愛情たっぷりの珈琲

ある人と午前中2時間40分ほど話し込んだ。人の話を聞くと次第に本当に言いたいことが見えてくる。傾聴という域にまではまだまだ到達していないのだけれど、話を深く聞くことによって信頼関係が生まれてくることを感じる。
「あなたの話をお聞かせください」
こういう姿勢が大切だと思い始めている。この人の本音はどこにあるんだろうか。ほんとにこの人は本心を語っているのだろうか。日本人は本音と建て前が分離して育っている人が多いので、気持ちを見極めるのには時間がかかる。でも分け入っていくと奥の深い人間の姿が浮き上がってくる。
同じ時期の話をAさんから聞いた後で、今度はもう一人の相方と呼んでいいと思われるBさんから聞かせてもらうこととなった。上手くかみ合わないでその時期を過ごしていた2人は、互いに上手くいかない状態をそれぞれ感じていた。その感じ方は、互いによる相手に対する見方となって現れていた。
同じように上手くいかないと思いながら、上手くいかない理由は双方にあって、ということだった。それぞれに話を聞けば、一つの物事を両面から見るということにつながる。そこには微妙な食い違いとすれ違いがあるのだけれど、なんだか単純な不協和音というよりも、ハーモニーになっているなと感じる点もあった。
話をしたのは、広いテーブルのあるカフェだった。天井が高い。
「愛情たっぷりの珈琲をください」
そう言ってその人は珈琲を注文した。それを受けて、
「愛情はなくてもいいので珈琲をください」
ぼくはそう言った。笑いが起こった。
愛情たっぷりの珈琲を頼んだ人は、砂糖を大盛り2杯、ティースプーンで珈琲の中に入れた。
甘さが愛情のエッセンスなのかも知れない。
カップの中に入る砂糖が透明になった。










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