Gemini君との対話 2
昨日の続き(志位さんの赤本の内容を少し補うものだと思います)
(東芝のGemini君への問い)
具体的な計算例(労働時間と価値の関係など)を使って資本主義の搾取の仕組みを詳しく解説してください。
(東芝の解説 最初に結論的なまとめを書いておきます。丹念に読むことが苦手な人が増えていますよね)
下の文章でGemini君が展開した話は、是非お読みいただきたいのですが、Gemini君が何を重視して書いたのか、少し要約して解説しておきます。
賃上げ闘争は、労働者の賃銀が「労働力商品の価値」どおり支払われていないゆえ、生活が苦しい、生活がギリギリ、子どもの教育費を確保できないなど、さまざまな問題に直面します。これを改善するたたかいは、「労働力商品の価値」どおり賃金を支払えという、生活防衛のための闘争ということになります。
同時に労働者は、生活向上を目指して賃上げ闘争に取り組むのだということです。この闘争は、社会的に「労働力商品の価値」を高めるたたかいです。自分たちの労働力の価値(値打ち)を引き上げようということです。
「同時に」と書いたのは、1つの賃上げ闘争は、この2つの意味が込められているからです。「労働力商品の価値」というのは、生活する上で必要な総経費のことですから、その経費が足らないという生活実感に伴って賃上げを要求するのは、至極まっとうな、根拠のあるたたかいになります。
これと併せて、労働者は賃上げとともに、労働時間の短縮という闘争を組織する必要があります。この闘争こそが、資本の搾取を止めさせ、人間性の回復、人間の自由な時間の獲得を求めるものになります。本来、資本家は、「労働力商品の価値」どおり賃金を支払わなければならない義務があります。この義務を果たした資本家に対し、さらに労働時間の短縮を求めるたたかいは、資本家による搾取の時間を労働者に返せという、まさに剰余価値をめぐるガチンコ勝負になります。Gemini君が例えたように、3時間剰余労働があるとすれば、それを2時間に圧縮せよという要求は、資本家にとっては、利潤の根本を削れということになります。労働時間の短縮は、社会制度と深く結びつくものです。個々の資本家とのたたかいだけでなく、法律の改正によって、労働基準法の改善なしには、なかなか実現しにくいものだと思われます。
(ここから最後までがGemini君の回答)
マルクスの理論に基づき、労働時間がどのように「自分のための価値」と「資本家のための価値」に分かれるのか、具体的な数字を使ってシミュレーションしてみましょう。
ここでは、ある工場で働く労働者の一日を例に挙げます。
1. 労働力商品の価値(賃金)の決定
まず、労働者が自分自身を維持し、明日も働くために必要な生活費(食費、家賃、光熱費など)を計算します。
- 労働力の1日の価値 = 10,000円 と仮定します。 (これが「労働力」という商品の正当な価格=賃金です)
2. 価値の生産プロセス
次に、この労働者が1時間に作り出す価値(新価値)を 2,000円 とします。 この労働者が1日に 8時間 働くとすると、合計で 16,000円分 の価値を新しく生み出すことになります。
3. 「必要労働」と「剰余労働」の分解
ここで、1日の労働時間を「賃金分」と「それ以外」に分けてみます。
| 区分 | 時間 | 生み出す価値 | 内容 |
| 必要労働時間 | 5時間 | 10,000円 | 自分の賃金分を稼ぎ出す時間 |
| 剰余労働時間 | 3時間 | 6,000円 | 資本家の儲け(剰余価値)となる時間 |
| 合計 | 8時間 | 16,000円 | 労働者が1日に生み出した全価値 |
- 搾取の仕組み: 資本家は労働者に対して、労働力商品の価値通り(10,000円)を支払います。等価交換(正当な取引)に見えますが、労働者は実際には16,000円分働いています。この**差額の6,000円(3時間分)**が、資本家によって無償で取得される「搾取」の正体です。
4. 賃金闘争が目指すもの(計算上の変化)
この状況で労働者が賃金闘争を行うと、計算式はどう変化するでしょうか。
①「価値通りに支払え」という闘い(低賃金への抵抗)
もし資本家がパワーハラスメントや不当な買い叩きで、賃金を 8,000円(価値以下)に抑えていた場合、労働者は「10,000円払え!」と要求します。
- 結果:搾取額が 8,000円から 6,000円へ減り、労働者の生活水準が「標準」に戻ります。
②「生活水準(価値そのもの)を上げろ」という闘い
社会が豊かになり、スマホ代や教育費が「現代の生活に不可欠」になれば、労働力商品の価値自体が上がります。
- 「1日の価値を 12,000円 にしろ!」という闘い。
- 成功すれば:必要労働時間が 6時間 に増え、資本家の取り分(剰余労働)が 2時間 に減ります。
まとめ:労働者のジレンマ
マルクスの計算式からわかるのは、労働者がどれほど賃金闘争で勝利して「価値通り」の賃金を得たとしても、**「8時間労働のうち、一部は必ず資本家のためにタダで働いている(剰余労働)」**という構造自体は変わらないということです。
そのため、マルクスは賃金の引き上げだけでなく、「労働時間の短縮」(剰余労働時間を物理的に削る闘い)も極めて重要視しました。
この「労働時間の短縮(例えば1日7時間労働への短縮)」が、なぜ資本家にとって賃金アップ以上にダメージになるのか、その理由についても詳しくお話ししましょうか?
