小中一貫について、文献を読む

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小中一貫校について、ビラを作成することになったので、お手伝いをすることとなった。
まずは、関係する文献を読む。
今日読んだ文献には、義務教育ニュービジョン研究会議が平成18年1月にまとめた報告書「和歌山の未来をひらく義務教育」があった。
この報告書は、一言でいうなら、この報告書は、新自由主義的な教育改革の立場に立ったもので和歌山県流の具体化というべきものだった。
この報告書には、すべての子どもには、教育を受ける権利があり、この権利を保障するという観点はない。
では、教育をどうとらえているのか。「報告」を引用してみよう。

「○ 義務教育は、子どもが成長・発達していく上で必要とされる基礎的な学力、体力、道徳性を養う責任を担っており、教育行政は地域住民に対して、機会均等、水準確保、無償制を担保しながら、時代のニーズに応じたサービスを提供する責務がある。義務教育に対する地域社会の期待には大きなものがあり、学校は具体的な教育活動を通して、このような保護者や地域の期待に応えていかなくてはならない。
○ 学校が魅力ある教育活動の営まれる場として、また活力みなぎる学舎として、学校改革と教育実践にどう取り組んでいくべきか、教育委員会と学校関係者は真剣に考えなくてはならない大切な時期に来ていることを自覚する必要がある。」


教育サービスの提供は、教育のメニュー化、商品化を意味する。保護者や地域は顧客になる。公的な教育が商品だとすれば、塾と学校との違いはないに等しい。
では、教育という商品を作るのはだれか。
さらに「報告」を引用してみよう。

「○校長のリーダーシップを発揮した学校の個性化がいわれているが、依然として、学校は教育委員会の指導のもと、自ら工夫・改善していくといった主体性に欠け、横並び的な発想での学校づくりにとどまっている傾向がある。
○ 学習指導要領の中に「新しい学力観」が打ち出されてから、子どもの興味・関心を重視した考えさせる授業づくりに取り組まれてきたが、教師の中には、旧態依然とした指導方法から抜け出せていない者もいる。」


学校は、校長の強いリーダーシップのもと、教育委員会と校長が相互に連携しながら質の高い教育をつくる場所だということだ。教員は、横並び傾向や自ら工夫・改善していく主体性に欠ける存在だとされ、中には指導方法も旧態依然としたものから抜け出せない者もいる。つまり教員は、教育改革の担い手だが、教育の主体ではなく、問題を抱えた変えるべき対象だということだ。
改革の方向性はどういうものか。さらに引用しよう。

「○ このため学校は、これまでのスタイルにとらわれない、新しい感覚や手法を取り入れた学校教育そのものの改革に取り組むことが求められている。また保護者や地域社会の信頼を獲得するために、教育活動の状況や結果を公開し、その評価に基づいて教育内容を改善していくといった、組織マネージメントの考え方を学校経営に積極的に取り入れるなど、学校の活力をどのように維持・発展させるかについて検討する必要がある。
○ また少子化の進行により、県内の小・中学校は近年、急激な小規模化が進行してきており、子どもたちの学力や生活力の育成といった教育効果の面で課題も生じてきている。こうした中、県教育委員会は今後、和歌山の子どもたちをどのように育てるのか、どのような個性ある教育を和歌山で提供できるかといった視点から、魅力ある教育を創造するための議論をしていくことが求められる。また、そのような魅力ある教育の創造を支えるための活力ある教育環境の整備、例えば小・中学校の適正規模の実現や、教職員のスキルアップ、学校組織の見直しについて検討していくことが急務であると考える。」


企業の論理が、かなり入り込んでいる。少子化に対応して統廃合を進め、適正規模の学校をつくることにも言及している。この報告書の中には、さらに小中一貫教育や小中一貫校、学区制の自由化などの考え方も盛り込まれている。
県の教育委員会は、この報告書にあるような考え方を踏まえて、地方教育委員会に特色ある学校づくりを競わせ、「教育改革」を推進している。
小中一貫校は、これを推進したいという地方教育委員会が、先陣を切って導入したり、導入を検討しているという状況にある。近隣では橋本市が、小中連携に取り組み、平成25年4月開校をめざして橋本中学校と橋本小学校を統合して小中一貫校をつくろうとしている。
小中一貫校の最大のねらいは、9年間を前期、中期、後期に分け6・3制を見直していくことにある。すでに中高一貫による特別な学校編成が先行しており、そこに6・3制を見直した特別な小中一貫校がつくられたら、教育制度の複線化がクッキリ姿を現すようになるだろう。
橋本市は、現時点では学習指導要領を守るといいつつ、前期以降の中期(おそらく5・6・7年生)と後期(おそらく8・9年生)については教科担任制を導入しようとしている。
中高一貫と小中一貫の中で選択肢が増える。進路について迷うことも予想される。中高一貫校に進学したい人は、逆に普通の小学校に通わせたいと思うかも知れない。多様な選択の自由を保障するためには、学区制の撤廃が必要になるが、この制度を導入すると、市内全域を競争の中に巻き込んでしまう。
こういう関係がほとんど難の議論もなしに推進されている。
前にも書いたが、最後に、国連子どもの権利委員会の指摘をもう一度書いておきたい。この指摘は、子どもの権利条約を批准した国が、国連子どもの権利委員会からの調査を受けて、子どもの権利条約がどのように具体化されているのかを点検されるものだ。所見が発表されたのは、2004年1月30日だ。
日本政府は、この所見をほとんど無視し、この指摘に逆行する教育改革をさらに推進して、今日に至っている。

「教育制度の過度に競争的な性格が子どもの肉体的および精神的な健康に否定的な影響を及ぼし、かつ、子どもが最大限可能なまでに発達することを妨げていること。
 b) 高等教育への進学が過度に競争的であるため、公立学校の教育が、貧しい家庭の子どもには手の届かない私的な家庭教師や塾の学習によって、補われなければならいこと。」


競争的な教育制度を改善するためには、特別な学校をつくることを止める必要があるし、世界で当たり前になっている高校受験、中学校受験を廃止する必要がある。
世界では、大学受験が資格試験になっているところも多い。
競争をいかにして緩和していくのか。この視点で教育制度を見直していかないと、日本の教育が、一人一人を大切にするものにはならない。
子どもの最善の利益を与えない日本の教育制度。
恐ろしい事態が進行している。

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Posted by 東芝 弘明