前川喜平さんと寺脇研さんの講演会
前川喜平さんと寺脇研さんのダブル講演とパネル・ディスカッションが和歌山県民文化会館で開催された。主催は青年法律家協会。「これからの日本 憲法と教育の危機」と題したこの講演は、1,500人の観客のもとで開かれた。パネル・ディスカッションのコーディネーターは堀内秀雄和歌山大学名誉教授だった。
フランクに縦横に語るという点で3人の方々は、本当に自由だった。聴衆に対して心を開き、信頼している感じが伝わる語り口だった。
憲法の改正危機を何とか止めたいと前川喜平さんは語った。
日本国憲法は、戦前の戦争の犠牲の上にできた理想的な憲法だった。この理想の実現は、教育によるとしたのが、改正前の教育基本法だった。教育基本法は、1946年11月3日の日本国憲法の公布から1947年5月3日の施行までの間の1947年3月31日に公布・施行された。
前川さんはこの経緯を語り、「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」という旧教育基本法をそらんじて紹介した。
話は、少し早口だった。前川喜平さんは、最後に、いま、自主的に夜間中学校を開校しているところでボランティアを行っていると語り、和歌山県にも3校、4校と夜間中学校をつくっていただきたいと語った。
寺脇研さんは、講演慣れしている感じがあり、語り口調は前川さんよりもゆっくりだった。ゆとり教育の神髄は、個人の尊厳の尊重にあるという話が印象に残った。中曽根康弘さんが首相の時代に行った教育臨調は、中曽根さんの思惑どおりにならず、個人の尊重を基本にして教育を発展させるべきだというものだった。この教育臨調の中心点を実行に移したのがゆとり教育だった。そういう趣旨のことを語った。
戦後の教育は、戦前回帰を求める教育勅語の復活を求めるような教育の流れ(国家主義的な教育への動き)と、大企業が求めてきた経済活動に奉仕するような教育の流れと、日本国憲法を理想として、それを実現しようとする教育の流れ(民主的な教育への動き)の中で、せめぎ合って形づくられてきたと思う。前川さんと寺脇さんの2人の語りは、この流れの中で、国家主義的な教育への動きと民主的な教育への動きのせめぎ合いについて語られたものになった。
第2次世界大戦で、連合国側が求めたポツダム宣言には、日本を民主的な国家に再編する理想が結実しており、それが日本国憲法という形になった。この憲法には、全世界の民主的な精神が反映した。この憲法を守って日本を発展させることは、「未完の大器」を実現するものになると思われる。
多くの国民は、日本国憲法の価値をまだ認識していない。しかし、この憲法を守ろうという国民の運動は、着実に広がっている。この運動に未来がある。日本国憲法を守ろうとする政治勢力が、新しい政府をつくって、国民主権に基づく日本の建設に足を踏み出せば、日本は大きく変化していく。
「ぼくは楽観論者だから、あと20年経ったら日本は良くなっているでしょう」
寺脇さんは最後にこう語った。
その道を切り開くのは、主権者である国民だ。北朝鮮と韓国の首脳会談によって、朝鮮戦争の終結に向けた建設的な合意がなされた2018年4月27日。この歴史的な日に日本国憲法について、縦横に語られた集会に参加できたことを嬉しく思う。
人間の歴史は、紆余曲折を経ながらも、自由と民主主義を拡大する方向に発展してきた。これからも自由と民主主義へのさらなる発展が、時代をより良いものに発展させる大きな原動力になる。日本国憲法の精神は、もちろん、未来永劫変えるべきものでないというものではないが、日本国憲法の精神の実現にとり組むことが、自由と民主主義を発展させる道である。この道を発展させることが日本の民主主義にとっては不可欠の課題になる。
この発展の先に新しい社会の姿がある。










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