Gemini君との対話 1
Gemini君との対話が新しい視野を開いてくれる一例です。ぼくは時Gemini君に対して、次の質問をしました。
マルクスの資本主義の搾取の仕組みから言うと、労働者の賃金闘争は、労働力商品の価値通り賃金を支払えと言うたたかいになりますか。
結論から申し上げますと、マルクスの経済学の枠組みにおいて、労働者の賃金闘争は「労働力という商品の価値(再生産コスト)をきちんと支払え」という戦いであると解釈できます。
しかし、ここにはマルクス特有の「搾取」のロジックが深く関わっており、単に「安月給を適正価格にしろ」という以上の意味が含まれています。
- 労働力商品の「価値」とは何か
マルクスによれば、労働者が売っているのは「労働(働いた成果)」ではなく、「労働力(働く能力)」という商品です。この商品の価値は、他の商品と同じように、それを生産・維持するために必要な社会的労働量によって決まります。
労働力の価値 = 労働者が明日も元気に働き、家族を養って次世代の労働者を育てるために必要な生活手段(食費、住居費、教育費など)の価値。
したがって、賃金がこの「生活に必要なコスト」を下回っている場合、それは労働力商品が価値以下で買われている状態です。この場合、賃金闘争は「価値通りに支払え」という要求になります。 - 「価値通り」に支払われても「搾取」は起きる
ここがマルクスの理論の最もユニークで残酷な点です。仮に資本家が労働力商品の価値を100%(価値通り)支払ったとしても、搾取は発生します。
必要労働時間: 賃金分(自分の生活費分)を稼ぎ出すための時間。
剰余労働時間: それを超えて働く時間。この時間に生み出された価値(剰余価値)が、資本家の利益(搾取分)になります。
つまり、労働者が「価値通りに賃金をもらっている」状態であっても、資本家は労働者をその価値以上に働かせることができるため、搾取は構造的に継続するのです。 - 賃金闘争の二面性
労働者の賃金闘争には、以下の2つの側面があります。
価値の防衛: 資本家が賃金を生活に必要なレベル(価値)以下に買い叩こうとするのに対抗し、「価値通りに支払え」と主張する。
価値の境界線をめぐる争い: 「何が標準的な生活か」は歴史的・社会的に決まります。労働者が団結して闘うことで、「これくらいの生活水準(価値)を保障しろ」と、労働力商品の価値そのものを高める(あるいは維持する)ことができます。
マルクスの視点: マルクスは著書『賃金・価格・利潤』の中で、賃金闘争を「結果(搾取)に対する対症療法」にすぎないと指摘しつつも、労働者が生活を守り、資本の横暴に抵抗するための不可欠なゲリラ戦として高く評価しました。
まとめ
労働者の賃金闘争は、短期的・直接的には「労働力商品の価値(正当な対価)を支払え」という戦いです。しかしマルクスの理論を突き詰めれば、たとえ価値通りに支払われても搾取はなくならないため、最終的には「賃金システムそのもの(労働力の商品化)」を問う闘いへと繋がっていく性質を持っています。
このGemini君の回答の中の賃金闘争の二面性は、示唆の深い指摘だと思います。「価値どおりに支払え」というたたかいであるとともに、「労働力商品の価値そのものを高めるたたかい」でもあるという指摘は、深いものだと思います。労働者は、この賃金で生活が本当にできるのかという要求とともに、どれだけの賃上げが必要かという視点の中には、自分たちの労働力商品の価値とは何なのかという視点が入るということです。これを知っていると、賃金闘争の意義が運動の中に坐ると思います。











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