国民主権を守るたたかいが始まる
午前7時46分、共謀罪が可決成立した。
法案を付託していた法務委員会で採決しないまま、参議院本会議に中間報告を行い、本会議で強行採決を行った。付託した委員会を無視してこういう採決を行ったのは、国会の自殺行為に等しい。日本は法治国家でなくなりつつある。
共謀罪、審議すればするほど組織的犯罪集団に所属していなくても、その周辺で関わっている人がいたら取り締まりの対象になるということろまで解釈がかわって行った。組織的犯罪集団も無限定、共謀があり準備行為があったという判断も無限定的だ。結局警察のさじ加減で捜査が行われ、捜査の対象になったら277の法律に照らして追及され、逮捕される可能性が出てくる。
言論に対する弾圧につながる共謀罪が成立したら、国民の運動は萎縮する可能性が大きくなる。
そもそも国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(TOC条約)は、テロ対策を除外したもので、経済犯罪を取り締まるものだ。この条約の批准のために共謀罪が必要だというのは、そもそも成り立たない。またテロ等準備罪といいながらテロという文言が一切ない法律になっている。日本におけるテロ対策はすでに法律として存在している。という基本的問題もあった。立法行為が崩壊している法律案が共謀罪だった。
何のためにとテロ対策ではない共謀罪を強行採決したのか。この法律によって国民を監視体制下におけるからだということだろう。威力業務妨害や著作権法、偽りにより所得税を免れる行為等の罪、所得税の不納付の罪、法人税法偽りにより法人税を免れる行為等の罪などが、どうしてテロにつながるというのだろうか。
テロ対策とは何の関係もないが、威力業務妨害や著作権法の2つがあるだけで反対運動はかなり取り締まれるし、監視体制もしける。テロ対策には役立たないが、国民監視には役立つような内容が盛り込まれているということだろう。
無登録営業等の罪というのもある。これは、テロ集団がテロの資金を稼ぐためにヤミ金融に取り組んで、そこで逮捕されるということだろうか。テロ集団が、資金稼ぎのために闇金行に手を出すということを想像してほしい。こんな間抜けなテロ集団はないだろう。有害業務目的の労働者派遣の罪もある。テロ集団が資金稼ぎのために有害業務目的で労働者を派遣するだろうか。普通、隠密理にテロを行いたい場合、他の法律で罪に問われるようなことを行って、社会的リスクを負うようなことはしないだろう。
審議に耐えられないような条文がたくさんあるが、これが徹底的に国民を監視するための法律だというのであれば、それぞれの条文には不気味なほど意味が生じてくる。この法律を盛り込めば、国民の監視体制を強めることができるという観点で対象犯罪をリストアップしたというのが、本質だろう。
安倍政権は、森友学園と加計学園問題で窮地に陥りながら、共謀罪を強行採決した。つぎは憲法改正だ。9条の破壊と国民主権の否定、基本的人権の制限を実現するために政権はより一層暴走するだろう。多くの国民が主権者として立ち上がり、たたかうことを訴えたい。