年金、福祉、介護 2006年2月1日(水)

雑感

年金は、給付が下がり負担が増える。福祉は、全体的に切り下げ──たとえば保育所、小さい子どもの命を預かるこの施設は、官から民へという流れの中にあり、安全基準である設置基準が規制緩和されようとしている。これに併せて、保育士資格を高卒でも取れるようにするという流れだ。4月からは障害者自立支援法が実施され、入所者の中には、障害者年金の3割にも及ぶような負担を強いられる人が出ることになる。
介護保険。近隣の橋本市は、標準の保険料を支払わなければならない人々の保険料は、月額4800円程度のなるという。かつらぎ町は3900円台になる。
ぼくは、3年前の保険料改定の質疑で、あと2回ほど改定されたら、保険料の負担が限界に達して、制度破綻を引き起こす可能性があるという指摘をおこなった。今回の改定額は、橋本市の場合1000円を超えている。年間1万2000円以上の負担となる計算だ。
これだけで終わってくれればまだいいが、税金の負担増がまっている。定率減税の廃止、各種扶養控除の廃止、これが家計に与える影響は極めて大きい。その上に公務員の人事院勧告による給料の抑制=これに連動する民間労働者の賃金切り下げ、この影響も出てくる。
勝ち組、負け組という言葉がある。しかし、現在まだ勝ち組だと信じて疑わない人々も含め、消費税増税にいたる数年間の負担増の中で、勝ち組から負け組に転落する可能性が高まる。
最近、クリント・イーストウッド監督の映画、「ミリオンダラーベイビー」を見た。ぼくが注目したのは、市長だったこの俳優兼監督が、アメリカ社会をどう描いたかということだった。
ボクシングは、ハングリーなスポーツだとよく言われる。自分のこぶし一本で、劣悪な状態から脱出して栄光を勝ち取る、こういう話が多かった。
映画、「ミリオンダラーベイビー」も、極めてハングリーな映画だった。下町のジムには、サラリーの安い若者が数多く集まり、栄光を夢見てトレーニングに励む。ウエイトレスのマギー(ヒラリー・スワンク)は、古いアパートでテレビもラジオもない生活を送っていた。
自分で勝ち取ったファイトマネーで母親に家を買ってあげ、そのことを知らせに行くシーンがあった。マギーの母親が住む家は、トレーラーハウスが10軒ほど並ぶ中の1軒だった。
母親は娘にくってかかった。
「そんな家なんか買ったら、生活保護が打ち切られるじゃないか。誰が家を買ってくれと言った。家なんかよりもお金をくれたらいいんだよ」
竹中平蔵さんは、アメリカのような国を作りたがっていると思えてならない。アメリカは、クリント・イーストウッドが描いたような現実が横たわっている国だ。勝ち組と負け組という話は、ほんの一握りの勝ち組と圧倒的多数の負け組を作るという話だ。
日本経済は、バブルの後遺症を完全に脱して、バブルの絶頂期の2倍の経常利益があり、しかも純利益が経常利益の伸びよりも増え方が激しいという指摘がある。
1990年と2005年の上位10社の経常利益と純利益を比較すると、経常利益が2.8倍、純利益が3.8倍もあるというのだ。純利益は、経常利益から法人税などを差し引いたものだから、いかに、さまざまな名目で企業減税をおこなってきたか、ということだ。一握りの勝ち組と圧倒的多数の負け組という図式はすでに始まっていると言っていいのかも知れない。
労働者の現金給与総額は、1998年以来7年連続で下がりつつけている。
昨日、集金に行くと「生活が苦しくなる。年金しかないのに」という、保守政治の好きなおばちゃんに会った。読者の家に遊びに来ていた人だった。
「おばちゃん、年金をもらっている人は本気で怒らんとあかんで」
「ほんまやな」
こんな話になった。
「金持ちから税金取るな、貧乏人から取れ」
ホリエモンさんの言葉は、極端な言い分ではない。
この言葉は、今進んでいる構造改革の政策そのものだ。


にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 和歌山県情報へにほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へにほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログへブログランキング・にほんブログ村へ

雑感

Posted by 東芝 弘明