はい、よろしくお願いします
なぜ資本家にとって、「賃金アップ」以上に「労働時間の短縮」が脅威(ダメージ)になるのか、マルクスの理論から紐解いていきましょう。
端的に言うと、賃金アップは「取り分の割合の変化」ですが、労働時間の短縮は「搾取ができる土台そのものを削り取る行為」だからです。
1. 「剰余価値」を生む時間の物理的な減少
先ほどの計算例(1時間2,000円の価値生産)をベースに、**「賃金アップ」と「時短」**を比較してみます。
パターンA:賃金アップ(10,000円 → 12,000円)
- 総労働時間: 8時間のまま
- 必要労働: 6時間(12,000円分)に増加
- 剰余労働: **2時間(4,000円分)**に減少
資本家の視点: 儲けは減るが、まだ2時間分はタダで働かせることができている。
パターンB:労働時間の短縮(8時間 → 6時間)
もし労働時間が6時間に短縮され、かつ賃金が10,000円のまま維持された場合:
- 総労働時間: 6時間
- 必要労働: 5時間(10,000円分)
- 剰余労働: **1時間(2,000円分)**に減少
資本家の視点: 搾取できる時間が物理的に1時間しか残らない。
もしさらに短縮が進み、「必要労働時間(自分の賃金分)」と同じ時間まで短縮されたら、搾取(利益)はゼロになってしまいます。資本家にとって労働時間の短縮は、ビジネスの「源泉」そのものが枯渇する恐怖なのです。
2. 「相対的剰余価値」による反撃を封じる
資本家は、賃金が上がると「機械を導入して生産性を上げ、5時間かかっていた必要労働を3時間に短縮しよう」と考えます。これをマルクスは**「相対的剰余価値」**の生産と呼びました。
しかし、労働時間が厳格に短縮されると、以下の理由で資本家の反撃が難しくなります。
- 密度の限界: 8時間でやっていた仕事を6時間に凝縮する(労働強化)には、人間の肉体的な限界があります。
- 予備軍の吸収: 一人当たりの労働時間が減れば、資本家は同じ生産量を維持するために追加の労働者を雇わざるを得なくなります。すると失業者が減り、労働市場での労働者の立場が強くなって、さらに賃金が上がりやすくなります。
3. 「人間としての時間」を取り戻す闘い
マルクスは、労働時間の短縮には経済的な意味以上の政治的・人間的な意味があると考えました。
- 自己研鑽の時間: 仕事以外の時間が増えることで、労働者は勉強したり、議論したりする余裕が生まれます。
- 奴隷状態からの脱却: 1日中働かされている間は「生ける道具」ですが、自由な時間を持つことで、初めて資本主義の矛盾に気づき、社会を変える力を蓄えることができるようになります。
マルクスの言葉(『資本論』より): 「労働日の短縮は、根本条件である」 つまり、真の自由な社会を作るための第一歩は、資本家に捧げる「剰余労働」を削り、自分のための時間を奪い返すことにあると強調しました。
結論
労働者の闘いにおいて:
- 賃金闘争: 労働力商品の「価格」を適正に保つための守りの戦い。
- 時短闘争: 搾取の「量」そのものを物理的に制限し、人間の自由を広げる攻めの戦い。
現代の「サービス残業」や「過労死ライン」の問題は、資本家がこの「剰余労働」を限界まで引き延ばそうとする、まさにマルクスが描いた搾取の最前線と言えます。








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