「ラーメン3つですね」
朝3時45分。星がきれいになった。オリオン座が見上げた空のやや右に見える。秋の空は好きだ。見ていると哀愁が漂ってくる。赤旗の配達を終え、ファミマによって珈琲のMを注文し、車に乗せて事務所に付いたのは5時だった。議会のことばかりしていたので、情勢から少し離れている。感覚を取り戻すために新聞を読んで、中央委員会の文書にも目を通して、仕事にかかった。会議が9時から始まる。
準備を終えて顔を洗ったのが8時45分。会場に向かった。
会議の後、昼食をはさんでの相談となった。寝不足状態だ。
夜、自宅に帰ると2階に娘がいた。ご飯を作ろうと呼びかけると、今日は屋台のラーメンにしようという提案があった。来るのは9時前だよねということで屋台のラーメン屋さんが来るのを待った。
斜め前のお家の犬がうおーんと吠えはじめるとラーメン屋さんが来た合図だ。チャルメーラ、チャルメーラメーと聞こえる音が、まだ届いていない段階で犬がうおーんと鳴く。
サンダルを履いて表に出て、しばらくするとチャルメラの音がかすかに聞こえてきた。三叉路のところまで小走りに走って見ていると軽トラックが角を曲がってきた。手招きして家の前に誘導すると屋台のラーメンのお兄ちゃんが、
「ラーメン3つですね」
そう言った。そうわが家は3人分。分かってるねという感じになった。
丼鉢を3つ持って手渡すとラーメンを3つ作ってくれた。「ネギ多め。3つとも」という注文にも応じてくれた。
「1800円です」
お金を払って、食卓の上にラーメンを3つ並べた。このラーメンのスープには少しとろみがある。
「美味しいよね。ここのラーメン」
温かい湯気を囲んで親子3人。満足な気分になった。
