「VIVANT」の最終回を見た

出来事

日曜日、ゆっくりした。娘と2人でランチに行き、スリランカカレーを食べたあと、紀泉台のケーキ屋さんに行き、娘の部屋でコーヒータイム。そのあと昼寝。自宅に帰ることにした。

夕方お花に水をやって蚊に刺された。ムヒがよく効く。

楽しみだったVIVANT

夜は楽しみにしていた「VIVANT」の最終回を見た。現実に存在している自衛隊の「別班」を描いている初めてのドラマだった。
本物の「別班」は正義の味方ではない。シビリアンコントロールの枠外にある存在を知られてはならない自衛隊の闇の組織。ドラマでは人殺しも使命であれば行うという設定だった。実際の「別班」がそういう任務まで行っているかどうかは分からない。殺人にはリスクが伴う。自殺に見せかけて殺しても、それがばれると、日本をひっくり返すような大問題になる。内閣総理大臣も防衛大臣も知らない「別班」の存在は認められないので、殺人などが表に出てくると、「別班」そのものが闇から闇に葬り去られることにlなる。

別班の美化には警戒

乃木憂助(堺雅人)の描き方が、「別班」の美化につながる面はなかったか。
それは「あった」といわなければならない。国粋主義的な思想をもった乃木憂助は、しかし、家族への愛情を優先して任務を遂行した。しかもその行為が許されたというのは、現実の世界では「ありえない」設定だった。国粋主義的な思想を徹底して遂行するように描いたら、「別班」は恐ろしい組織として描かれただろうが、家族への愛が任務を上回り、しかも組織(自衛隊と公安警察)もそれを認めたので「美化」が入り交じることとなった。

「007」が荒唐無稽を基本にして描かれるのと、現実に存在する「別班」を描くのとは訳が違う。エンターテインメントであったとしても、その描き方がどうしても問われる。

エンターテインメントの面白さ

しかし、エンターテインメント作品として、「VIVANT」は極めて面白かった。ドラマの中で謎が謎を呼ぶような設定(恋愛ドラマにしてもアクションにしても)を行う場合、謎を残してもいいが(謎については作家が意図をもって描くと面白い。例えば、宮﨑駿の作品の面白さは、描かれている絵の中にある。謎が満載だと言ってもいい。)、それでも伏線の回収を図ることが求められる。多くのドラマが、最初は面白いのにラストに向かってテンションがダウンして、「えー、何でそうなるの」というような展開に「落ちる」ことも多い。そうなると興ざめが起こる。
それは「風呂敷を広げたら閉じなければならない」という作家と作品の宿命。この難しさから作家は逃れられない。
「VIVANT」は、最初からどんでん返しの連続だったが、張り巡らされた伏線が、ラストに向かって回収される見事さがあった。それは見ている側をワクワクさせた。
あまり他の人が書いていないので書いておこう。
乃木はどうして柚木薫(二階堂ふみ)とジャミーンに会いに行くときに、テントのノゴーン・ベキ(役所広司)の息子の象徴である衣装のまま会いに行ったのかというのが疑問として残った。服を着替える時間は十分にあった。会った場所は乃木の家の近くの神田明神。テントとの関わりがあったと思われる柚木に、乃木はその姿を見せることによって、彼女の反応を確かめていたのだと思う。
「ただいま」「おかえり」
何も聞かないまま抱擁しあう2人の表情が意味深だった。柚木は乃木が何をして帰ってきたのか、その意味をかなり理解したのではないだろうか。

存在が許されない別班

自衛隊の中にある現実の「別班」は、存在そのものが許されない。日本国憲法の国民主権、恒久平和の精神、実力組織である自衛隊は、100%この憲法下では、文民統制下に置かれなければならない。
戦前の大日本帝国憲法下では、軍隊は天皇の軍隊であって、国会が一切関与することを許されていなかった。軍隊に対する統帥権は天皇にあった。政治が関与できないなか、軍部の暴走のようにみえる事態が何度も発生した。軍の動きに対して、天皇はこれを容認したし、第2時世界大戦の開戦時には、軍と天皇だけで戦争に踏み切った。内閣総理大臣だった東条英機に作戦が知らされたのは、真珠湾攻撃に部隊が出撃した数日後だった。
現在、自衛隊は諜報活動を行っているが、当然のことながら、それはすべて憲法下での活動であり、政治の統制下で行われている。この仕組みから離れて、自衛隊内部で秘密裏に、独自に活動している別班という組織は、危険極まりない存在となる。こんな組織が、犯罪を犯したり、外国でスパイ活動を行っていることが明るみになれば、日本の国そのものの在り方が根底から問われることになる。
別班は、その存在を内閣が否定している。しかし、現実には自衛隊の管理下で存在しているのは間違いない。共同通信が別班について記事を配信したのは、2013年11月27日だった。このときに共同通信は自衛隊の幹部に記事を配信することを3日前に伝えようと動き(実際に伝えたのは11月19日)、海外で秘密裏に活動する別班員の身柄を保障できる時間を取ってもらえるようにしている。
別班を動かしている勢力の一つは米軍であるという指摘もなされている。そうなると闇は一層深い。
今回のドラマを起点にして、別班の現実にもメスが入ることを期待したい。写真は、元共同通信の記者、石井暁さんの『自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体』の表紙。本物の別班の正体はこの本で知ってほしい。


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出来事

Posted by 東芝 弘明