オリンピックは中止を含め検討すべき

雑感

オリンピックに期待している人は多いだろう。準備しているアスリートにとって、4年に1度のオリンピックの機会を喪失することは選手生命にも深く関わる。しかし、何が何でもオリンピック開催ありきではない。戦争によって中止せざるを得なかったオリンピックもあった。新型コロナウイルス感染は、災害と同じものだ。全世界でパンデミック状態にあるときに、本当にオリンピックができるのかどうか。開催に必要な条件をガラス張りにして、広く検討することが求められている。

日本共産党の見解は明確。以下紹介しよう。

一つは、ワクチン接種が始まっても安全に大会を開ける保証はないことです。ワクチンの効果が発揮されるには、大多数の人に免疫ができ感染が広がりにくくなる集団免疫が必要です。しかし、世界保健機関(WHO)は「今年中に達成することはありえない」と断言します。
 菅義偉首相は「ワクチンを前提としなくても安全安心な大会を開催できるように準備を進める」と言いますが、具体的な根拠は示せていません。
 アスリートにとって公平に競技する条件がないことも問題です。各国の感染状況によって練習環境が影響を受けています。ワクチンの接種でも先進国と途上国の間には格差があり、「アスリート・ファースト」の立場からも開催できる条件はありません。
 医療従事者の確保も困難な状況です。オリンピック・パラリンピックに必要な医療従事者は1万人とされています。しかし、コロナ禍で全国の医療機関は逼迫(ひっぱく)しており、劇的に状況が改善されない限り、多数の医療従事者を医療の現場から引き離すことは現実的ではありません。
 志位委員長は「開催都市のある国として、『東京五輪・パラありき』ではなくゼロベースから開催の是非を再検討し、東京都、組織委員会、IOC(国際オリンピック委員会)などとの協議を開始すべきだ」と述べています。

2021年3月11日 赤旗

次は、3月26日の志位委員長の記者会見から。

 日本共産党の志位和夫委員長は25日の記者会見で、新型コロナウイルス感染症の「第4波」が懸念されるもとで東京五輪開催を前提とする聖火リレーの開始への受け止めを問われ、「(五輪は)中止すべきだというのが世界の声になりつつある」と述べ、「安全・安心な大会」の保障がない以上、「中止するかどうかの是非を真剣に検討すべきだ」と主張しました。
 志位氏は、米紙ニューヨーク・タイムズ24日付記事がコロナ禍のもとでの「呪われた五輪」開催に疑問を呈したことに言及。英紙タイムズの東京支社長が本紙日曜版のインタビューで「五輪を安全に開催することはもしかしたら可能かもしれませんが、それはギャンブルです。人々の健康や命をギャンブルにかけるべきではありません」と述べたことを示し、「その通りだ。私たちは1月の段階から中止を決断すべきだ、開催ありきで突っ走ってはいけないと言い続けてきたが、政府はそういう検討を行っていない」と批判しました。
 その上で、「個別の種目の大会はやっているが、1万数千人ものアスリートが集まるオリンピックのような規模の大会をパンデミック(感染症の世界的流行)のもとで開催したことは、これまで世界で一つもない」と指摘。「開催ありきで、思考停止で突っ走ったら、重大な事態になりかねない。一種のギャンブルに国民の命や健康を賭けるのは政治のやることではない」と強調し、「いまからでも中止の決断を速やかにすべきだし、少なくとも中止するかどうかの是非をテーブルの上に載せて真剣に検討すべきだ」と重ねて主張しました。

2021年3月26日

ワクチン接種の体制を全部地方自治体任せにして、河野大臣が頭ごなしにいろんなことを言うので、地方自治体はかなり混乱している。接種券がなくても医療従事者や高齢者に接種して、廃棄が起こらないようにという。しかし、今回の接種は、特別給付金を配布した実績を評価して自治体に任せたのだから、安全に確実に接種できるようにするということが眼目なので、接種券がなくても医療従事者や高齢者にうってワクチンが無駄にならないように、というのは、管理システムとしてうまく機能しないことを意味するので、簡単に発言するようなことではない。

それでやっていても、配布が潤沢に行われるのは5月以降。6月、7月時点で一般の人に接種が行われるかと言えば疑問。わがかつらぎ町では10月末まで接種を終えたいとしているので、オリンピックの真っ最中もワクチン接種事業が行われていることになる。

全世界から選手だけでも1万数千人の人がやってきて、コロナ対策のもとでオリンピックを準備し、必要なPCR検査を何度も行いながらの大会になる。選手団の各国スタッフの人数を選手に付け加えると膨大な人数になる。大会運営の日本側スタッフの人数も大規模だ。ボランティアの運営スタッフを募集していたので、さらにスタッフの数は膨れ上がる。

問題は、新型コロナウイルスの感染対策をした上でのオリンピックなので、医療問題だけでも開催は困難だと思う。
東京都のワクチン接種体制
新型コロナ感染症の受け入れ体制(東京都と東京周辺)
オリンピック実施に必要な新型コロナ感染症対策の医療体制
オリンピック対応の医療体制
これを全部明らかにして、国民に見える形でできるかどうかの判断を示す必要がある。

現在の感染拡大の状況下で7月23日が迎えられるかどうかは、現時点で判断できるのではないだろうか。開催に必要な体制を具体的に考えると答えは出てくる。必要な体制が取れない時点で開催は不可能だ。判断が難しいのではなくて、中止を含めた検討に入れないということではないか。日本の「難しさ」はここにある。
この上、コロナ感染が広がっていたらさらに困難が増すということだ。ワクチンは、接種したら感染しにくいということだが、ワクチンを2回接種しても感染した事例が報告されている。有効な薬が確立していないなか、オリンピック開催はギャンブルになるというニューヨークタイムズの「呪われた五輪」ということを真剣に考えなければならない。
医療体制がとれないままでもオリンピック実施に突っ込んだら、限られた医療体制をオリンピック最優先に振り向けることになる。アスリートの命も国民の命も重さは同じ。かけがえのない人生に変わりはない。オリンピック運営最優先、助ける命に順位をつけるようなオリンピックなんてすべきではない。


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雑感

Posted by 東芝 弘明