あべのハルカスと「命がけの飛躍」
あべのハルカスの中を歩き回りながら感じたものの一つは、商業資本もやはり利潤率が著しく低下しているなあということだった。高級感とおしゃれな感じを出すためには、建物のデザインから定員の配置にかなりの仕掛けが必要になる。
スーパーマーケットの場合は、いかに定員を減らしてお客さんが、自主的、自発的に買い物ができるように創意工夫がなされている。自分で選び取って入れ物に入れるお総菜以外は、全ての商品にバーコードが貼られている。野菜にはラップが巻き付かれており、お肉と魚介類は、トレイの上に品物が並べられ、さらにラップが綺麗にまかれている。
デパートや百貨店は、その逆で、かなりの定員を配置して、お客さんの求めに応じて、懇切ていねいに説明しながら販売するという方法を取っている。綺麗でおしゃれな建物と、驚くほどの明るさと清潔感溢れる店内のそこらかしこで、定員はお客さんに話しかけ、対話にのめり込みながら、商品の良さをアピールしている。高級感は、建物と定員の持っている雰囲気と態度によって醸成されている。
デパートや百貨店の面白さは、暇そうな、お客さんを相手にしたくてウズウズしているのに、寄りついてくれない状態がかなり蔓延しているところにもある。アイコンタクトがさかんに繰り返され、物色していると何度も目と目が合ってしまう。少しでも隙を見せると、笑顔が振りまかれ話しかけてくる。買う気のないぼくとしては、その場をやり過ごして立ち去ることになる。
定員さんの笑顔を見ていると、商品が貨幣に転化するためには「命がけの飛躍」が必要である。という言葉が浮かんできた。
賃金が低い可能性もあるのだけれど、膨大な人件費と膨大な建物の維持管理費によって、高級感が生み出され、この仕掛けによって商品の値段を高くつり上げて、高級感をより一層醸成させる。でも、商品の値段を見て歩くと、あべのハルカスという日本一高いビル(背が高いという意味)の中のお店の商品にも、かなり安い、リーズナブルな物が散見できる。この仕掛けにして、なお、この商品の値段でしかないのであれば、利益はほとんど上がらないということになる。何でこのような状況があべのハルカス内にもあるのか。それは、国民生活が賃金の切り下げによって喘いでいるからに他ならない。高級な百貨店にしても、商品に高い値段を付けきれないという傾向にあるということだろう。お客さんの相手をしたいのにできない中で、暇そうにしている定員さんを横目で見ながら、「お店を維持するのは大変だろうなあ」という感想を持ってしまった。
建物と装飾と定員とを配置することによって、さらに土曜日ということもあって、あべのハルカスは人で溢れていた。でも予想以上に商品は売れていないだろう。かなりきわどいバランスの中で、あべのハルカスは、日本一背の高いビルを誇りつつ建っている。そう、ぼくが行った日は冷たい雨交じりの中に。










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