お見舞い

出来事

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妹と2人で高野山のお墓の墓掃除に行き、急いでお昼ご飯を食べて和歌山に行き、脳梗塞でリハビリ中の兄貴の見舞いに行った。
兄貴は自分のベッドに座っていた。外出許可を得て2時間外に出た。助手席の横に乗った兄貴は、ここを左、ここを右と行って車の進む先を案内した。記憶は非常にしっかりしていた。しきりに助手席で言葉を発していた。分かりにくいところはあったが、かなりのスピードで回復してきている。喫茶店に行きお茶を飲み、ユニクロに立ち寄ってお店の中を物色した後で、和歌浦を一周するドライブを楽しんだ。
何年ぶりだろう、和歌浦に車を走らせるのは。思った以上にホテルが閉鎖されていて驚いた。観光地の荒れた感じがそこにはあった。
車の中で兄貴は、病気になって以後初めてぼくの名前と妹の名前を口にした。
外出後、病室に戻ると、兄貴が昨日、妹と一緒に外出をして、買っていた2冊の本が気になった。本は、テレビを乗せているワゴンの上に積まれていた。手に取ってみると3分の1ぐらいの所に栞が挟まっていた。
「読んだ」
「えーっ、ここまで読んだん」
「読んだよ」
本を買って次の日なのに3分の1も本を読んだのだという。
「本、読めるようになると思いますよ」
言語療法士の先生は、8月のカンファレンスのときにそう言っていたが、予想を超える回復ぶりだった。

兄貴は、自分の感情が次第に出るようになって来た。「ひま、ひまやよ」を連発するので、
「退院したい?」
と聞いた。
兄貴は首を横に振った。
「まだ、まだ」
「リハビリせなあかんからか」
「うん」
兄貴の意志は明確だった。自分のおかれている状況をかなり正確に理解している。
会うたびに前向きに変化している。
これは嬉しい変化だった。

出来事

Posted by 東芝 弘明