海南市を視察した
議運の委員長と副委員長、議会事務局の職員と一緒に海南市の議会運営について、視察に行った。議員の政務活動にあたるものだ。最近、海南市との比較で議会運営が語られることが増えたので、違いがどこにあるのか、正確に把握したいという思いもあっての訪問になった。
地方自治法とほぼどの自治体も同じ規定になっている会議規則で議会は運営されているが、それでも議会運営にはかなりの違いがある。海南市の議会事務局長も語っていたが、何が正解ということはないというのが基本だろう。その中でどういう運営をすれば、議会の議論が活発になり、運営が進化するのか、その方向を語り合う機会になった。
かつらぎ町は、県内で唯一通年議会を実施している。通年議会は、運営が始まると次第に議会の在り方を変える力を持ってきた。毎月のように本会議が開かれるが、現在は、以前のような単なる臨時議会の枠を超えはじめている。当局にとって、通年議会は普通の議会よりも活用しやすいものになりつつある。
今の町長になって、定例月以外に開かれる臨時議会も、議案の調査を行う時間が確保されているので、質疑の内容が良くなってきた。こういう変化は、通年議会でない場合も同じように運営はできるが、発想がなかなかそういうことにはならないところに違いがある。3月、6月、9月、12月の議会とそれ以外の月の議会が、同じような議会だという認識が次第に定着してきたので、請願と陳情の受付は随時となり、議会への上程の仕方も変化してきた。通年議会は、定着から活用へという変化の中にある。
海南市は、議会運営委員会が、議会開会前一週間の時点で開かれている。これが一番大きな違いだった。議案に対するヒアリングは、会派ごとに行われている。会派ごとのヒアリングには、強弱がありそうだった。
市長は初日に挨拶を行い、議案についてどういう議案なのかという点に絞った提案説明を短時間行なっている。その後日を改めて一般質問が行われる。一般質問は橋本市と同じように、壇上で全質問の趣旨を述べ、それに基づいて、項目ごとに一問一答を行うものだった。このやり方とかつらぎ町のやり方には違いがあった。傍聴する側から言えば、かつらぎ町のやり方の方が分かりやすい。
海南市では、一般質問後、次の日に( 一般質問の日程は3日、2日で終われば3日目は休会)直ちに議案に対する本会議質疑が行われる。本会議質疑では、議案に対する当局の詳しい説明が行われ、質疑ということになる。その後議案のほとんどは委員会付託となる。
議案に対するヒアリングは、議会運営委員会から本会議の初日までの間に行われているのだという。一般質問の直後に本会議質疑を行うのは、どうなんだろうと思う。
当局が本気で、議会に対し議案の提案や修正を求め始めるのであれば、議会の日程のあり方が、大きな課題になる。会派の違う議員や党派の違う議員がいる中で、委員会に付託された議案に対して、議員相互の議論と協議が、公式の議会の会議内で行われるようになれば、委員会の開き方、日程の取り方は変わらざるを得ない。議会が十分な審議の時間をとるために、日程はどうあるべきかということになる。
議会ごとに違いがあるので、双方向のやり取りになった。こういう意見交換は、面白いものだった。
視察の後、海南市の元市役所にあるノビノスを見に行った。館長さんが案内してくれて、施設の全体を見せてもらった。職員の柔軟な発想には驚かされた。ノビノスは、図書館を中心とした施設だが、子どものための図書館と小中学生のための図書館、大人のための図書館が、1階から3階まで造られていた。貸し館のスペースも多く、料金は非常に安いものだった。市民に開かれた施設は、年間62万人の来館者があるという話だった。音楽の演奏ができるスタジオもあった。ホールは小さな250人〜300人程度のものだったが、ここの料金設定も安いものだった。建物の外には、小さい子どもが家族連れで遊べる半屋根付きのスペースがあった。一緒に行った大山議員は、この施設をかなり利用していると言い、「ここにきたら1日、子どもと遊んで楽しめる」と言った。
同じお金をかけるのであれば、住民の意向をよく踏まえて、住民の気持ちに寄り添う施設を作るべきだろう。かつらぎ町がそういう施設を造ることのできる自治体に生まれ変われるかどうか。考えさせられた。



