率先垂範

雑感

新城に行って、区長さんと会いいろいろな意見を聞かせていただいた。
まず話を聞かせていただいたのは、ゴッホの『炎の人』についてだった。演劇鑑賞会のこの前の作品が『炎の人』だった。
「精神的にしんどかった人の話はしんどくて、途中でつらくなって眠っていました」
そういうと、油絵を描くこの人は、「西洋画は、人と違う主張を込めた作品を描けというものだ」という話をして下さった。お前は一体何を書きたいのだ。何を描きたいのだということが、たえず徹底的に追求されるのが西洋画なのだという。
「絵を写真のように上手に描く人は、芸術大学を出た人の中には、いくらでもいるけれど、そんなものに何の価値もない」
「自分の描きたいものをどう描くか。これが西洋画の特徴なのだ」「その意味では、ゴッホの苦しみ、苦悩はよく分かる。よく分かるだけにしんどかった」という話だった。すごい話を聞かせていただいた。だからこそ画家は、死んでからようやく作品が売れる人がいるのだという。
「ムンクの『叫び』を家に飾ったら、ほんとに気が狂うで」
そう言って笑った。

「人を動かすためには、どう働きかければいいですか」と質問すると、「自分がまず動くことだ」という明確な答えが返ってきた。なるほど。これは肝に命じたいと思った。これは中国の史記に書かれている「率先垂範」のことだったろうか。

自分がまず動く。これができている分野とできていない分野がある。運動を進める場合、自分に率先垂範ができているかどうか。たえずこれを自分に問いかけるべきだろうという気持ちを新たにした。

年を取っても「働け」とも語っていた。働く意味は労働だけでなく、社会活動も含めての話だった。これは、区長さん自らの苦い苦い経験から出てきた話だった。
3時間ほど話を聞かせていただいて、新城小学校のまわりを少し歩いてみた。保育所跡は小さな公園になっていた。地面に埋め込んだタイヤは新しい感じがした。でも埋め込んである場所は、ぼくが保育所に通っていた頃の場所にあった。小学校のグラウンドだった北の右端には小さな池があった。この池はぼくの子ども時代からあったものだ。50年以上経っても変わらないものはある。

秋の終わりの暖かい日差しの中、ぼくは山を下りた。


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雑感

Posted by 東芝 弘明