残しながら対応するのが、賢い自治体の一つの選択肢だ。実際の具体的なサービスを担うことを通じて制度の課題を深く捉えることができる。その意味で一部事務組合が残った意味は大きい。


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雑感

Posted by 東芝 弘明