中学校の入学式で挨拶をさせていただいた
笠田中学校の入学式があり、PTA会長として出席させていただき、会長として挨拶をさせていただいた。今日がPTA会長としての最後の公式な仕事となった。後は引き継ぎがあるだけだ。
今回は、原稿を用意しないで、考えていることを話させていただいた。
自分の順番が近づいて来ると、緊張してきた。原稿を用意しないまま、うまく話がまとまるのかどうか。頭の中にあるのは、こういう話をしようということだけだった。
今回は来賓へのお礼を最初の方にもってきた。そうしないと忘れてしまいそうだった。
話すべきことを頭の中でシミュレーションすると、違うことを話したくなってきた。
卒業式の場合、多くの人は、有名な人の言葉を引いて励ましたり、人生の教訓を述べたりする。ぼくはこういう話をあまりしたくない。自分は悟りを開いた人間でもないし、オリンピック選手のトップアスリートのように、肉体的極限や精神的極限に立つという高みに立った経験もない。
イチロー選手の話をした人は、ぼくが出席した卒業式にはいなかったが、どこかの、誰かの挨拶には、イチロー選手が登場したらしい。
イチローは、子どもの頃から毎日練習を欠かしたことがなかったし、イチローのお父さんは、どんなことがあってもその練習につき合ったという有名な話だ。この話を持ち出して、「継続は力なり」を説いたようだ。
ぼくなどは、1日30分のエアロバイクを、ここ3日は眠たくってサボっているし、毎日朝晩、体重を量ることさえ、忘れたりしている。とてもいちろーのような真似はできないし、その話を引き合いに出して、「継続は力なり」を語れない。
壇上に立つと、高いところから教訓を垂れるようなことは、したくないと思っている。だからいつも、自分の身の丈に合った話しをしたいと考えている。
今日の話も、自分では、自分の身の丈に合った話をしたと思っているが、順番が近づいてきたときに、頭の中に浮かんでいたのは、スティーブ・ジョブズのことだった。この話は、笠田高校の卒業式の時の話でもあった。
ジョブズは、ガンに侵されたときに、母校である米スタンフォード大学の卒業式に招かれてスピーチを行った。
「ドグマにとらわれてはいけない。それは他人の考えに従って生きることと同じです。他人の考えに溺れるあまり、あなた方の内なる声がかき消されないように。そして何より大事なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。あなた方の心や直感は、自分が本当は何をしたいのかもう知っているはず。ほかのことは二の次で構わないのです」
あなたの直感を何よりも大切にしなさい。他人の考えに溺れることなく、あなたの内なる声に従って生きなさい。自分の心と直感に従う勇気を持ちなさい、というジョブズのこのメッセージは、この人の人生そのものだった。
頭に浮かんでいたのは、ジョブズは、自分の感性を信じ、この道をひたすら歩んだからこそ、アップルという会社を興し、この道を突き進んだからこそ、アップルを追放され、この道を突き進んだからこそ、ネクストとピクサーを経営し、企業家として成功し、この道を突き進んだからこそ、アップルに復帰して、アップルを世界一のIT会社に発展させたということだった。
自分の感性を信じ、自分の内なる声に従って突き進んで行ったジョブズの生き方は、何を物語っているのだろう。アップルに復帰して以後のジョブズは、実に柔軟に、アップルの戦略を分かりやすく語り、それを会社全体のものにして、いくつものイノベーションを起こしていった。この姿は、独裁的な経営者ではなかった。自分の信じた道を突きすすめ、という教えは、他人の感情や意識を無視しろということでは全くない。
こんな話がさかんに頭の中で渦を巻いていたが、話をしたのは、用意していた全く別の話だった。
新入生は、新しい制服に身を包んで、新たな生活の入口に立っている。
わが家の娘も、今日は高校の入学式だった。入学式では、緊張していたのだという。
子ども達は、さかんに散り始めた桜の花の下で、新しい出会いに胸をときめかせている。










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