読売新聞、こんなことでいいんですか。

雑感

小池晃参議院議員の追及によって、法案が審議中だという状況にもかかわらず、法案成立を前提にして、自衛隊が作戦計画を緻密に作成していることが明らかになった。これで国会審議は中断した。

この問題が明るみに出ても、審議が進むというのであれば、日本の異常さは極端なところに立ち至っているといわなければならない。読売新聞は8月12日、小池質問を4面の小さな2段のブロック記事にした。記事の本文行数はわずか34行だった。この記事の書き方では、国会審議がなぜ止まったのか、全く伝わってこない。逆にいえば、読売新聞でさえ小池質問を全く無視することができなかったので載せざるを得なかったということだろう。
この記事を書かなければ、国会審議が質問の途中で審議が中断したという事実さえ伝えないことになる。これでは、国会の運営状況さえ読売新聞は伝えなかったということになるので、「これはまずい」と判断したのだろう。しかし、この質問を通じて、一体何が起こったのかを伝えないので、読売新聞読者は、蚊帳の外に置かれてしまう。中には小さな記事なので見落とす人もいるだろう。
さすがにテレビは、この質問を報道した。世間で問題になっていることを知るためには、読売新聞だけではダメだ、という事態を自ら作りだした読売新聞というのは、さすがに哀しい。体制に心配りして、安倍さんの都合のいい記事ばかり書いて、政府の言い分を新聞の紙面で一生懸命伝えている新聞は、批判的精神の矛先を野党の動きや国民の運動に向けている。
事実を国民に十分に伝えないという報道の仕方は、戦前の報道に似ている。戦争報道は、勝った状況を伝え、敗退しても転進と書き続けてきた。その結果、日本国民(臣民)の多くは、8月15日の玉音放送まで日本が負けるとは思っていなかったという「洗脳状態」が作り出された。読売新聞は、そういう方向に国民を導きたいのだろうか。

小池質問は、何を暴露したのだろうか。
自衛隊の内部資料が日本共産党の小池議員の手に渡り、この資料に基づいて、お盆の直前、質疑が行われた結果、自衛隊は、8月に法案が通過することを前提に、法案施行に向けて具体的な作戦計画を詳細に明らかにしていたということだ。作成されたのは今年の5月。この計画書は、自衛隊の内部文書で、パワーポイント用の資料だった。計画によるとアメリカ軍は自衛隊との調整のために「軍軍間の調整所」を設置することになっている。この調整機構は、平時から行われるものとしてACMと呼ばれるものだが、これはこの8月から機能するように書かれている。日米の新しい軍事的な共同作戦計画は12月半ばから検討に入ることになっている。「軍軍間の調整所」──自衛隊は自らを軍と表現している。
「まるで戦前の軍部の暴走だ」
小池議員は、こう追及した。自衛隊が国会審議の最中に法案成立を前提に、国会での安倍総理の答弁のごまかしとは全く関係がないように、着々と日米ガイドラインに沿って戦争参加に前のめりになっていく。これが計画から浮かび上がってくる。

PKO活動についても具体化が図られている。
ぼくは、かつらぎ町議会の委員会のやり取りの中で、「この法案が成立しても戦争にはならないのではないか」という保守系議員の問いかけに対し、「南スーザンに自衛隊が派遣されPKO活動を行っているが、まず最も危ないのはこのPKO活動だという指摘がある」と答えた。今回の資料は、来年3月、南スーザンのPKOで自衛隊が駆けつけ警護の任務に就き、「任務遂行型」の武器使用を行うことが書かれている。

今回の資料は、安全保障法案が、アメリカ軍との共同の軍事行動のためのものであることを明らかにするものだった。かつらぎ町議会の委員会で保守系議員の方々は、日本がアメリカの戦争に参加するというと、一様に笑ったが、自衛隊の内部資料によって、アメリカ軍に組み込まれる自衛隊の姿が明らかになったことを、保守系議員の方々はどうとらえるのだろうか。
「読売新聞は片寄っていない」と言った議員もいたが、読売新聞を読んでいる限り、今回の小池質問の具体的な中身は知りようがない。知りたくても知ることができない。現時点でも、安全保障法案が「戦争法案」だとは思わないとか、「アメリカの戦争に日本が参加することはあり得ない」という認識のままならば、読売新聞だけを読めば事足りるという認識は改めた方がいい。

大本営発表だけを鵜呑みにした新聞は国民に真実を伝えなかった。という点でいえば、現時点ですでに読売新聞は、この域に到達している。小池質問という巨大な爆弾発言をスクープとして捉えられない新聞は、もはや新聞ではない。

雑感

Posted by 東芝 弘明